将棋の訓練のために詰将棋を解く人にはあまり意味がないことかもしれませんが、詰将棋を鑑賞する立場からは、形の美しさ、おもしろさは重要な要素です。
詰将棋美術館では、初形、詰上りや詰手順を含めて、芸術的な美しい詰将棋を紹介しています。
使用駒や配置に趣向をこらした詰将棋もいろいろあり、初形・詰上り趣向の分類にしたがうと、本作は無防備図式、桂一色図式(全駒でないので二桂図式と呼ぶべきか)、居玉図式、対称図式になります。
この分類には入っていませんが、使用駒2枚ずつの対子(トイツ)図式でもあります。
初形の趣向は必然的に正算式での創作になり、しかも余詰防ぎの駒も置けないことが多いので、解いておもしろい詰将棋らしい手順にすることは難しいとされています。
さて本作はどうでしょうか。
初手銀打では、42銀、52玉、53銀打、63玉、64銀成、72玉で、角2枚では捕まりそうにありません。
ということで初手は角打。 対称形なので、左右どちらから打っても同じなので、とりあえず33角としておきます。
52玉には、42角成、63玉、64馬と押えることができるので簡単。 61に逃げましょう。
33角、61玉、
角打で72玉と逃げられるのを阻止したいところ。
83角では、71玉、72銀、82玉で角が邪魔になって失敗。
94角と離して打つのが好手です。
それならと72桂合で抵抗。
62銀、52玉、42角成、63玉、64馬なら同桂と取ってしまおうという合駒です。
94角、72桂合、
桂合で64馬を防がれてしまったので、62銀、52玉に85角と63への脱出を阻止。
43玉と逃げて44角成。
ここまで来ると初手の33角打も限定打だったことがわかります。
62銀、52玉、85角、43玉、44角成、32玉、
右辺に逃げられそうですが、41角成がその望みを打ち砕く好手。
21玉は32銀以下なので同玉と取るしかありませんが、42銀以下収束します。
41角成、同玉、42銀、32玉、33銀成、31玉、42桂成、21玉、 22成銀 まで19手
多重趣向の二桂図式。
角2枚の限定打に桂の限定合と手順もおもしろく、角捨てが入って引き締まりました。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
- 蛇塚の坂本さん:
- 4手目桂合がミソですね。玉が左隅で収束とは意外でした。
初手73角だと82成銀まで。 ちなみに33角と73角では、やや33角の解答が多かったようです。
- 山下誠さん:
- 1四角と離して打って、引く手順は味がある。
- 小山邦明さん:
- 初形がきれい。3手目の角打ちが限定打になって、その角が11手目に消える手順は鮮やか。
- 小林巧さん:
- 右から行くか、左から行くかはお好み次第。
初形の美しさと持駒がツインの角と銀、もうこれだけで満足ですが、ついでに王様もツインにして欲しかったかな?
- 占魚亭さん:
- 銀を打てる形の作り方が考え所。
- やまかんさん:
- こういうシンプルな図ほど難しいのだが今回はそうでもなくて助かった。
限定打の角打ち2発がいいですね。
- 金少桂さん:
- きれいな対子図式。手順も14角の限定打があったり桂の限定合があったりで面白かった。
- 池田俊哉さん:
- きれいな形だけにとどまらず、94(14)の限定打から二段活用後に飛び込む角の活用がうまい
- S.Kimuraさん:
- 最初から解くのは諦めて,最初の方を柿木将棋に教えてもらいました.
玉の逃げる範囲が意外と狭くて驚きました.
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