現地ポリスに2時間拘束!
綱一郎の「ピラミッド盗頂日記」


ホームページ管理人から一言

この日記の作者綱一郎君は、ホームページ管理人の会社の後輩で、このサイトの「古橋君の盗頂日記」を読んで盗頂を決意しました。
綱一郎君は2001年1月20日(土)〜27日(土)までエジプト(カイロ、ルクソール)へ行き、なんと1月22日(月)の日の出前に盗頂に成功しました。
ところで、なぜ「登頂」ではなく「盗頂」と書くのかと言うと、ピラミッドに登る事は転落死亡事故が頻発したため禁止されているからです。管理人も2000年4月にエジプトに行きましたが(管理人のエジプト日記は
こちら)。現地で傾斜角51度、高さ137m、1辺230mの圧倒的量感を持ったピラミッドを見上げた時「とてもじゃないけど、これを登って降りてくるのは自分には無理だ」と思いました。しかし、角を登れば傾斜はそれほどきつくなく、さらに最近の報道によるとエジプト政府は2001年末までにピラミッド周辺を整備し、立ち入りを規制するそうで、今では少し後悔しています^^


高さ147mのクフ王のピラミッドの頂上にて。後ろに見えるのはカフラー王のピラミッドです。「降りてから現地ポリスに2時間位拘束されてしまった。しかし、調書はとられたけど、バクシーシ(賄賂)の要求やフィルムの没収は無かった」そうです。綱一郎君はお腹を壊すこともなく、無事帰ってきて、帰国直後の盗頂成功についての感想は「達成感があった、やったぞ!と思った」。エジプトについての感想は「遺跡がどれもでかくてすごかった」、「思ったよりきたなくなかった」。シンプルな感想ですね^^



綱一郎君の盗頂GALLERYへ

「ピラミッド盗頂日記」


2001年1月22日(月)午前2時。

俺はカイロのクレオパトラホテルで目を覚ました。ついにこの日が来た、さあ盗頂準備だ。
持っていくものは最小限に抑えたい。
・「盗頂マニュアル」(盗頂の先輩古橋君に書いてもらいFAXで送ってもらった盗頂ルートの見取り図)、
・「日本から持って行ったペットボトルのお茶」
・「26エジプトポンド」(1ポンド=32〜34円)。内訳はタクシー往復代10ポンド+エジプトおやじに捕まったときに払う金6ポンド(これぐらいが相場らしい)+さらに念のための予備金10ポンド。
・「デジカメ」
・「カイロ」
以上を持ち、相棒の宗君といざ出発。

ホテルのエレベータを降り、タクシーを捜す。
深夜だというのにタクシーはいっぱい走っていたので適当にとめて交渉。サファリホテルにいた2日前に盗頂に成功した女の子に教わった通り
「スフィンクスに行きたい。10ポンド、OK?」
と言ってみる。運転手は
「OK。」
と返事。さっそく乗り込む。いたって順調だと思っていたら、ちょっとしか走しっていないのにタクシーが止まり、運転手は到着したと言っている。
明らかに違う場所だ。よく聞いたら
「スフィンキス。」
と言っていた。どうやらそこはスフィン“キ”スという所らしい。ちゃんと伝わっていなかったようだ。もう一度交渉を始める。
「ピラミッド。」とか「ギザ。」とか言ったり、簡単なスフィンクスの絵を書いて説明する。どうやら分かったようだ。再び出発。
しかしまたちょこっと走ったらとまった。今度はカイロ動物園に着いていた。
このおやじわざとか?
どうやら書いたスフィンクスの絵をライオンか何かを思ったらしい。違う。タクシーはちょっと進みエジプトおやじのいる所でなにやら相談し始めた。そこにいたエジプトおやじが、他のタクシーに乗りなさいというので、諦めてタクシーを降りる。運ちゃんが20ポンド請求してきた。
このおやじめー、
そんなに走ってないないだろうがー!
絶対10ポンドしか払わんと思っていたが、周りの5,6人いたおやじ達が皆20ポンドだと言っている。運ちゃんもタクシーを降りて迫ってくる。怖くなったので20ポンド渡して、その場を離れた。
降りた場所はカイロタワーの近くだった。泊まっているクレオパトラホテルまですごく近い。歩いていったんホテルに帰った。あのおやじめーと思いながらも、再び作戦を練る。
すでに3時を過ぎている。スフィンクスやピラミッドの写真とピラミッド周辺の地図を「地球の歩き方エジプト」から切り取る。今度こそ行けるだろう。

