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詰将棋おもちゃ箱詰将棋美術館
アート展示室 No.37 eureka
詰将棋美術館
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
手順前後あり 30手台

アート展示室No.37 eureka コンピュータがどんどん速くなってくると、飛角図式のようなシンプルな詰将棋は全検されて、人間が創作する楽しみが失われてしまうのではないか。 これは最近の話ではなく、なんと17年前、詰パラ500号記念号に載っている話です。

帝都大学理学部講師の陣内竜堂氏が、飛角図式を全検し、未発表の3327作を詰パラ編集部に投稿してきて、すべての作品の著作権を主張したというストーリー。 吉村氏は、この物語が「きわめて高い確率で近い将来起こり得る大事件」だと書いています。

本当にそうか、詰将棋創作プログラミングの一環として検証してみました。

試算した結果は、飛角図式の全検にはスーパーコンピュータを使っても90年ぐらいかかるということで、当分は陣内竜堂さんが現れるのを心配する必要はなさそうです。

将棋のあり得る棋譜の組合せ数は10の220乗といわれていますが、詰将棋の場合、初形の配置だけで決まってしまうので、将棋にくらべると組合せはずっと少ない。 といっても、シンプルな飛角図式でも90年もかかるぐらいで、詰将棋全体となれば、この先どんなに高速になってもコンピュータに全検できるような小さな数ではありません。 しかし全検できなくても、将棋のプログラムがプロ棋士の棋譜なども活用して、人工知能的なアプローチでプロ棋士を超える実力になってきたように、詰将棋創作についても、いずれは看寿賞を受賞するような作品をコンピュータが生み出す時代がくるのかもしれません。

上記の検証で、飛角図式の全検は無理なことが分かったので、それならいろいろ組合せ数を減らすことを考えれば、一定の範囲内では全検できるのではないだろうか。 そう考えて発見したのが本作です。 通常の飛角図式は盤上に4枚の飛角を配置するわけですが、使用駒飛角図式を考え、さらにその一つとして、飛一色図式の角一色持駒に限定して調べてみました。 ここまで限定しても全検には10日以上かかりましたが、いくつかおもしろい作品もみつかりました。

一番きれいな形だったのは創作プログラミング作品22(45飛65飛|58玉|角角 31手)。残念ながら21手目からの4手を別手順の6手で作意に合流するキズ(迂回手順?)があるので、展示室での出題は断念。 しかし、本作も手順も含めた美しさでは負けていないと思います。

前置きが長くなりました。 手順を見ていきましょう。

目につくのが、24角、23玉、14角、同玉、42角成と飛を取る手順。 好調のようですが、25玉、23飛、36玉と逃げられて届きません。

  35角、23玉、14角、33玉、 (途中図1)

35角と離して打つのが好手です。 33に逃げられるので、ちょっと指しにくいかもしれません。 12玉や22玉は42飛成で簡単。 24歩の捨合は、同角で1歩入手できるので先ほどの手順で歩が叩けて詰み。 また、24桂合なら、同角、23玉、15桂、14玉、36角、25銀合、42角成以下。

2枚の角を打った時点(途中図1)で、通常の飛角図式になりました。
成駒なし、持駒なしなので、正純飛角図式ですね。

ここで持駒もなくなって一見切れ模様ですが、42飛成が英断の一手でした。 同玉で持駒飛だけで詰むのかなあと不安になる形。 大丈夫、大駒3枚の威力はすばらしくこれで詰むんです。

  42飛成、同玉、 (途中図2)

ここで局面を見ると、なんと角一色図式に。 飛一色図式から飛角図式を経て角一色図式に変身するとは、なかなかおしゃれですね。

ここから、まだまだ大変。 大駒3枚の追い回しで入玉させることに。

  22飛、43玉、32角成、34玉、24飛成、45玉、44龍、36玉、

44龍に56玉は、46龍、67玉、57龍以下斜め龍追いで詰み。 こんなところに趣向手順がでてくるとうれしくなりますね。

  54馬、37玉、46龍、28玉、

ここは、46龍、27玉、54馬、28玉とする手順前後が成立。

  48龍、38歩合、46角、29玉、18馬、同玉、38龍、17玉、
  28龍、16玉、17歩、15玉、24龍 まで31手

18馬捨てが決め手で、以下15まで追い戻して収束します。

手順前後のキズはあるものの、飛一色図式が角一色図式に変身する史上初(?)の趣向に、大駒3枚の追い回しもおもしろく、楽しめる作品だと思います。

それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。

Pathfinderさん:
飛一色図式から途中で角一色図式になるのが面白い。
隅の老人Bさん:
これまた素晴らしい好作。 初形良し、持駒良し、詰手順良し。
詰上がり図も、これまたお気に入り。
小山邦明さん:
初手24角から飛を入手する手順から考えるのが、33玉もさせたくないですし、普通の感覚ですよね。 このように飛を取って追い回す手順になるとは思いませんでした。

角2枚に持駒飛で追い回して詰むとは想像しにくいかも。 ちなみに持駒飛の角一色図式を検索してみたら、次の2作だけでした。

  • 42角43角|41玉|飛 7手 二上達也 将棋世界1953年12月
  • 62角64角|85玉|飛 9手 来嶋直也 詰パラ2010年4月
山下誠さん:
好形、好手順で詰上がりもきれいですね。
占魚亭さん:
追い詰めだが、きれいな順。
池田俊哉さん:
6手目42飛成が大英断で、大駒だけで大海を追うのはやりにくい。
手順前後も残念だが46龍に対して25玉でも面白かったのに、とも思う

46龍に25玉は、43馬、34飛合、26龍、14玉、32馬、同飛、24龍までと、もう一度飛角図式になるかっこいい手順。

S.Kimuraさん:
普段は,柿木将棋 for iPad を使って解いていますが,念のため,柿木将棋VIIIで確認したところ,違う解答を出したので,こちらで解答を出します.
柿木将棋 for iPadは,16手目に45歩として分岐し,31手で最終手は23馬,玉の位置は13でした.
柿木将棋VIIIで16手目を45歩として,続きを解かせたところ,iPad と同じ解答を得ました.
流れを追い切れていないので,どちらが正しいのか分かりませんが,いずれの解答も,良く追いつめられるものだと思いました.

15手目54馬に45歩合は、同龍、37玉、46龍で作意順に戻るので無駄合ですね。 PC版とiPad版で無駄合判定のロジックが異なるのかも。


アート展示室No.37 解答:7名 全員正解

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  小山邦明さん  隅の老人Bさん  占魚亭さん
  Pathfinderさん  山下誠さん

当選者は、展示室で発表しています。