98/1/21 (水) ミラノ (晴)

ラテンおじさんと共にミラノの夜は更けて
ミラン、アレッシ、こりゃドゥオモ

朝からドゥオモ広場は観光客で一杯です。ドゥオモは典型的なゴシック風教会で、内部はあざやかなステンドグラスに朝の光が射し込み、非常に荘厳かつ幻想的。天井の高さがありとても広々した感じがあります。いったん外に出てエレベータを使って屋上へ。ゴシック建築独特の無数の尖塔の間を縫って通路(時には屋根の上をそのまま通る)ができていて、そこからミラノ市内や遠くのアルプスを望むことができます。ちなみにここへは階段を使っても上ることができますが、900段以上もあるということで、今回はパス。

ドゥオモを出て横の王宮(ドゥオモ美術館なるものがある)を眺めた後はスカラ座へ。ここは普段演奏会等が入っていない時は中を見学できるのですが、ここ数日間は演奏会が入っていて、入場不可。ちなみに演目はリッカルド・ムーティ指揮、スカラ座管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲だそうで、RAI(イタリア国営放送局)の中継車も入っていました。入り口の前を通ると「ムーティ、チケットアルヨ」と何人ものダフ屋が寄ってきます。日本のダフ屋と違って、きちんとした格好をして小声で寄ってくるのが特徴で、一見した品のよさとやってることが妙にアンマッチです。

ミラノは市そのものは小ぢんまりとしていて、観光名所そのものはさほど多くありません。通りをぶらぶらし、アレッシのオフィシャルショップ(無茶苦茶高いものしか置いてなかった)を眺めたりしながらACミランのオフィシャルショップ「ミランポイント」へ。このシーズンの(というよりは前のシーズンから)ミランはいまいち調子が悪く、いつもだったら毎年優勝争いをしているのに、この時も8位あたりをうろうろしており、そのせいか店の中も思ったより静かです。グッズをいくつか購入しましたが、今シーズン、フランスのパリ・サンジェルマンから移籍したレオナルド(元アントラーズ)はまだチームになじんでいないのか、写真も置いてありませんでした。

ガイドブックによるとミラノはビジネスの街のため、お昼は日本と同様1時間くらいの間にみんなが集中するとのこと。見ていると、13:00〜14:00というのがどうやらコアタイムのようで、バール、カフェ等は地元の人以外は入る気をなくすくらいの混雑です。そういえばイタリア滞在中、私はずっとカフェ(エスプレッソ)はブラックで飲んでいたのですが、ガイドブック及び周囲の観察によるとイタリア人はこの小さなカップに砂糖を大量に入れて飲んでいます。連れが試してみたところ、普通の液体に砂糖を入れるような感じではなく、山盛りの砂糖がゆっくりとコーヒーの中に沈んでいきます。かなり大量に入れてもちょっとかき混ぜるとすぐ溶けてしまって、味も結構美味しいそうです。

この後は午後一杯を使ってドゥオモ広場近辺、サンバビラ広場近辺をぶらぶらし、服、財布などのお買い物。ブランドショップだけでなく小さい店にもなかなかいいものが揃ってます。又、ドゥオモ広場前のミラノ唯一のデパート「リナシャンテ」(イタリアの有名デパート・チェーン)もなかなかの品揃えで、服だけでなく、B1Fのフロアの3/4を占める広大なキッチンウェア売り場は私のような小物マニアには特にお勧めです。いかにもといった感じのイタリアンデザインのケトル、ボトルオープナー、エスプレッソマシン、パスターメーカなどがぎっしりで、これを見ているとアレッシなどはイタリアでは普通のデザインなのではないかと思ってしまうほどです。

夕食はリナシャンテ裏のレストランへ。2軒並んでいて混み具合はどちらも似たような感じですが、1軒はメニューを見てみると日本語メニューばかりか、日本のガイドブック、日本の雑誌の紹介記事の切り抜きなどまで並べてあるのでなんとなくパスしもう一軒のほうへ。いかにも人の良さそうなおじさんに案内され席へ。注文はペンネ・ペペロンチーニとオッソブーコ(牛のすね肉の煮込み)ミラノ風リゾット添え。ペンネはこれでもか、というぐらいのアルデンテ。北イタリアは柔らかい生パスタを使うのが主流だそうなのでこれはちょっと意外。オッソブーコは直径20cmくらいのすね肉が出てきてびっくり。ペンネの量が多かったせいもあり、なんとか肉は片づけましたが、付け合わせのリゾットは半分くらいでギブアップ。先ほどのおじさんが「ヴァスタ? (満腹?)」と聞いてきたので「シー」と答えるとちょっと悲しそうな顔。おじさん、ごめんなさい。でも余計な気遣いは無用だったようです。このおじさん、店(10テーブルくらい)が混んでいてとても忙しいにもかかわらず注文、会計、料理・お酒のサーブから果てはサラダ作りまで一人で全部切り盛りし、空いた時間にはお客と世間話していて深く考え込む余裕もなさそう。おまけにどうやら物事忘れやすい、というさすがイタリアンなアバウトさで、連れのデザートとコーヒーはたっぷり30分待たされました。


NEXT DAY
CONTENTS
TOP