基準値(人口密度5,000人)を満たすメッシュの分布 |
メッシュデータによる都市領域画定を日本全国を対象に試みた.全国版mdbUA2010の設定である.
まずは,都市地域の基準値として設定した5000人以上の1qメッシュをすべて表示した全国地図を作成した.
人口5000人以上の1qメッシュを表示した全国地図
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以下に,地域ごとに拡大した地図を表示する.
北海道は,札幌,旭川,小樽,苫小牧,釧路,函館の辺りに若干のメッシュが確認される.
青森県では,青森,弘前,八戸に該当するメッシュが確認できる.
秋田県と岩手県については,それぞれ秋田と盛岡に該当のメッシュが見られる.
宮城県では仙台と石巻,山形県では山形,福島県は福島,会津若松,郡山,新潟県は新潟,長岡に該当するメッシュが確認される.
北関東では,水戸,宇都宮,前橋,高崎周辺に5000人以上のメッシュが見られ,その他,関東圏周辺には成田,牛久,つくばなどの他,東京と連担するかたちで多くの都市地域の存在が確認できる.なお,長野県では長野と松本が,山梨県では甲府が認められる.
神奈川県方面にも,東京と連接するかたちで,金沢八景, 横須賀,鎌倉,平塚,厚木,小田原などの都市地域が見て取れる.
東海地区では,三島,沼津,富士,清水,静岡,浜松,豊橋周辺に5000人以上のメッシュの集積が見られる.
北陸では,富山,高岡,金沢,福井に集積が見られる
名古屋周辺では,豊田,刈谷,安城,岡崎,一宮,岐阜, 四日市などに,集積が見られる.
関西圏では,大阪,神戸,京都,奈良,和歌山を中心に, 大津,滋賀など,いくつかの集積が見られる.
中国地方では,日本海側で鳥取,松江に若干の集積が見られるのにたいして,瀬戸内海沿いには,岡山,倉敷,福山に5000人以上のメッシュの集積が見られる.
さらに,広島とその周辺に,東広島,呉などの集積が見られる.
四国では,徳島,高松,高知,松山にはっきりとした集積が見られる.
九州の北部には,北九州と福岡にはっきりとした集積が見られる.
九州では,他に佐世保,長崎,久留米,佐賀,別府,大分,熊本などにそれぞれ集積が見られる.
さらに,九州南部では,宮崎と鹿児島に5000人以上のメッシュが集積している.
さらに,注目すべきは,沖縄において,那覇と沖縄にはっきりとした都市地域の集積が見られる.
都市地域設定の原則 |
基準値を満たすメッシュの分布から,都市地域を設定するに当たって,とりあえず次の2つの原則を採ることにした.
(1)4つ以上のメッシュが連担している場合にだけ設定し,3つ以下の場合は原則として設定しない.
(2)以前に設定した「一般的な都市の場合」の原則に従う(三大都市圏だけは「大都市の場合」に従う).
設定されなかった都市 |
(1)の原則を採用したために,行政区域としての人口規模はかなり大きいにもかかわらず,ここでの都市領域画定では設定されなかった市が多く見られた.
そこで,人口10万以上で,ここでの都市地域としては設定されなかった市について,その人口と人口密度を列記した のが,次の表である.
いくつか例外はあるが,人口密度が小さい場合,かなり人口の多い市であっても,設定されていないことがわかる.人口密度がそれほど低くない太田,伊勢崎,ひたちなか,土浦,大牟田,多治見,取手なども,市内での人口の集中度合いが低いようで,5000人以上のメッシュが3つ以下にとどまっている.
そこで,逆に人口30万以下で都市地域が設定された市について,同様に作成した表を以下に示しておく.
人口が10万前後の伊勢原や牛久については,人口密度が高い傾向にあるが,市全体の人口と人口密度について,特に違いがあるようには見えない.したがってやはり市内での人口集中の度合いが異なっていると考えられる.
以上のことから,市全体の人口規模からいって不自然な点がないわけではないが,とりあえずここでは人口5000人以上のメッシュが4つ以上連担していることを都市地域設定の最低条件としておきたい.
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