98年8月19日(水) 6日目

【島からアテネへ】

今日はアテネへの移動日。「ついに島を離れるのか」と思うとちょっと寂しい気分。
朝食後、ツアーの皆でエアポートへ。飛行機は小型機で満席。定刻より30分遅れ、10:30に離陸。さようなら、サントリーニの小猫達。元気でがんばれよ、ロバくん。
山の雪景色のような白い家々も見納めだ。ちょっと感傷的になりながら、空路アテネへ。

50分後にアテネに着くと、現地係員が待っていた。このツアーにはあらかじめ市内観光がセットされており、アクロポリス遺跡、国立考古学博物館等に行くことになっている。
アテネは人口400万人(ギリシャ人口の約3分の1)のギリシャの首都。大都市としての性格を持ちながら、一方では古代遺跡が大変有名だ(アクロポリス近くのプラカ地区などは、今も家の下を掘れば遺跡が出てくることが多いという)。
遺跡などの観光スポットのほとんどは街の中心に固まっており、旅行者にとっては歩きやすい街だ。
日本語の話せるギリシャ人ガイドと共に、ツアーバスはアクロポリス遺跡に到着。
古代文明の遺産と呼ばれるアクロポリスは、「丘の上の都市」という意味を持ち、その丘の上にそびえるパルテノン神殿が最も有名だ。
入場料2000drs(1000円)はツアー代に含まれており、ガイドがチケットを買ってくれた。
歩いて丘を上り、ブーレエの門をくぐって入場。しばらく歩くとプロピライア(前門)が現れた。プロピライアの柱はドリア式の柱(柱に溝があるだけで飾りがないもの)とイオニア式の柱(柱の頭にうず巻の飾りがついているもの)の組み合わせで出来ていて、重厚かつ繊細な印象だ。
プロピライアをくぐると、目の前はもうパルテノン神殿。パルテノン神殿は高さ10mの46本のドリア式柱に囲まれた巨大な建築物。「ギリシャ建築の最高傑作」と呼ばれるだけあって、その姿は壮麗だ。
下から見上げた時に全体が均等に見えるように膨らみを持たせる手法を用いてあり(法隆寺にも使われているエンタシス技法)、この神殿が作られた紀元前432年にすでにそれだけの建築技術があったことに驚いた。パルテノン神殿にすっかり魅了されてしまった僕は様々な角度から写真を撮った。
その後木村とともに丘の上からアテネ市内を見渡す。結構いいながめだ。
帰り際、こっそり遺跡のかけらを拾い、アクロポリスを後にした。

この市内観光には昼食も付いていて、ツアーの皆と共にバスでレストランへ。
前菜、サラダ、スブラキ、フルーツのランチ。前菜はタラモサラダ(タラコのペーストにマッシュポテトをまぜてサラダと称したもの)やドルマデス(ひき肉・ごはんのみじん切りをぶどうの葉でくるんだもの)など、ギリシャ独特の料理の盛り合わせで、僕は残さずたいらげたが、皆は口に合わなかったらしく大半を残してしまい、それを見た店のオヤジは大変不服そうだった。

昼食後、国立考古学博物館を見学。ギリシャ古代美術の多くが所蔵されるこの美術館は56の部屋から成っていて、先史時代、ミケーネ文明、クレタ文明、アルカイック期などそれぞれの時代の貴重な美術品が展示されている。
1時間ほどしか時間がなかったため、ミケーネの黄金のマスク、ポセイドン像、アルカイックスマイルの彫刻(アルカイック期の彫刻はなぜか口元がニヤッと笑っているのが気持ち悪い)、サントリーニで行ったアクロティリ遺跡で発掘された「ボクシングをする少年」の壁画など主要なところを見学。ミュージアムショップをのぞいてバスに戻った。「もう少しゆっくり見たかったかな」というのが率直な感想。

