98/1/20 (火) ローマ (晴)→ミラノ (晴)
線路は続くよどこまでも (取りあえずミラノまでは)
ローマ、ミラノ、弾丸列車...


昨日の雨が嘘のような快晴。

朝食後、出発までの時間を散歩がてらカラカラ浴場へ。ホテルからは古代の城壁沿いを歩いて20分くらいの距離。丘をのんびり上っていくと周囲は中世風の集合住宅が目立ちます。こういうところで今でもちゃんと生活しているのですからローマ人は侮れません。

カラカラ浴場は要するにローマ時代の「健康ランド」のようなもので、大小各種浴室に1,600人が収容可能だったそうです。現在は空襲に遭った後の工場のような感じの遺跡ですが、建物の雰囲気がいいのか、定期的にオペラなども開催されているようです。この時間帯は観光客は日本人のみ。まあ朝から限られた時間内で目一杯観光しようなんてのは東アジア文化なんでしょう。一通り眺めた後ホテルに戻ってチェックアウト、ミラノに向かうためにテルミニ駅へ。

11:35テルミニ駅発の特急ユーロスターでミラノへ。この列車はETR500という最高時速300km/hの最新型特急(画像左)で、車内のパンフレットでは「イタリア工業技術の粋」と紹介されています。日本でいえば500系「のぞみ」でしょうか? 形は「あさま」のカラーリングを白地に青・緑にした感じ。10両編成ぐらいなのですが、1両がむちゃくちゃ長いので、新幹線16両分くらいありそうです。車内は広めの4人向かい合わせシートで間に仕切り用のバーが渡っていてここにテーブル等が収納されています。ちなみに飛行機と同様の多チャンネルオーディオ付きなので、ヘッドフォンを持参すれば音楽も聴けます。列車はナポリ始発で、我々の向かいには上品そうなイタリア人のおばさん。反対側の席では二人連れの男が向かいに座った女の子にしきりに話し掛けていて、実にイタリアらしい光景。大体7割くらいの乗車率でした。

定刻から数分遅れて(イタリアでは優秀なほう?)発車。とても静かで揺れも殆どないところが日本の新幹線とぜんぜん違います。昨年ちょっとだけ乗ったフランスのTGVに近い乗り心地。車内では乗ってきたお客さんにクッキーを配るサービス付き。トスカーナの美しい丘陵地帯を眺めながら隣の車両のバール(何故か日本語ペラペラのイタリア人店員がいた)でパニーニを注文しランチ。列車はその後フィレンツェボローニャにそれぞれ15分くらいずつ停車し、16:00頃にヨーロッパ最大級の駅、ミラノ中央駅に到着。ちなみにイタリア人は何事ものんびりしているのかと思ったら、ミラノに着く10分以上前からみんな出口に集まって列を作ってました。こういう時だけは何故か気が早いようです。

ミラノ中央駅からはメトロを2本乗り継いで15分くらいのTurro駅近くのアンタレス・ホテル・コンコルドへ。ここはローマのホテルに比べて星の数一挙倍増の4ツ星ホテルです。部屋はちゃんとしたビジネス向けホテル風といった感じ。

荷物を置いた後、市内探検に。この時期のイタリアはバーゲンシーズン真っ盛りですが、もう夕方なので、地理を覚える程度にうろうろするのが目的。メトロで20分くらいのミラノ市の文字通りの中心部ドゥオモ広場へ。ドゥオモはイタリアでも最大級クラスのゴシック教会で、メトロの駅から上っていくといきなり正面に見えて圧巻です。ドゥオモ前の広場も広々しており、人と鳩であふれかえっていて、どこかの安直なドラマのロケに必ず出てきそうな典型的なヨーロッパの中世都市風景、という感じです。今朝までは古代ローマ時代の都市にいたので、わずか4時間での1,000年あまりもの飛躍はとても新鮮です。広場横には今世紀初めに建てられた十字型のアーケード付き商店街、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリア、さらにその向こうには有名なオペラハウス、スカラ座があります。ちなみにミラノの気温はローマに比べて6〜7℃は低い感じで、さらには空気が非常に乾燥していて、歩いているだけで静電気で髪の毛が逆立つくらい。最終日あたりには乾燥肌荒れ状態になっていました。

通りをあちこちぶらぶらしながらベルサーチ、ヴァレンチノなどの高級ブティックが集中しているモンテ・ナポレオーネ通りへ。想像通り両手に大きな買い物袋を下げた日本人の女の子が多数。通り真ん中のヴィトンのブティックは学生からおばさんまで日本人女性で溢れかえっていて、さらには外では連れの男性が手持ち無沙汰そうに煙草吸いながらぶらぶらしているのが大笑いでした。ちなみにミラノは大体においてローマより安全な感じですが、この通りだけはローマ同様のジプシーが多いのでご注意。そういえば路上の物売りはローマでは圧倒的にアラブ系の人が多かったのですが、ここミラノではアフリカ系と中国系がメインのようです。売っているものもローマではいかにもといった観光土産だったのが、ミラノでは出所不明のスカーフ、バッグなどがメインです。

お腹が空いたのでドゥオモ広場近辺をうろうろしながら店選び。広場からちょっと奥に入った先のレストラン、ドガーナ(Dogana)をトライ。ガラス張りの店内にはバールも併設されており、お客さんは数組いるだけでした。昨夜に続きここでもやたらとフレンドリーで英語ペラペラのウェイターが登場。今回はちゃんとイタリア人らしい(?)風貌でしたが。注文はプリモにリゾット・アラ・ミラネーゼ(ミラノ風リゾット)、セコンドにコトレッタ・アラ・ミラネーゼ(ミラノ風仔牛のカツレツ)というミラノ尽くし。リゾットのほうはサフランとチーズがたっぷりのソースに、ちょっと固めの米(以前に見たTV番組によるととがずにそのままサフランで炊く)がとても美味しかったです。リゾットと言うと日本では雑炊のようなイメージですが、むしろ「おじや」に近いかも。コトレッタは仔牛肉を叩いて延ばして揚げたものですが、大きさがお皿いっぱいというサイズ。ソースは特になく、レモンを絞って食べるのですが、肉の下味がいいのか、シンプルな料理なのにどんどん入ります。どちらも見た目のボリュームは非常に多いのですが、気候のせいか結局食べきってしまいました。

デザートにはアフォガート(ジェラートにエスプレッソをかけたもの)を。その後店員の勧めでグラッパ(葡萄を原材料にしたウォッカのような透明のリキュール)を試してみました。普段飲むと多分非常にキツい感じなんだろうと思いますが、ミラノ料理で一杯になったお腹には実に心地いい(かつ暖まる)お酒でした。この店は料理といい、お酒といい、店員の態度といい、値段(全部合わせて1人L60,000くらい)といい、今回のイタリアツアー中、一番のお勧めです。



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