98/1/18 (日) ローマ (晴)
 
遥かなる大阪(?)に想いをはせて
 
カルチョ、パパラッチ、関西系...

.
気持ちのいい朝。朝食を摂ってさっそく市内観光に出発。ローマは東京に比べて10℃くらいは気温が高そうで、セーターも要らないくらいです。

今日の起点はテルミニ駅(映画「終着駅」の舞台)。駅を出てジプシー・ガールズの攻撃を何度かかわしながら(ちなみに手口としては2〜3人で取り囲み、新聞とか何かを書いた紙とか空き箱とかを相手の顔の前に突き出し、注意がそれた瞬間にポケットに手を入れる、といったもの)、共和国広場、バルベリーニ広場、スペイン広場(一応「お約束」でジェラートも食べた)を経由しポポロ広場へ。途中にはいくつか有名な噴水がある(そう、ローマは「水の都」でもあるのです)のですが、シーズンオフのせいか軒並み改修中。さすがに日曜日の朝とあって人通りも少なく、とても歩きやすい。ローマの中心部は南北でも5〜6km程度なので、人混みと悪天候に出くわさなければかなりの場所は徒歩でも行けそうです。

ポポロ広場ではベンチに座ってガイドブックを読んでいると、関西弁の2人組女性に道を聞かれました。そもそも海外旅行中に日本人に会うことも(私の場合は)珍しいのですが、そう言えば今回イタリアを旅行しているとやたらと関西系の日本人が多かったような気がします。やはりラテン系と関西系はノリが合うのでしょうか?

広場のカフェで昼食を摂った後はサッカー、セリエAの観戦に広場から市電(トラム)で15分くらいの場所にあるスタジオ・オリンピコへ。試合のカードはASローマ対ピアツェンツァ。ASローマはローマをホームとする伝統あるチームで、この時のチームはアルゼンチン代表FWのバルボ、ブラジル代表DFのアウダイール、カフーなどを擁し、ここ数年は5〜6位あたりをうろうろしている状態です。今シーズンは開幕ダッシュを決めたのですが、その後失速し試合当日は7位。対するピアツェンツァは今シーズンセリエBから昇格したチームで現在18チーム中15位。「郷にいては郷に従え」(英語では"When in Rome, do AS Romans do.")のとおり、ローマの応援グッズを買ってチケットを購入。バックスタンド中央(Tribuna Centrale)でL80,000だから約6,000円、国立競技場の試合と同じくらいか。

スタジオ・オリンピコは約80,000人収容のスタジアムですが、この日の入りは50,000〜60,000人くらい。観客の殆どはローマのサポーター、アウェイのピアツェンツァの応援団はスタジアムの片隅に50人くらいで肩身が狭そうに控えめに応援しており、その周りをガラス壁と銃を持った警官で取り囲んでいるというものものしさ。ホームサポーター席のほうの様子はテレビでもおなじみの光景で、発煙筒は振り回すわ、爆竹は投げ込むわで試合前から盛り上がりっぱなし。警備するほうもよく判っていて、試合前にはゴール裏に水を撒いていました。

試合のほうは開始早々にアウダイールがシュートを決めたのですが、その後決定的なチャンスにシュートが入らず、逆に終了直前に相手に1点を決められ結局1-1のドローで終了。それにしてもさすが本場イタリア人の応援はうるさいうるさい。場内ではアルコールは売っていないのですが、とても素面とは思えません。(ま、入場以前に出来上っている人もそうとういるんだろうけど) パスが渡れば場内は騒然、シュートを外せば「マンマ・ミーア!!! 何てことするんねん」(一部意訳。何故か関西弁)といった調子で、このスタジアムは観客席が全面屋根付きなのでその度に地鳴りのような歓声が響き渡ります。しかし、同点に追いつかれた後はあれだけうるさかったゴール裏サポーターまでがシーンとなってしまい、周りでは怒ったイタリア人がぞろぞろ帰り出していました。ま、次頑張ってください。

ところでイタリアはトトカルチョの国でもあるわけで、試合中も他スタジアムの途中経過がリアルタイムでアナウンスされます。中でも盛り上がったのが同じローマを本拠とするラツィオ対フィレンツェをホームとするフィオレンティーナの試合。最初はフィオレンティーナが先制し、ASローマのサポーターがやんやの喝采。その後ラツィオが同点に追いつくと周囲がどよめき出し、さらにラツィオが逆転した瞬間には「何でや!!!」(意訳)の怒声。やはり同じローマ同士仲は悪いようです。

試合後はポポロ広場からスペイン広場を通りトレヴィの泉を眺めながらヴィットリオ・ヴェネト通りへ。ここはフェリーニ監督の映画「甘い生活」で有名になった通りで、元々はローマ界隈の政治家、芸能人等の有名人がこの通りのカフェ、ホテルをうろうろしていることで有名でした。又、これら有名人を追いかけるスクープ・カメラマンが(「甘い生活」の登場人物にあやかって)「パパラッチ」と呼ばれ始めた場所でもあります。確かに通り沿いには一見して高そうなカフェが軒を連ねており、特に通り半ばの「カフェ・ド・パリ」の造りは(さすがに映画の舞台になっただけあって)家具、食器、店員の態度全てがかなり高級そうで、そのあたりには何故か歩道に赤絨毯が敷いてあったりもします。しかし、人通りはそれほどでもなく、ましてや有名人系はあまりいそうにもありません。更にカフェ・ド・パリその他数軒の高級カフェ以外は前を通ると店員が「ハロー、ちょっと寄ってかない?」と客引きする始末。考えてみるとこの通りが上流階級にもてはやされたのは「甘い生活」が公開された1960年頃。あれから40年近くが経ち、昔の面影を残すのはカフェの造りだけなのでしょうか? (もののあはれ)

ヴェネト通りの高級カフェでお茶した後はテルミニ駅裏手のヴィットリオ・エマヌエーレ2世広場、サンタマリア・マジョーレ教会のあたりをうろうろ。ここで雰囲気の良さそうなレストラン「ダ・ミケーレ」(Da Michelle)を発見。「ラテンの法則」(混んでいる店はうまい)に従って中の様子を窺ってみると席は半分くらい埋まっていて、見ている前でもイタリア人が3〜4組入店。こちらもさっそく入ってみました。席に着いた後もお客さんが続々入ってきてあっという間に満席。ラッキーなタイミングでした。

注文はプリモ(1皿目)にスパゲッティ・アマトリチャーナ、セコンド(2皿目)にサルティンボッカ(仔牛に生ハムを載せたソテー)、それと白ワイン。はっきり言って美味。特にアマトリチャーナは「これぞ、イタリアのポモドーロ(トマト)!」といった中身の濃い風味豊かな味でした。サルティンボッカも脂っこくなくさっぱり味でした。量も心配していたほど多くなく、ワインも(ハウスワインのくせに)美味しかったのでどんどん食が進みました。今回、ローマではこの店が一押しです。デザートは小鍋に入った形で出てくるティラミスを注文。これもかなり美味しかったです。カフェを頼み、1人L4,500(約\3,500)くらい。

ホテルへ戻ってTVを観てみると案の定、今日のサッカーのニュースばかりやってました。



NEXT DAY
CONTENTS
TOP