バスは第一回オリンピック(1896年)が行われた「アテネ競技場」に移動。
5万人収容らしいが、座席は全部大理石でできているのがすごい(ギリシャは大理石も特産物のひとつ)。トラックに立ち、クラウチングスタートのマネで短距離ランナーの気分。
そういえば2000年のオリンピックはシドニーだが、その次の2004年の開催地はアテネだ。この競技場は再び使われるのだろうか?アテネオリンピックではサッカー日本代表(オリンピックは23歳以下)も強くなってメダルをとってほしいものだ。

バスはその後この手の観光ツアーによくありがちなお土産物屋へ。ガイド曰く「カメオや皮製品がアテネで一番安い店」に連れて行かれて30分も時間をとられてうんざり。コーヒー、ジュース、クッキーが無料だったのでひたすら飲み食いする。
16:30頃、今日宿泊する「エスペリアパレス」に到着。部屋は設備も整っていて結構広く、中心地にも近くてなかなかよいホテルだ(ガイドブックによると1泊ツインで19000円くらい)。僕も木村も疲れていたので、1時間ほど休憩してから外出。

まずはアテネの中心地シンタグマ広場へ。ここは噴水もあるきれいな公園。アテネからギリシャ各地への距離はここを中心に測られていることから「アテネのへそ」と呼ばれている。
シンタグマ広場前のマックで一休みしてエルムー通りへ。靴屋さんがたくさんあることで有名な通り(ギリシャの革製品は品質が良く、イタリア靴のほとんどはギリシャ製の革を使って作られているらしい)なのだが、なぜかどの店も閉まっていた。「シェスタの習慣があるとは聞いてたけど、シェスタはもう終わっている時間帯では?なんで開いてないの?」と木村と不思議がっていたのだが、実はあとで調べたら一般的な商店の営業時間は月・水・土は8:30〜15:00、火・木・金は8:30〜14:00と17:30〜20:30らしく、この日は水曜だったので営業はとっくに終わっていたのだった。
仕方なく市内で唯一シェスタのないプラカ地区へ。ここはすぐそこにアクロポリスを望める、カフェやお土産物屋さんがたくさんある街。軽井沢のお土産屋ストリートとなんとなく雰囲気が似てる。この地区ではその辺じゅうで今でも遺跡が発掘されるので特別保存地区にもなっているそうだ。
海綿が山ほど店先にぶらさがったお土産屋さんで、僕と木村は会社のお土産用に深緑色の四角いオリーブオイルの石鹸と海綿(特産物の海綿は良いものだと5年は持つそうです)、コースター、キャンドルなどを購入。
21:00くらいになり、当初「リカビトスの丘に夜景を見に行こう」と言っていたのだが、木村が「22:00からアクロポリスでライトアップレーザーショーを毎日やっているらしい」ことを本で見つけ「それはカッコよさそうだ!行こう!」ということになって再びアクロポリスへ。
ライトアップされたパルテノン神殿はなかなかにカッコ良く、一見の価値あり。しかしライトアップはされているものの、22:00になってもなぜかレーザーショーは始まらない。売店のきれいなおねえさんに聞くと、「今日は演劇があってるから23:30からよゥ(本当はハートマークはついてない)」というので、しばらく待つことに。

待っている間、木村が「あのおねえさんと一緒に写真を撮りたい」と言い出し、「アテネ旅行の記念に1枚だけ」とかいいながら彼女を口説き一緒に写真をとった。もちろんカメラマンは僕。木村は「うーん満足」とたいへん御満悦だった。(彼女は「仕事中だから」とちょっと迷惑そうだったので、見てる僕のほうがなんか恥ずかしかった。ふと中学校の修学旅行で、現地のおねえさんと写真をとってクラスの友人に威張ったりしたことを思い出してしまった。)
時は過ぎ、23:30になったがレーザーショーは依然始まらない。演劇がまだ終わらないからか?僕は疲れたのでベンチに横になっていると「どこででも寝るな!」と木村におこられた。(僕は警戒心が足りない人なので、どこででもすぐに眠ってしまうクセがある。前もニューヨークの地下鉄で眠ってしまい、田中さんに呆れられた。)
結局お互いに疲れから眠さが限界になってきたので、待ちきれず帰ることにした。ホテルまでタクシーに乗ったが、運転手のオヤジがかなり遠回りしようとしたので、「ちょっとオヤジ!もうすぎたよ!」と引き返させた。インチキするタクシーが多いとは聞いていたが本当だ。でもそれでもメチャクチャ安い(400drs=200円)。
0:00頃ホテル着。部屋に入るが早いか寝るが早いかというくらい速攻で寝てしまった。


