理数生物授業日誌 2005年7月

夏休み中の課外授業も,教科書の内容をすすみます。

7月11日(月) 授業

 生物の起源と進化
生物の起源

-25-
最初の生物はどこから来たのでしょうか。生物を特徴付ける物質は有機物です。その有機物は,原始大気に含まれる無機物と紫外線や,雷などによる放電によって作られると考えられています。しかし,毎日地球に飛び込んでくる,隕石の中にも,有機物が多く含まれているのでした。
最初の生物がどのように生まれたかは,今も謎です,しかし今から40億年よりも少し現在よりの時期に膜に包まれて,その中で化学反応が起き,そして自己増殖を行なう物質=生物が誕生したのです。
最初の生物は,原核生物で,もしかしたら最初から,独立栄養生物だったかも知れません。

7月13日(水) 授業

生物の変遷

ー26ー
およそ38億年前に地球上に誕生した原核生物は,その後,生物どうしの共生によって真核生物に進化を遂げ,さらに多細胞生物が生まれ,さまざまな環境に進出しました。古生代に入ると,海の中はさまざまな生物にあふれ,空気中に増えた酸素がオゾンに変化することで紫外線が少なくなり,やがて陸上へも生物は進出します。中生代には裸子植物は虫類が全盛を極め,新生代には被子植物哺乳類が繁栄しています。
しかし決して忘れてはいけないのは,今現在でも,地球のどこかで生命は誕生しているかも知れないし,誕生した時と同じ携帯と性質を持つ生物が生存しているかも知れないと言うことです。

7月14日(木) 授業

進化の証拠

ー27ー
聖書には,生物は神が創造したものと記されています。そのため,長い間欧米では「進化」を考えることはタブー視されていました。しかし間違えなく,「進化」のみが,現在のようにものすごく多様な生物が地球上に生存できるようになった理由と過程を説明できる唯一のものです。
何より,すべての生物が遺伝子としてDNAを持ち,その暗号が共通なこと,そして,よくにた生物はよくにたDNAを持つことが何よりも証拠としてあげられます。

7月21日(木) 授業

現在の進化の考え方

ー28ー
「進化」とは世代を超えて受け継がれる生物の形質が時間とともに変化してゆくことです。さらに突き詰めれば,「集団内での遺伝子の頻度の変化」とも言われています。
まずある種の生物の集団の中に突然変異が発生します。その突然変異は,中立な変異であれば「遺伝的浮動」と呼ばれる偶然により,子孫を残すのに有利であれば「自然選択」により,遺伝子プールと呼ばれるその集団中に広がっていきます。これに,地理的隔離生殖的隔離により新たな種が作られていくと考えられています。

7月25日(月) 授業

生物の多様性と系統
生物の多様性と分類

−29ー
生物は進化によりその種類を増やして来ました。異なる種には,それぞれ過去に共通の子孫が存在し,それが分岐して,新たな種が生じて来たのです。その様子を表したのが「系統樹」と呼ばれるものです。
かくて我々は生物を,我々の都合で分類して来ました。大きいとか小さいとか,おいしいとかまずいとか。しかしこれは,生物の系統に従った分類ではなく,人為分類と呼ばれるものです。現在では,系統進化に基づいて生物を分類する,「自然分類」に切り替えられて来ています。
たかが「分類」と,軽んじる事勿れ。「分ける」ことは「分かる」ことなのです。

7月28日(金) 授業

SPP講座プレ授業
DNAフィンガープリンティング

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明日はSPP事業第1回目の講座で,福井県立大学の大城先生に来ていただいて,講義と,実習を行ないます。実習内容はDNAフィンガープリンティングです。DNAを制限酵素で切断し,その断片の大きさを電気泳動によって明らかにします。制限酵素とは,バクテリアの持っている酵素で,DNAの特定の塩基配列を見つけて,その部分でヌクレオチド鎖を切断する酵素のことです。ヒトはぞれぞれ,異なった塩基配列を持つ部分をDNAの中に持っています。それを増幅し,制限酵素で切れば,それぞれ,異なった長さのDNA断片が得られます。

7月29日(土) 実習

SPP講座
DNAフィンガープリンティング

−31−

福井県立大学の大城先生を招いて,SPP事業の第1回の講座が開かれました。午前から昼食をはさんで午後まで,バイオラッドのキットを使ったおなじみの実験です。制限酵素処理の間には,大城先生によるDNAを使った,植物の分類や,系統,分布の過程の解析法などを学びました。今回は,ティーチングアシスタントなしで,実施しましたが,何とか最後までスムーズにやることができました。

実験の概要については,一昨年の実施報告がこちらに有ります。▲SPP実施報告へ


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