1月23日(金)・3日目(3/4) ★★★〓〓〓

LOWER MANHATTAN Century21

この日は予報通り朝から雨。この日の予定は盛りだくさんで、
午前中はみんなで朝早くから営業しているLOWER MANHATTANにあるアウトレットショップ(Century21)で買い物をして、ウォール街経由でチャイナタウンに行って飲茶の昼食。午後はメトロポリタン美術館に行って一端解散してその後は別々にNY近代美術館を見学。
夜は、田中・松原・小林組はホテルで待ち合わせて本場の映画館でMOUSE HUNT(日本で近日公開のネズミと人間が家をめぐって戦うコメディー映画)を鑑賞。木村君は本場NBAのシカゴ/ブルズとニュージャージー/ネッツの観戦をいすることになっていた。


田中・小林組はデリでベーグルwithクリームチーズ(会社の近くのパン屋/プルクワのベーグルと同じ味だった。ちょっとパサパサしていた)を買って部屋で食べてから出発。
松原・木村組はアメリカで品質・値段共にNO.1の高級靴メーカーのオールデン/Aldenの靴を買う為に朝8:00からやっているLOWER MANHATTANにあるStapleton Shoe Co.という激安靴ショップに先に出発していた。
待ち合わせは11:00に飲茶を食べる予定のチャナタウンにある麒麟金閣/ゴールデンユニコーン前にしていた。
我々は丸の内線(赤の2/3線)でWTC (ワールドトレードセンター)駅へ。
着いたのは9:00過ぎだったが、ワールドトレードセンターのやたら広い地下は人が縦横無尽に歩いていて、周りにはウォール街のビジネスマンが一杯いた。
ウォール街のビジネスマンの服装は意外と地味で、8割位の人が濃紺のウールのコートにダークスーツに黒い靴。茶系の靴をはいている人はあまり見かけなかった。朝晩はマイナスになる気温が続いていたが手袋は半分位の人しかしていなかった。
僕はNYで目立たないようにと、普段通勤の時に着ている濃紺のウールのコートを着て行ったが判断は正しかった。
OLは地味なロングコートを着てマフラーをして手には手袋、8割位はスニーカーをはいていた。スニーカーは健康の為といざという時走って逃げられるから便利なんだそうだ。
皆さん日本人並に早く歩いていたが、滞在中携帯電話で話しているのを1人しか見なかったし、呼び出し音は毎日繁華街を歩き回っていたにも係わらず1回も聞かなかった。確か数年前までアメリカの携帯電話の保有率は日本の2倍だったが、感覚的には今の東京はNYを遙かに上回っているように感じた。東京はせわしない都会だ。

マンハッタンにあるアウトレットショップは最南端のLOWER MANHATTANにあり、代表的なCentury21はワールドトレードセンターに面した道沿いにあった。
中は日本のロジャースやダイクマのような郊外型ディスカウント・ストアーの雑然とした感じを想像していたが、少し前の電鉄系(西武・京王・小田急等)のデパートみたいな雰囲気だった。

待ち合わせ時間を決めて買い物をしたが、服の品揃えが豊富でウッドベリーコモンに比べて安いものも高いものもあった。小林はアルマーニのコートがラストバーゲンで$1,092が$425に値引きされていて、そこからさらに全品1/2だったので$212で買っていた。彼はいつかブルックスのスーツにアルマーニのコートを着て会社に来るかと思うと今からみんなの反応が楽しみだった。
僕はお土産用のチョコとタクシーのミニカー(ホテルで$7が$4.97)、CLINIQUEのthree little soapsを買った($14)。
地下のリネン売場で先に出発していた松原とばったり会ったが、松原はラルフローレンのシーツ、木村君はお土産用のTシャツを買っていた。木村君はウッドベリーコモンで買った同じ物が半額で売っていたと残念そうな顔をしていた。やはりいつでも来れるCentury21に先に来て、価格と扱い品目をチェックしてから遠いウッドベリーに行くのが得策のようだ。

小林はここでまた1階の入り口から銀色の大きなガンを持った刑事風の白人が走って入ってきたのを目撃したそうで、驚いたと言っていた。わずか4日の滞在中に我々のメンバーがいろいろ怖い思いや目撃をしてNYは物騒なところだとつくづく思った。

