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詰将棋おもちゃ箱詰将棋美術館
アート展示室 No.102 松下拓矢さん

詰将棋美術館
詰将棋美術館

棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
詰将棋美術館では芸術的な美しい詰将棋を紹介。10手台

アート展示室No.102 松下拓矢

詰将棋は実戦の終盤から生まれたパズルなので、当初は実戦型など実戦の役に立つ作品が中心でした。 しかし、成熟するにつれ、飛角図式、曲詰や趣向詰など、実戦には無関係な詰将棋独自の楽しみを追及する作品が登場してきました。

詰将棋美術館は、駒種や形に趣向を凝らしたアート詰将棋のコーナーです。

本作は盤面、持駒のダブル趣向で、飛角図式+銀一色持駒。 実はそれだけではなく、手順も趣向詰で美しく、宝石のようなアート詰将棋です。 この趣向自体は既存のものですが、この形で実現したことに意味があるわけですね。

作者「持駒銀4枚の飛角図式です。前半で銀の空中要塞を構築し、後半では銀を頼りに馬が駆け上がります」

では、手順を見ていきましょう。

  44銀、54玉、55銀打、65玉、66銀打、76玉、77銀打、67玉、

4枚の銀を打って、斜めの壁を出現させます。 初手44銀に42玉と逃げるのは43銀打以下簡単。 また34玉は35馬までですね。 次の55銀打に45玉と逃げるのも46馬から35馬と馬で押していけばOK。 66銀打に56玉も同様ですが、最後の77銀打で87玉は88馬までなので、ここで67玉と逃げて後半の趣向に突入します。

  68馬、56玉、57馬、45玉、46馬、34玉、35馬 まで15手

ということで、初形は盤面が飛角図式、銀一色持駒のダブル趣向で、手順も余分な手が全くない斜め1往復の趣向詰と、形も手順も美しいアート詰将棋でした。 玉の軌跡に着目すると斜めの四角形になるので、ここもアートですね。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
玉が銀の表と裏をきれいに一周した感じ。
金少桂さん:
飛角図式+銀1色持駒で手順はくるくる。
以前に持駒金銀4で似たようなのがあったと思うが、盤上馬の利用により持駒も一色になって綺麗に纏まった。

三浦司さんの飛角図式(将棋世界1997年7月、41角44角|42飛43玉|金銀4)ですね。
くるくる展示室No.37枝中さんの作品(14歩26歩55歩74歩|53玉|金銀4)と同手順です。
歩一色と飛角図式で同手順はおもしろいということで、詰パラのおもちゃ箱だよりで紹介したことがあります。

おかもとさん:
アートでもあり、くるくるでもあり。

こういう作品が集まって、くるくるアートの作品集ができたら楽しそうですね。

占魚亭さん:
中空に銀の階段が出現。
小山邦明さん:
2枚角の斜めの威力は絶大ですね。
中村丈志さん:
大駒の性能を生かしていると思います。
池田俊哉さん:
似たような筋はあったかと思うが、複数の余詰順を72龍一枚で消しているのはうまい
川石隆志さん:
銀の下りエスカレーター、馬の上りエスカレーターに乗って移動する玉の動きが楽しい
S.Kimuraさん:
思っていた以上に狭くて,銀が4枚並んで,くるくるみたいになるとは思いませんでした.
松崎一郎さん:
銀の階段を昇降する玉の軌跡が長方形を描いて美しい。
吉田京平さん:
趣向手順は誰でも思いつきそうですが、飛角図式でまとめたのが工夫ですね。
金追いバージョンの三浦司氏作(将棋世界1997年7月)を思い出しました。

実は馬追いバージョンの方が古く、大前滋さん(紀伊民報1990年4月4日)の作品がありました。
盤面が飛角4枚と歩が6枚、持駒銀4枚で、松下作とは1筋ずれた手順でした。


アート展示室No.102 解答:11名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  おかもとさん  金少桂さん
  川石隆志さん  小山邦明さん  占魚亭さん  中村丈志さん
  松崎一郎さん  山下誠さん  吉田京平さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。