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詰将棋おもちゃ箱詰将棋美術館
アート展示室 No.55 大西智之さん
詰将棋美術館
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
中空の妙技その1 20手台

アート展示室No.55 大西智之 本作は馬一色図式の金一色持駒、そして次作は角一色図式の金一色持駒。

両作共、無防備図式、飛び石図式、風船図式でもあり、駒位置も1段平行移動しただけで同じという、趣向性にあふれた美しい姉妹作です。

持駒金4枚と強力とはいえ、これが本当に詰むのか信じがたい形で、変化紛れも多く、自力で詰めるのはかなり大変です。 駒がほとんどない形なので、普通は端に追い詰めるとしたものですが、両作共作意順では途中で端の駒が一切発生せず中空で詰め上がります (純風船図式)。

作者 「たまたまではございますが、フィギュアスケート羽生選手の金メダル獲得に併せた持駒金4の一種持駒問題を創作することができ、 時節も得た作品になったのではと思っております。」

羽生選手の華麗な演技を思わせる中空の妙技、是非並べてご鑑賞ください。

盤面が広いので、何とか2枚の馬を連携して玉の移動範囲を狭めることが必要。 具体的には、左の馬が玉の斜め後ろに利いている状態で右の馬で王手する形を狙います。 どこかで金で押さえることができれば一挙に狭くなります。

1) 33馬、56玉(44合は同馬、同玉、45金以下)、35馬
2) 64馬左、56玉、57金、同玉、24馬

の二つの手順でこの形を作ることができますが、1)の手順は2)に比べて持駒の金は多くても1段分広いので届かず、2)の手順が正解です。

  64馬左、56玉、57金、同玉、24馬、48玉、

24馬に対しては48玉が最長。 この辺りから変化が多いので、気になる方は棋譜ファイルの分岐棋譜でご確認ください。

  75馬、37玉、48金、36玉、37金打、45玉、46金、54玉、

54まで追い戻しに成功。 残り金1枚で不安になるところですが、53金と退路を断って、中空でぴったり詰めることができます。

  53金、44玉、35金、55玉、33馬、46玉、57馬 まで21手

最後56玉は57金まで。 フィニッシュも決まりました。

作者 「こちらは全体的に紛れがやや多く、問題(a)と少しテーストの異なる作品となっております。 まず初手ですが、問題(a)と同様に▲3三馬としてしまうと上下1路の差が大きく、▽5六玉、▲3四馬、▽5七玉、▲6七金、▽5八玉、▲3六馬、▽4七歩合以下逃れ。 そこで初手は▲6四馬左から入りますが、▽5六玉の時、▲2四馬の活用を見た▲5七金が好手となります。 以下、捨て駒は無く、一見簡単なように見えますが、11手目の▲4七金や15手目の▲6四金等の紛れもあり、最後まで油断禁物です。」

問題(a)、問題(b)はアート展No.56、No.55のこと。 手数の関係で逆順の出題になりました。

次作では、本作とは全く違う、もう一つの中空の妙技が披露されます。 お楽しみに。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

山下誠さん:
二枚馬の利き筋の交点に玉を誘うのがコツ。 詰め上がりもきれい。
S.Kimuraさん:
4段目より下に詰方の駒がないのに,玉を包囲してしまう,金4枚と馬2枚の威力を見せつけられました.
蛇塚の坂本さん:
変化手順多く自信無し
市橋宗士さん:
馬と金だけの図式、初形の2枚馬が桂馬配置なのは偶然?
中空の妙技とはまさにその通り、盤に並べて確認しましたが、何とかこの手順で詰んでいそうです(正解を祈るのみ・・・)。

蛇塚の坂本さんは17金まで21手、市橋宗士さんは27金まで21手の解答。 変化別詰解と思われるので正解として扱いましたが、ぜひ作意順をご鑑賞ください。

おかもとさん:
え、これ詰むの? すごい。
小山邦明さん:
3手目が玉の逃げ場所が広がりそうで指しづらい手でした。
池田俊哉さん:
二枚馬を連携させて詰め筋を探していく。 57金捨てから24馬が面白く、端に追い込むとばかり思ったが中段で詰める形になるとは思わなかった
占魚亭さん:
2枚馬で網を絞っていく感じ。

アート展示室No.55 解答:8名 全員正解

  池田俊哉さん  市橋宗士さん  S.Kimuraさん  おかもとさん  小山邦明さん
  占魚亭さん  蛇塚の坂本さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。