LOWER MANHATTANの真ん中に位置するCentury21から、飲茶を食べるゴールデン・ユニコーンまでは北東に1km位離れているので、Wall Streetを少し東に向かって歩いてからタクシーを拾おうと思ったが、外は雨だけではなくて風まで強くなってきて傘がおちょこになる寸前状態。500m位歩いたが途中「ダイハード3」で地下の金庫室から金塊が盗まれたFRB(連邦準備銀行=アメリカの中央銀行)の古い建物が見えた。


China Town 麒麟金閣/Golden Unicorn

タクシーをイーストリバーが見える道まで行って拾ってゴールデン・ユニコーンまで行ったが、着くなりなぜか日本人とすぐわかったようで
「ニカイ!ニカイ(2階)!」
と言われて店に入ると、そこはまさに香港。丸いテーブルがずらっと並んでいて、正面には真っ赤な壁の舞台まであって金色のド派手の装飾文字がいかにも香港ぽかった。店員も広東語をしゃべっていた。

席について早速お茶を頼み、お茶を一口飲んで一息いれてからいよいよ飲茶。おばちゃんが押すワゴンから次々に点心をとった。海老餃子、しゅうまい、ちまき、ピータン粥、謎の内臓料理(こりこりしていた)、豚のスペアリブのぶつ切り料理、鶏肉饅頭等々、海老餃子は透き通った皮とプリプリのエビがおいしくて2皿食べた、ピータン粥は薄くて今一、豚のスペアリブのぶつ切り料理は、中国のえびで作った沙茶醤(サーチャジャン)で味付けたらしくやたら臭いので、僕だけ「これが本場の味だ!」と喜んで食べていた。木村君はお茶と醤油の味に「ほっとする」と喜んでいた。

デザートはマンゴープリンを頼んだが、僕はマンゴープリンは香港のヨンキーレストランで食べたマンゴープリンがあまりにもおいしかったので、夢をもう一度と思って食べたが、ここのはマンゴープリンの素を溶かして固めた味だった。そこで杏仁豆腐を食べようと思って頼んだが、僕は醤油を口にしたので頭が日本モードに切り替わってしまい、おばちゃんに
「杏仁豆腐4つ!」
と日本語で言ってしまった。なぜか通じたが、みんなから指摘されるまで言った本人は気づかなかった。杏仁豆腐は四角いゼリー状でなくすくって盛った本格的なものだったが、ココナッツミルクでなくて糸を引くようなガムシロ(クズかな?)がかけてあり、味が妙にねっとりした味だったので少し残してしまった。

お勘定は「チェック プリーズ!」と言うべきところ、さっき日本語で言ってしまったのでここは広東語でと思い
「ムゴイ! マイタン!」(ムゴイ=エクスキューズミー的な意味、マイタン=埋単が勘定という意味)
と言ったら問題無く通じた。僕は英語・日本語・広東語を使う変なヤツになってしまった。料金は$17/人、お腹一杯食べて17ドルは安かった。

ゴールデンユニコーンを出ると雨は相変わらず激しく、チャイナタウンを見て回りたかったが断念した。タクシーを待つ間にちらっと見た店頭には上海蟹やアメリカのスーパーでは珍しい生魚、東南アジア独特のスターフルーツや中国人が幸運(中国人の場合金運)を生む果物として珍重する金柑が枝付きでならんでいた。


Metropolitan Museum of Art

チャイナタウンを出たのは12:00過ぎ、ホテルにタクシーで帰って荷物を置いてから全員でメトロポリタン美術館(以下メト)へと向かった($7)。メトはUPPER EAST SIDEのセントラルパークの中に、5番街の超高級アパート群に面して建っていた。

ここの入り口で全員解散。僕はクロークに荷物を預けて長時間滞在を覚悟。松原・小林・木村組は日本人受付嬢と話していたらしい。

中に入ってみると、ロビーは2階部分までの吹き抜けになっているドーム状の大ホール。建物はルーブル博物館や大英博物館と同じでやたらでかく、エジプトとかメソポタミアとか19世紀ヨーロッパ絵画とか、23もの大きな展示室に分かれていて、的を絞らないと迷子になるか疲れるだけだと悟った。世界4大美術館の一つをあなどってはいけない。
小林の感想は
「でかすぎる、質より量の美術館やな、おばさんが座っている絵や騎士の絵はわっけわからんから大嫌いや。近代が意外にあって良かった。マチスがあるとは知らなかったが素晴らしかった」
彼は15分位マチスの前に立っていたら警備員に「Do you like Matisse?」と聞かれたそうだ。