再びタクシーを捕まえ、今度は地図を見せて、ピラミッドの近くにある高級ホテル「Mena Palace=メナハウス・オベロイ」に行きたい旨を伝える。
今度は行けそうだ。ピラミッド通りをずっと進みあっさりホテルに到着。10ポンドを払う。
ツーリストポリスがいっぱいいた。ピラミッドのゲートとホテルはすぐ近くだった。すごく怪しい奴らと思ってるんだろうな思いながら、盗頂ルートに入るために、タクシーできた道をちょっと戻る。まがるところが有ったので、まがると少し壁が壊れているところを発見。そこを覗くとゴルフ場だった。さらに道を進むと盗頂マニュアルの通りモスクも発見。あっている。今度は順調だ。
次は左前に進みガケを登るのだが、何を血迷ったか、先行していた宗が右に曲がっていった。ガケがあったのでとりあえず登ってみる。
ツーリストポリスハウスの真ん前だ。
ここは無理なので、戻る。やっぱりマニュアル通り左の方へ進む。
野犬がいっぱいてかなり吠えている。
しかしどうやら襲いかかって来る気はないらしいので、野犬の横を通りずんずん進む。登りやすいところを発見。しかしガケの上に何やら建物がある。ここもちょっと無理かと思い、さらに向こうの壁沿いを左に進もうと、ちょっと手前に戻り左の方向へ進む。野犬がいっぱいいる。
何やらゾーンを組んでいてそこに入ったら襲いかかって来そうな雰囲気だったので、戻る。うろうろしていると再びさっきの二つ目ガケ(なぞの建物がある)に着いた。
ここを登るしかないと決心。登ってみるとその建物は近くにある村の一部で単なる民家だった。
さらにガケを登り墳墓郡に突入。墳墓郡は隠れるところがたくさんあるので安心だ。しかし落ちたら助からないような穴がいっぱいあいているのでそれをよけながらずんずん進む。
マニュアル通りクフ王のピラミッドのそばにあるちっさいピラミッドを目指す。そこまでは難なく到着。
しかし次の身を隠せるところまでちょっと遠い。ひらけた場所だ。岩陰からツーリストポリスの方向を覗うと人影(頭が二つ並んでいる。)が見える。やばい、ここを通ったらみつかる。しかしここを通過するしかない。岩陰と岩陰の間が最短となるように、左前方へ移動。それでも明らかに見えるであろう。

幸い今夜は少し霧がかっていて遠くは見えにくい。えいっと二人同時に渡る。ちょこちょこっと足音を立てないようにかつ急ぎ足で。岩陰に隠れ聞き耳を立てる。大丈夫、どうやら見つかっていないようだ。次に進む。
次の難関はツーリストポリス小屋のまん前を通ることだ。
ポリス小屋の近くに到着。岩陰から覗い見る。ポリス小屋は青白い光を放っていた。
ん!人がいない。
もう一度見てみる。やっぱりいない。
やった!ラッキー!
急いでその難関を突破。そして、マニュアル通り「太陽の船」のすぐ裏の道を行こうと思ったが何やら、電気がついている。これでは丸見えだ。少し戻って外側をまわる事にした。切れ目があった。入っていく。
左手の棒のようなものの岩陰に人影のようなものが横たわっている。眠っているのか?気づかれないように静かに進む。船の横の小屋に到着。すぐ目の前、10メートルほど先には、クフ王のピラミッドがある。

遂にここまできた。あとは登るしかない。
一気に近づき、岩に飛びついた。
夢中で登る。
ピラミッドの角から登るために、左上へと進んでいく。
思ったより岩のブロック一つ一つが大きく(1メートルくらいはあったと思う。)足場もしっかりしていて落ちる心配はなかった。角に到着したら角は確かに登りやすいが結構疲れる。
登っては休む。なかなか頂上は見えない。ひたすら登る。下を見ると結構登ったことがわかる。足場がしっかりしているせいか、それほど怖くない。昔おちて死んだ人もいたという話だが、慎重に登ればそういうことはない。
とりあえず登る。
頂上が見えた。一気に登る。
盗頂成功!!
ついに到着した。
かなりうれしい。すごい達成感だ。

