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詰将棋おもちゃ箱詰将棋美術館
アート展示室 No.122 本間晨一さん

詰将棋美術館
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
実戦型アート1 20手台

アート展示室No.122 本間晨一

本作から3題は、無仕掛実戦型の連作。 「―」、「|」、「/」の初形曲詰で、すべてわずか3枚の配置ですが、しっかり桂香が配置された実戦型の詰将棋になっています。 いずれも無仕掛なので詰めるのはちょっと大変ですが、3題そろってこの配置で詰将棋が成立すること自体がすばらしいですね。

本作は無仕掛実戦型の初形曲詰「―」。 無仕掛ですから桂で王手、あるいは飛や角で王手して手掛りをつけたいところですが、裸玉と違い桂香が守っているので簡単にはいきません。 43桂では、42玉で上部に脱出されますし、51飛や53角と絡もうとしても、銀合ぐらいで続かなそう。 それなら桂香から離して攻める意味で42金と捨ててから44飛や64角はどうか。 これも広すぎて駒が足りません。

正解は42金でなく41金捨て。 逃げられる手もあって指しにくい手です。
41金に22玉は24飛から31角で捕まりますが、32玉がちょっとやっかいで、54角、43金合、42飛、23玉、43飛成、33桂合、34金以下21手で詰み (上記図面や棋譜ファイル参照)。
41金、同玉に43飛と押さえる手は、42金合が強防でこれが詰まない。
44飛と離して打つ限定打が好手で、42合に53桂で、51玉なら73角以下、52玉なら41角、53玉、54金以下、31玉なら32金、同玉、41角、33玉、34金以下が狙いです。 そこで受方も34金や54金を防ぐ42桂合

  41金、同玉、44飛42桂合

桂合だと34金は防げるけど43金が生じるので、53桂に31玉は、32金、同玉、41角、33玉、43金以下。 そこで53桂には52玉と逃げます。 41角、53玉、43金、62玉、64飛、71玉では続かないので、61角と左から攻めます。

  53桂、52玉、61角、53玉、

43角成、62玉、64飛は63銀合で逃れ。 角を動かさず43金と重ね打ちします。 62玉は52金、73玉、74金で捕まるので63玉に74金と押さえます。

  43金、63玉、74金、62玉、

64飛では71玉で続かず、一見切れ筋。 じつはこの局面でさっき打ったばかりの43金がジャマ駒になっているのです。 43金がなければ42飛成と横から攻めることができるのですね。

  52金、71玉、62金、同玉、

42飛成と桂を取って73桂と据えれば、あとはきれいに収束します。

  42飛成、61玉、73桂、71玉、51龍、72玉、61龍、82玉、
  81龍、93玉、84金(83龍) まで27手

作者「桂香図式で盤面「−」の初形美が狙いです。
序盤の9手目辺りまではやや難しい読みが続きますが、その後は比較的易しい手順で収束します。
桂香は初形のまま不動なのが残念ですが、持駒と合駒(桂)を活用する一連の手順の流れはいいと思います。」

41金から44飛の手掛りのつけ方がおもしろく、打ちにくい43金がすぐにジャマ駒になったり、初形だけでなく手順もおもしろい作品でした。
なお、11香はあまり働いていませんが、ないと6手目31玉で不詰なので、不要駒ではありません。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

Estalightさん:
少ない駒数で収束する点に好感が持てました
山下誠さん:
無仕掛けで、まず初手に悩む。 2手目3二玉の変化が読み切れていない。

83龍まで25手解。 51龍に72玉の2手延ばしを忘れたかな。 実質解けているので甘く見て正解扱いとします。

占魚亭さん:
3手目の限定打が肝。
小山邦明さん:
2手目や4手目の応手に対する変化が多くて難問でした。
おかもとさん:
金捨ての初手は意外。てっきり53角かと。
ootanowatasi67さん:
初手から難しい。 桂馬合いで見事に割り切れているのが驚き。
池田俊哉さん:
41金から44飛限定打の出だしが意表を突く。 また43に打った金が邪魔駒になる構成もうまい。 形だけに思われる端の桂香だが変化に必要な駒と言うのも面白い

アート展示室No.122 解答:7名 全員正解

  池田俊哉さん  Estalightさん  ootanowatasi67さん  おかもとさん
  小山邦明さん  占魚亭さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。