そもそも日本の美術館や博物館と違って、欧米の大美術館や博物館は順路通りに歩けば2〜3時間で見終える作りではなく、多くの展示室を1〜2日かけて見終えるようになっている。
早速フロアープランを見て以前展示方法が優れていると雑誌で読んだ事があるJapanease Artへ直行した。
途中中国風のアーチを描いた入り口があるChinease Artが目に入ったので覗いてみると、そこには美術館の2階だと言うのに、自然光を採り入れた縦20m,幅15m位の縦長の中国風の庭園があった。79年に中国の蘇州から29人の職人を呼び寄せて作ったそうで、床はグレーの石張りで四方に自然石が配され、木まで植わった小さな庭があり、庭には縁が反り返った中国風の屋根の建物まで建っていた。入って右側と奥は高くなっていて、右側には木造の回廊があって、とても美術館の中とは思えない雰囲気の回廊を歩いていくと、奥に明時代の学者の書斎が庭園に面して建っていた。決してハデではないが他に無い優れた展示方法だった。

人によって感動のポイントは当然違っていて、さらに僕は少数派だろうが、僕にはこのような展示方法は感動的でメトの展示のセンスに感心させられた。今から思い出すと展示物は見たが印象に残ってなく、展示方法ばかりが記憶に残っている。

しばし感心しながらChinease Artを見た後、これならJapanease Artも期待できると思って行くと(Chinease Artの隣)、そこには入り口に木造のお堂があって仏像が3体展示してあった。ガラスのショーケースに入れて蛍光灯の青白い光で見せることはせず、アメリカ人は本来あるべき所にあるべき物を展示する素晴らしさを知っていた。展示室には桃山時代の書院まで再現されている場所(写真左)や赤っぽい花崗岩でできた水盤(大きな岩の上部を平らにカットして中央をくり抜いて水をはったもの)が白い玉砂利が敷き詰められた所にあって水のせせらぎまで聞こえた。

展示されている物はいかにもアメリカ人が好みそうな小さくて綺麗な印籠やわかりやすい柿右衛門、大きくて派手な屏風が中心だったが、展示方法はここでも素晴らしかった。上野の国立博物館の学芸員はこれを見てどう思うのだろうかと思った。展示されている物の質で上野は上回っている、と言うのであろうが見学者の99%は質よりもそれぞれの文明の雰囲気を味わえる展示方法の方が喜ぶだろうし、理解しやすいと思った。国宝や重要文化財がなくても日本文化の美しさは展示方法で充分理解できるのだ。

その後見た絵画の展示室以外のすべての展示室の展示方法も素晴らしく、アメリカ人のプレゼンテーション能力の高さにやはりスピルバーグやジョージルーカスを生んだ国らしいと感心した。この感想はその後行った自然史博物館でも同じであった。

さて、メトでは展示方法ばかりに目が行ってしまい、普通の展示方法をしている絵画にはあまり興味がわかなくなってしまった。
展示方法の素晴らしいものは他にもあって、大物では、屋内庭園に面して再現されたティファニーのスレンドグラスが美しい館の玄関、大きなホールにそっくり再現されたローマ皇帝アウグストゥスが作ったB.C.15年のデンドゥール神殿、フランク・ロイド・ライトが設計したリビングルームが良かった。僕は疲れ果ててしまい、多くの人が真っ先に行く19世紀のヨーロッパ絵画のギャラリーは満足に見れなかった。

途中見たヨーロッパの室内装飾美術では、パリのホテルのロビーや個人の部屋が移築されていたが、本場のパリの装飾美術館/カルナヴァレ館のルイ15世の居間や貴族の応接室にはかなり見劣りしていた。どうもメトはその展示物よりも展示方法に最大の特徴があるようだった。
5〜10月には屋上の20世紀彫刻庭園がオープンしていて、セントラルパークのパークビューを見ながらドリンクを飲めるそうだが、アメリカウイングの屋内庭園(中庭)のベンチから大理石の彫刻越しに見た雨に煙るセントラルパークも心和む風景だった。