98年8月20日(木) 7日目

【さようならギリシャ】

今日はギリシャ最後の日。観光は昨日ほとんど終わったし、さんざん疲れたので、今日はのんびりと街の散策・ショッピングに費やすことに決めた。たまにはそんな日があってもいいだろう。

コンチネンタルの朝食後(ヨーグルトがおいしかった)、おみやげの買い出し。途中、肉がたくさん吊るされた市場の様子をのぞいたあと(kg単位で売られ、日本の10分の1程度の値段で買えるらしい)、オモニア広場近くのスーパーで紅茶やお菓子を購入。
12:00にチェックアウトしなければならなかったので、いったんホテルに戻って荷物をつめ、19:00の集合時間までスーツケースをフロントに預け、再出発。
まずホテル近くの靴屋へ。昨日ウィンドウ越しに木村が目をつけていた靴のある店だ。木村はここで黒のモンクストラップの靴を購入(19900drs=10000円)。「ギリシャの人々は服は外国製を買っても、靴だけは自国製品を買う」というだけあって安く、かつ品質も良いようだ。8月はアテネのセール時期であったため、この靴屋を含めてブティックのほとんどはディスカウントをしていた(写真左下はこれでもか!と言わんばかりの海綿屋)。

次に昨日閉まっていたエルムー通りへ。木村がブルーの半袖シャツを購入。ディスカウントされていて6950drs(3500円)。
僕も「ZARA」というショップでネクタイを購入(6990drs=3500円)。(先日渋谷に行ったらHMVの横にいつのまにかこのお店ができていた。スペインのブランドらしいが、現地とほぼ同じプライス・アイテムで展開されておりリーズナブル。ちょっとモードはいったデザインもいいしオススメです。レディースもあります。)

今日はのんびりと昼食。アクロポリス近くのベジタブルレストラン「EDEN」へ。雰囲気の良い店で、安く、味もGOOD。マッシュルームパイ、タリアテッレ、ウォーター、パン、フレッシュミックスジュースを頼む(5500drs=2750円)。特にフルーツとベジタブルがミックスされた絞りたてのフレッシュジュースはおいしく、疲れた身体をいやしてくれた。
その後周辺の道を散策。木村が雑貨屋で灰皿を、露店でフットボールシャツ(2000drs=1000円)を購入。途中写真をとりながらのんびり歩く。
そして最後に余ったお金を使おうと、プラカへ。
タベルナの看板を扱っているお店が目に入り、中へ。僕は「この看板を部屋のダイニングテーブルの上におきたい!」と思い、サントリーニの白い家とメニューが描かれた看板を8000drs(=4000円)で購入。木村も少し小さめのものを5000drs(2500円)で買った。「これでいつでもエーゲ海の気分でお茶がのめるぞ」とひとりニヤニヤしつつ店を出た。(もちろん現在ダイニングテーブルの上にのっかってます)
木村は僕から余った小銭をもらい、自分の小銭を足してオリーブオイルの石鹸を自分用に購入。これですべてのドラクマを使い切った僕らは、集合時間より少し早めにホテルのロビーに戻った。
今までになく余裕のある行動だ。「いつもこうだったら疲れなくていいかも」とちょっと思った。
19:00、バスで空港へ。ついにギリシャともお別れだ。オリンピック航空OA359便21:25発のドバイ経由便でバンコクへと旅立った。さようならギリシャ。



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