授業日誌 2004年 2月

2月4日(水)授業

光合成の要因1

光の強さと光合成

−106−

植物は光エネルギーを利用して自ら生活や成長のための栄養をつくり出すことができます。そのはたらきが光合成です。光合成は,空気中の二酸化炭素と根から吸い上げた水を原料にしてグルコースを作る化学反応です。いろいろな光の強さで光合成量を二酸化炭素の吸収量として測定すると,光がないと,二酸化炭素を放出し,ある明るさの時,二酸化炭素の出入りがなくなります。それは,植物も我々と同じで,生活のエネルギーを得るために,呼吸と言う反応でグルコースを分解し,その時に二酸化炭素が放出されるからです。つまり,光がない時に二酸化炭素放出量は=呼吸量,みかけ上二酸化炭素の出入りがなくなった時には呼吸量と光合成量がちょうど同じになることを示します。その光の強さを「補償点」と言います。

「”呼吸”と言っても,息をすることでなく,生活のエネルギーを得る化学反応です」(B)

2月6日(金)授業

光合成の要因2

二酸化炭素濃度・温度

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光が十分ある場合,空気中の二酸化炭素(0.035%)は植物にとって不足です。二酸化炭素濃度が濃いと,光合成速度はさらに大きくなります。一方,温度は,30度〜40度で最大となります。温度が高い方が反応はよく起りますが,温度が高いと反応を制御する「酵素」が壊れてしまうからです。

光合成速度は,光の強さ,二酸化炭素濃度,温度,水のうち,最も少ないものによって決まります。

「光合成速度は,最も点数の悪い科目の点数が,全体の成績になるようなもの。」(B)

2月6日(金)実習

巨大染色体の観察

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道守高校のH先生から,ユスリカの幼虫をもらいました。2学期に出来なかった「だ腺染色体」を観察しました。


ユスリカの頭部からだ液腺を取り出します。


だ液腺は透明で「ぷりん」としています。

酢酸オルセインで10分以上染色すると,巨大染色体が見えてきます。はっきりした縞模様も見えます。膨らんでいるところは,遺伝子が活性化しているところ「パフ」と呼ばれています。

染色液の染まりが悪く,なかなか観察できませんでした。


「だ腺は”ぷりん”としています。”ぽろん”ではありません。」(B)

2月13日(金)授業

環境と植物の反応

植物ホルモンのはたらき1

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植物は餌をとる必要がないので動きません。でも,光があたらなければ光合成が出来ないので,光の来る方向に枝を伸ばし葉を広げることはとても大切です。そのため,光の来る方向に屈曲したり,地面と反対方向に屈曲したりする「屈性」を持っています。この屈性は,茎の先端で作られ,細胞の成長部分でその成長を促す性質を持ったオーキシンと言う物質によって起ります。オーキシンは植物ホルモンの一つで,光があたるとその反対側に移動し,その部分の細胞の成長を促すために,光の方向へ屈曲します。

「動物のホルモンと植物ホルモンは違います。植物にはホルモンはありません。」(B)

2月18日(水)授業

植物ホルモンのはたらき2

-110-

植物ホルモンのオーキシンは細胞の成長を促すことで,屈曲や花の開閉を調節しましたが,その他にも,先端の芽を優先する「頂芽優性」などの現象を調節します。これはオーキシンには,作られた先端から基部へ移動する「極性移動」と言う性質,軸に対して垂直方向では光の反対側や,重力の方向へ偏ると言う性質,そして,茎・芽・根で成長を促す濃度が異なり,濃度が高いと逆に成長が抑制される「感受性の違い」という3つの特性があるからです。この3つの特性が組合わさってさまざまな調節が行なわれるのです。
また,ジベレリンと言う植物ホルモンは急速な成長を促す作用と,果実を実らせる作用があります。これを使って,タネナシブドウを作ります。

「スイカの花にジベレリンをかけるとタネ無しスイカになる?」「スイカは別の方法で作ります」(B)

2月20日(金)授業

植物ホルモンのはたらき3

日長による花芽形成誘導

-111-

植物ホルモンのサイトカイニンは細胞の分裂・分化を促し,サイトカイニンは離層を発達させるなど休眠を促し,種子などの発芽を抑制します。エチレンは揮発性で。果実から出され,自らの成熟(後熟)を促します。

種子植物がたくさんの種子を作るためには,付近一帯のその種が,ちょうど都合のよい時期に,一斉に花を咲かせることが重要です。夜の長さの時間を感じて花芽をつけるという「光周性」と言う性質を持つ植物があります。

「酸っぱいみかんをリンゴと一緒に袋に入れておくと甘く熟します。」(B)

2月24日(水)授業

光発芽種子

ー112ー

種子は,植物体の中で最も厳しい環境(乾燥や低温)をやり過ごすのに適した形態や性質を持っています。また,長時間休眠状態を保つことができます。植物にとって種子は,単に子孫を多く残すためのものだけではなく,休眠によって確実に子孫を残すための性格ももっているのです。ですから,いつ発芽して根や芽を伸ばすかは大問題,すぐに光合成をしたいのに,芽を出したら落ち葉の下ではそれこそ目も当てられません。そこで,自然光に含まれる赤い光があたると発芽するけど,落ち葉を通過してきた「近赤外光」があたると,発芽を先延ばしするものがあります。

「教科書の『円赤色光』などと言う光はありません。」(B)

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