しばらくセントラルパーク緑の芝生(欧米の芝生は日本と種類が違い冬でも葉が緑色)と葉の落ちた立木のコントラストをぼーっと眺めた後、ギフトショップへ行った。ここのギフトショップは2階建てになっていてルーブルや大英博物館、故宮博物院(台北)を上回る規模で、過去見たどの博物館/美術館よりも広く品揃えも豊富だった。

なにげなくMembershipとかかれたパンフレットを見ていたら、上品なおばちゃんが上手に薦めてくれて、ティファニーに続いて負けてしまい入会してしまった。
会費は2年で$40だったが、僕はNYから200マイル(320km)以上離れて住んでいる人向けのカテゴリーのNational Associateに入った。特典は、会員は入場無料、ギフトショップ10%引き、春とクリスマスのギフトカタログの送付、会員専用のThe Trustees Dining Roomでの金曜・土曜のディナーとウィークエンドブランチの利用権。まあ、普通は入会しないよな、と思いながらも記念だと思って入会した。

Temporary Membership Passをもらって早速買い物、NYでアール・デコ・デザイン(アール・ヌーボーの後に1920〜30年にNYとパリで花開いたデザインスタイル。日本でも白金の東京都美術館は旧華族の戦前に建てた屋敷で素晴らしいアール・デコ建築で有名)のものを買おうと思っていたので、ルネ・ラリック風の小さな扁平三角形のクリスタルのパヒュームボトル($39-10%)とポスター、絵はがきを買った。


Museum of Modern Art / MoMA

メトには12時すぎから15時半過ぎ位までいて、その後一端ホテルに帰って荷物を置いてからMuseum of Modern Art/MoMAに行った。この日は毎週金曜日の17:30からやっている無料でジャズが聞ける「Jazz at MoMA」というイベントがあって僕は聞くのを楽しみにしていた。

MoMAはホテルから5番街に行く途中にあって歩いて3〜4分しかからなかった。MoMAはアルミ色の外観の4階建ての現代建物で、周囲のビルに埋もれてしまっていて目立たない。
さほど大きくないので見やすい美術館だ。
絵画・版画・スチール写真・産業・建築設計デザインまで幅広く展示してあり、館内もシンプルな作りで、すっかりメトの展示方法にあてられていた僕にはほっとする普通さだった。絵画はゴッホ・ピカソ・マチス・モネ等の19世紀のヨーロッパ絵画に加え、アンディー・ウォーホールなどのポップ・アートも展示してあった。

ヨーロッパ絵画の展示室には入り口に僕が大好きなセザンヌが3枚あった。しばし眺めた後、ピカソの「アヴィニョンの娘たち」を見てゴッホの「星月夜」の近くに移動しようとしたら、木村君とばったり会った、彼は「MoMAはすごい!」と喜んでいた。
小林はマチス好きで、“ここが自分の部屋だったら”という気持ちでマチスの広い展示室で45分位もソファーに座っていたそうだ。
どうもみなさんメトよりもMoMAが随分気に入ったみたいで、後になっても良かった良かったと言っていた(マイク白石の「ニューヨーク極楽マニュアル」にも日本人のリピーターが多いと書いてあった)。小林の感想は
「MoMAは好きな人にはたまらないと思った。あんな何億円もする絵がガラス(の額縁)に入ってなくてびっくりした。よくあれで悪さをする人がいないなと思った。ゴッホは絵の具の使い過ぎや、彫刻かと思った」

MoMAは絵画も素晴らしいが、産業デザイン製品を展示してある世界でもまれな美術館で、フェラーリのFIマシーン(セナとプロストが戦っていた頃のモデル)やヘリコプター、イス、文具(ブラウンの電卓があった)、ミシン、花瓶そしてパソコンまでMoMAが美しいと判断した物が展示してあり、パソコンはMacintosh/SE(クラシックと同じ形)とキーボードが左右に広げられるデザインが特徴的だったIBMのノートパソコンThink Padが展示してあった。
この展示室でばったり会った松原は、展示してあったチャールズ・イームスの椅子(シェルチェアー)を指さして、
「このデザイナーがデザインした椅子がうちにもある!」
と喜んでいた。
この産業デザインの展示室は思ったより狭かったが面白かった。しかし感想は人それぞれで、小林の感想は
「産業デザインはつまらなかった。作られた時代が今なのに自分の購入対象にならないなんてつまらない、決して買えないデパートみたいなもんや」。
しかし、松原は小林のこのコメントを読んで
「小林はこう言ってるけど、展示してあった椅子をデザインしたデザイナーの椅子がうちにあるって事は、買えるって事じゃないか」
と言っていた。

