詰将棋の図面(初形、途中図、詰上り)や手順など、何らかの要素について美しさを追求する詰将棋のコーナーが 詰将棋美術館です。 一色図式、曲詰、軌跡曲詰など、詰将棋美術館作品一覧で
タイプ別に作品を並べているので、お好みの作品をご鑑賞ください。
本作は、初形の一段目実戦配置(陣形図式)と持駒七種各1枚(七色持駒)のダブル趣向。
陣形図式は将棋図巧第97番(詰将棋博物館)
をはじめたくさん創作されていますが、七色持駒は本作が初めて。
初手53飛に合駒を打つのは桂打の一発、移動合しかありません。
52金左には43桂、41玉、31桂成、同玉、22銀、同玉、23歩成以下簡単。
52金右と受けて、61からの脱出を狙います。
これに対し、63桂から71桂成と銀をはがしますが、8筋9筋からの脱出をどう防ぐか。
53飛、52金右、63桂、61玉、71桂成、同玉、
その答えが72銀から61角の連続捨て駒です。
72銀に82玉は83銀、同金、71角以下。 61角に82玉は71銀、93玉、94金までで、8筋に逃れることはできません。
72銀、同玉、61角、同玉、
ここで、62でばらして63銀と押さえれば、71玉は72金まで、53玉と飛を取って逃げる一手です。
うっかり飛を取られないように63金では71玉から82玉と逃げられて失敗。
62金、同金、同桂成、同玉、63銀、53玉、54金、42玉、
54金で完全に脱出阻止に成功。 あとは質駒の23銀を睨んで、手なりで収束します。
43香、51玉、41香成、同玉、52金、32玉、23歩成、同玉、
24歩、12(22)玉、23銀、13玉、14銀成(不成)、22(12)玉、
23歩成(成銀、銀成) まで33手
初登場の矢馬先龍氏さん、陣形図式+七色持駒のダブル趣向の力作でした。
ところが、
池田俊哉 「余詰
5三香、5二金右、同香成、同金、4三桂、同金、6二銀、同銀、
同桂成、同玉、6四飛、6三飛、6一金、5三玉、6三飛成、同玉、
6二飛以下
または
5三香、5二金右、4三桂、6一玉、6四飛、6三飛、5二香成、同金、
6二歩、同銀、5一金、同銀、6三飛成、同金、5一桂成、同玉、
6二銀以下」
残念ながら成立しているようです。
検討不足をお詫びいたします。
作者より44歩を55角とする修正図が届いています(右図)。
作意手順は変わりません(棋譜ファイル)。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 小山邦明さん:
- この初形で、持駒一式を実現しようと考え、それを実現してしまうとはすばらしいです。
手順もすっきりしています。
- 占魚亭さん:
- 一段目実戦初形配置+持駒七色。
金を取るまでの組み立て方が考え所。
- 山下誠さん:
- 1段目はきれいな実戦初形。
桂馬の楔が入っているので考えやすい。
- 小林巧さん:
- あ?と驚く、為五郎。
初形と持駒の一式でハッとさせられる。
これは、アイデア賞でしょう。
この種のカタチを見ると、内藤先生降臨かと思った。
矢馬先龍氏には、次は攻め方バージョンを期待しちゃおうかなぁ??
- 池田俊哉さん:
- 初手53飛を拠点として左に追うが、大駒二枚を取らせて小駒だけで右に追う展開は面白い
ただ、初手53香以下が成立してしまったのは残念
- S.Kimuraさん:
- 92に金があるのは残念な気がしました.
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