エジプトに着てよかった。エジプトへはピラミッドを登りに来たといっても過言ではない。あたりを見まわすと、眼下にスフィンクスの後頭部が見える。さっきまで、警戒しながら慎重に渡ってきた墳墓郡や太陽の船博物館もみえる。感慨深い。

思えばこのホームページの「古橋君の盗頂日記」を読んだのがはじまりだった。エジプトは一生のうち一度は行こうとおもっていた場所ではあったが、ピラミッドに登れると知ったとき、すぐにでも行きたい場所となった。ピラミッド盗頂という魅力的な言葉につられ、今回のエジプト旅行を決心したのだ。

まだ夜は明けていない、しばし休憩。
お茶を飲み宗からもらったカロリーメイトを食し、日の出を待つ。
あたりが明るくなってきたが、もやに隠れて太陽は見えない。とりあえず写真をとり、満足したのでいつ降りるか相談する。下を見ればポリスがいる。どう考えても降りるときに見つかる。パーフェクト達成なんてありうるのだろうか。
おそらく7時過ぎ頃(時計を持っていかなかったので正確な時間は分からない。)あきらめて降りることにした。ポリスがこちらを見上げている。もう見つかっている。何か叫んでいるが無視してとりあえず黙々とおりる。
休憩していると、またなんか叫んでいる。おりる。4人ぐらいのおやじに囲まれた。
本物のポリス(腕章をしているのが本物のポリスでそれ以外はただのおやじ)もいた。ポリスにしたがい素直についていく。道中話す。どこから登ったのか聞かれ、あそこだというと笑っていた。おそらく各人の持ち場があるらしく、「おまえのところが突破されたんだー」といった感じだろう。何度もどこから登ったか聞いてきた。その度にわらっていた。エジプト人は陽気な気質だ。
つぎつぎにポリスに引き渡される。しかしスキだらけだ。逃げようと思えば逃げれるぞと思いながらも、もしつかまったらひどい目に合わされそうなので、おとなしくついていく。ポリス小屋に入る。奥の部屋に入れられる。取調べがあるとおもったが放っておかれる。このままじゃらちがあかないので、一番えらそうな人に
「アイムソーリー、プリーズリリースミー。(ごめんなさい。開放してください。)」
と懇願するが奥に言っとけと言われる。どんどんポリスが増えてきた。もう一度懇願するが、
「まっとれ」
とまたいわれる。どうやら担当のだれかが来るまでまっとれという事らしい。1時間くらいしたらすごくえらそうな人が来た。この人を待っていたのか、これで帰れると思っていたが、全然お呼びがかからない。あきらめて座っていたら眠ってしまった・・・。
・・起こされた。やっと呼ばれた。ついていくと、隣の小屋に入っていった。
名前、パスポート番号、国籍、年齢、ホテル名、最後に親の名前を書いた(国籍と年齢以外すべて嘘を記入した。)。一応聞き返られたら困るので全部覚えれるように、簡単なものを記入したのだが、確認作業というものを一切しなかった(本気で確認されたらあさっり嘘がばれていたのだが。)ので助かった。すべてを記入するとあっさり釈放された。時間はすでに10時をまわっていた。よかった。一時はどうなることかと思った。
すごい開放感をかみしめながら、そそくさとその場を離れ、タクシーで一路ホテルへ帰った。

こうして、盗頂は終わった。

盗頂関連リンク
ルパンの世界奇行「ピラミッド盗(登)頂記」
ここは写真が豊富。特に、霧の上から撮った写真は圧巻。とにかく素晴らしい!!ルパンさんは勢いでカフラー王のピラミッド(第二ピラミッド)にも登ってしまいました。たいしたものです。
Araの旅日記 
「ピラミッド盗頂記」の下見編(情報編)が充実しています、画像も豊富で、特にピラミッドの頂上から撮ったギザの町の夜景写真は珍しいです。
「世界わがまま紀行」
22日間のエジプト/イスラエル旅行の間に3回も盗頂に成功した門谷/カドタニさんの盗頂記です。画像は少ないのですが、様々なケースの盗頂体験が参考になります。
「ピラミッド登頂マニュアル」
綱一郎君が読んで盗頂を決意した「古橋君の盗頂日記」の作者古橋君は、これを読んで頂を決意しました。今は閉鎖しましたが、過去のHPを保存している「Wayback Machine」というサイトでURL(www.tt.rim.or.jp/~poly/adventure6.htm)を入力すれば読むことができます。