さて、駆け足で鑑賞した後は、17:30少し前に1階のGarden CafeへJazz at MoMAを聞きに行った。このイベントは MoMAが毎週金曜日は20:30まで開館しているのに合わせて17:00〜20:00まで無料で開催しているのもので。会場は200〜300人収容の普通の美術館のカフェで、壁にはカラフルな切手や昔のポスターが飾ってあった。
入り口に白いテーブルクロスをテーブルに敷いただけの簡単なバーがあって、お酒やソフトドリンクが並べてあったので、僕はグラスワイン(白$4)を買ってイスに座って聞いた。会場は立ち見まででる盛況ぶりで、この日はMatt Wilson Quartetというカルテットが演奏をしていた。パンフレットを見たらバスをYosuke Inoueという日本人が弾いていた。余談だが、斜め前のテーブルにいたの白人カップルが、始まる前までは手を握り合ってラブラブだったのに、Jazzが始まってすぐになんだか静かにけんかを初めて、女性が帰ってしまい髪の毛がもしゃもしゃの芸術家風の男が唖然としていた。
僕はワインを飲んでほろ酔い気分で聞いていると眠気が襲ってきた。イスでぐったりとして、ぼーっとしながら時々遠くなる意識の中で聞く本場のジャズは、心地よく幸せな気分だった。

MoMAのカフェでジャズを聞きながら一人でほろ酔い気分になっている時が、この旅でNYにいる事を一番実感させてくれた楽しく孤独な瞬間だった。

ホテルで18:30に松原・小林と待ち合わせをしていたので、18:20過ぎにBlues At The Asiaという名前の曲(名前の割にアジア的でなかった)が終わった時に中座してMoMAを出た。外はまだ雨が強く降っていた。

ホテルに帰ると小林は雨まみれになっていた。
彼はメトでみんなと別れた後、メトからMoMAへ行き。パナリパに寄ってお土産の靴下(4足$27)を買い、72St.のブロードウェイの雑貨のディスカウントショップと激安化粧品ショップを探しに行ったが激安化粧品ショップは存在しておらず、雑貨のディスカウントショップ(マツモトキヨシ的な商品構成でシャンプーがやたらでかくて土産に適していなかった。口紅が$1.5でこれは土産にいい!と思ったらメイド・イン・チャイナだったので断念したと言っていた)のみ見学し、歩き回って靴がぐちゃぐちゃになりながらホテルに帰ったそうだ。


TITANIC /ASTOR PLAZA SONY THEATRES

僕が帰ってきて「さあ映画だ!」と言うと歩き回って雨に濡れた事がよっぽどこたえたようで、もう駄々っ子のように「もう外に行きたくない、台風みたいな雨で靴がぐちゃぐちゃや」とぐずっていた。「行くぞ!しゅっぱーつ!」と活を入れたら「田中さん元気やなー」と言われてしまった(僕はずっと美術館の館内にいたので靴がそれほど濡れていなかった)。
なんとかなだめて、松原も一緒に(木村君は18:00からNBA観戦に出発済み)大雨の中タクシーでたった$3のタイムズスクエアまで行ったが、MOUSE HUNTの上映館が聞いても見つからず、雨が強くて僕まで靴に浸水してきたので、大きな看板が目についたタイタニック/TITANICを見る事にした。チケット売場(ASTOR PLAZA SONY THEATRES)で「始まってどのくらい経ってるの?」と聞いたら黒人のお姉さんが「パスト ワンナワー!」と言ったので、3時間の映画で1時間経過ならば問題ないのでチケット($8.5)を買って逃げ込むように入った。(今のタイムズスクエアの様子が見れるライブWEBカメラサイトはこちら

