詰将棋の中には、駒の並びで作る形や使用駒に趣向を凝らした作品があります。
形は初形や詰上りの盤面で表現するのが一般的(初形・詰上り趣向の分類を参照)ですが、
手順の中で玉などの軌跡で表現する軌跡曲詰も登場してきました。
詰将棋美術館は、このような初形、詰上りや詰手順を含めて、芸術的な美しい詰将棋を紹介するコーナーです。
本作は対称形の角準一色図式。
盤面の駒が玉を除き1種類全駒になっているのが一色図式ですが、成駒を区別して角一色図式、馬一色図式と呼ぶので、成生が混在する場合は準一色図式と呼ぶようです。
詰上りが1種類全駒になる一色詰は成生を区別しないようで、ちょっとちぐはぐですね。
成生関係なく初形は角一色図式、詰上りは角一色詰として、特に成生の統一を強調したいときだけ純角一色図式、馬一色図式、純角一色詰、馬一色詰と呼ぶ方が自然な感じがします(飛角図式、純飛角図式、龍馬図式と同じ関係)。
さて、本作、角と馬の利きで三角形の枠内に閉じ込めているので、逃げられる不安感はありません。
すぐ目に付くのは52歩と叩いてから桂打や銀打です。 しかし、52同玉に44桂は、53玉、64銀、42玉、32角成、51玉、53香、61玉とするする逃げられて失敗。
43銀も、62玉、65香、64歩の中合で逃れます。
銀は温存して、玉を53まで呼んで桂打を狙うのが正解。 その方針なら、52歩、53香と捨てるより、初手53香として合駒を稼ぐ方が有利ですね。
53香、52歩合、同香成、同玉、53歩、同玉、45桂、62玉、
2手進めたところで「1」の字になりました。
6手進んで、まだ対称なので、45桂でも65桂でも同じこと。
ここでは45桂と打つことにします。
逃げ方は3通り。
1) 42玉は33馬と入れば簡単。
2) 52玉は53歩、61玉、72銀、51玉、33馬で、
42歩合なら52歩成、同玉、53桂成、同玉、63角成までぴったりの詰み。
それを防いで42金合なら、同馬以下
というわけで、3) 62玉が正解です。
63銀、61玉、53桂不成、51玉、33馬、42歩合、
63銀に51玉は、33馬と入れば、飛金合は切って簡単、他の合なら52歩、61玉、72銀不成、52玉、53桂成、同玉、63角成まで、さっきと同じような筋で詰みます。
33馬に42の合駒がいろいろありますが・・・
1) 飛金合は切って簡単
2) 銀合は41桂成、同玉、32角成以下
3) 桂合は61桂成、同玉、43馬以下
ということで歩合か香合ですが、香合は長手数の余詰があるので作意は42歩合です。
41桂成、同玉、32馬、51玉、52歩、61玉、72銀不成、52玉、
63角成、51玉、41馬右 まで25手
桂の二段跳ねから銀不成が好手で、還元玉できれいに詰みました。
作者 「角馬による左右対称の綺麗な盤面。打った桂馬が2段跳ねするのが面白いかも。14手目の合駒は希望限定です。」
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 市橋宗士さん:
- あまりにも簡素で美しい図式、「手を出して」しまいましたが、まだ解けず、後悔しています。
愛(合い駒)をよく確かめないと裏切られる(解けない)、うーん、むずかしい・・・
盤に向かって(長手数は、基本的に並べてみないと読みが続かないので・・・)みます。
励まして(?)頂けたのに、解けないことが多く、申し訳ないです。
図式投稿される方々、詰将棋を「愛」してみえる皆様に、そしてなによりも運営されている加藤様に感謝しながら、美しい図に取り組みます。
ベテラン・上級者の中に、私のような素人がコメントして、皆さんの足手まといにならないよう陰ながら応援いたします、いえ、応援させてください。
またコメントさせてください、よろしくお願いします。
解けなくてもコメントだけでも大歓迎です。
- 山下誠さん:
- この美形からこの繊細な手順!アートですね。
- 長谷繁蔵さん:
- 変化多く半分ギブアップ
といいながら、しっかり正解でした。
- おかもとさん:
- 最初は6手目の局面で、そこから逆算したような雰囲気ですね。
- 波多野賢太郎さん:
- まだ、こんな作品が残っていたとは驚きです。どの駒で王手しようか迷いました。
- 池田俊哉さん:
- 53歩から45桂と四段目に桂を打たずに攻めるのがポイント
還元玉に収まり作品になった
- たくぼんさん:
- 手順が特に煩わしくない所がアート展に最適でしょう
- 小山邦明さん:
- 初形も収束形もすっきりしていて良い作品だと思います。
- S.Kimuraさん:
- 最初の数手が難しかったですが,その後は比較的理解しやすかったです.
- 占魚亭さん:
- 綺麗な初形で、還元玉の詰上りになるのもいいですね。
- 金少桂さん:
- 簡素な初形だが持駒の種類が多くて大変でした。
手順も桂の三段活用が入っていて面白かったです。
- 隅の老人Bさん:
- 「1の字」の出現は何回?
打った桂の再度の利用がお気に入り。
長さが5、4、3と縮まりながら3回出現。「i」も1かな。
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