TITANICはBox Officeの売り上げが行く直前はアメリカで197ミリオン(246億円)で、我々が行った週は連続No.1。直前にゴールデングローブ賞の主要4部門賞(最優秀作品・監督・主題歌・脚本賞)を受賞したばかりだった。
映画のチケットには終了時間が一番大きく書いてあった。早速本場のポップコーン(お好みで溶かしバターをかけられる)とコークを買って($5.51)客席に入った。
一番後ろの席に座ったが、平日でしかも外は大雨だというのに70%の入り。広さは日本の大きな映画館の2倍は軽くあり、席もカップホルダーが隣の席との間に備え付けられていてゆったりとしていたが、なによりスクリーンが大きかった。後で阿部ちゃんに言ったら「あそことヒルトンのすぐ近くのZiegfeld TheatreがNYで最も大きいスクリーンなんですよ」と言っていた。

僕はTITANICを見るのが2度目だったので、入ると映画の場面は、船のチケットを出航直前にポーカーで勝って手に入れた貧乏画家ジャック(Leonardo DiCaprio)が、政略結婚をする名家の娘ローズ(Kate Winslet)とTITANICの船尾で出会った場面の直後だとわかった。隣にいた松原に人間関係やここまでのストーリーを解説してやったのに途中から眠りこけていた。「ほら沈没が始まるよ」と起こしても5分と保たず。「キャー!」と女の人の悲鳴が聞こえた時だけびくっと起きていた。
小林は前の席に座っていたがじーっと見ていた。小林は「言葉がわからくても全体像がわかった。肝心なところで寝なくて良かった」と言っていた。
スクリーンも大きいが音響も素晴らしく、ディジタルドルビーサラウンドの効果が100%生かされていた。観客も感情をストレートに表現していて、スクリーンに向かって声援を送ったり、痛そうな場面では「Oh No〜」とか言っていた。日本では絶対笑わない所で笑っていたのが印象的だった。

TITANICはラブロマンスとスペクタクルが見事に融合した名作で、2回見てもおもしろかった。観客は最後に拍手までしていた。後で阿部ちゃんに言うと、阿部ちゃんは3回見たそうで「観客の感情がストレートに出ていておもしろかったでしょ、アメリカ人はシビヤなのでおもしろくないと拍手はしないんです。それにしてもタイタニックは本当にすてきな映画ねえ」とうっとりして語っていた。

約2時間の映画が終わって10:20過ぎに外に出ると、雨はぽつぽつ程度でほとんどやんでいた。
劇場からホテルは近いので歩いて帰ったが、歩き始めてすぐに「MOUSE HUNT」の上映館が見つかった。途中観光客向けのお土産屋が多いタイムズスクエアで記念撮影をしながら、いつものデリで夕食をとってホテルに帰った。何回も同じデリで食事をしたので小林はだいだい持っただけで値段が想像できるようになってしまったと言っていた。僕はこの日はマッシュポテトとブロッコリーを添えたラザニア(アメリカのラザニアは普通「激まず」だがここのは普通だった)とカットフルーツ、小林のお気に入りのスクイーズという100%ナチュラルジュースのマンゴー&レモンを買って$9。松原は焼きそばを食べていた。3人が別々のテーブルに座って静かに食べた。


NBA

この日木村君は、我々がまだMoMAからホテルに帰っていない18:00にヒルトンのすぐ近くにあるシェラトンに集合して、NBAプロバスケットボール観戦ツアーに出発していた。
観戦場所はマンハッタン島から30分弱にあるニュージャージー州にあるコンチネンタル・エアーラインズ・アリーナ(ニュージャージー・ネッツの本拠地)。
この日の試合は、今季優勝すれば3年連続6度目の優勝になるシカゴ・ブルズ対ニュージャージー・ネッツ。ツアー料金は$180でニュージャージー州にあるスタジアムの往復の送迎付き。ジョーダンを生で見れるわけで、ファンにはたまらないのだろうと思った(チケット価格は$40だがプラチナペーパー状態。JTBのシカゴ5日間の観戦ツアーは1〜2月出発の代金が19.8〜20.5万円、NY付きで23.8〜24.8万円だから、来たついで行くのなら$180は安いと思った)。

席は上の方でデニス・ロッドマンが出場していなかったそうだが、マイケル・ジョーダンを生で見れて、試合は最後まで盛り上がったそうだ(試合は100対98でブルズの勝ち)。
木村君は
「本場はすごい、これは自慢できるで」
と感想を松原に言っていたそうだ。彼がホテルに帰ってきたのは11:00過ぎだったが、帰りのバスの中で抽選会をやって、彼はNBAの帽子とスポーツバッグが当たって喜んで帰ってきたそうだ。


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