JACKET WORKS 2007

  2007〜2008年に手掛けた装画や装丁などの仕事の一部を、
  制作エピソードと共にご紹介しています。D=Design

  黄昏の百合の骨
  恩田陸/著 講談社/刊 D:北見隆
  以前「麦の海に沈む果実」の単行本が出来上がった時に、恩田さんに「タイ
  トルがいつも詩的で素敵ですね」と申し上げると、「タイトルには命を懸け
  ています。」とのお返事が帰って来ました。恩田さんの本の表紙はタイトル
  同様、説明的な絵作りを避けたものが多いように見受けられます。今回の文
  庫化では編集者との間で、主人公の理世を表紙に描くべきかどうかで意見が
  別れ、最後まで悩みましたが、僕としては気に入った出来であります。

  ルピナス探偵団の当惑
  津原泰水/著 東京創元社/刊 D:北見隆
   2004年に原書房から刊行された単行本の文庫化です。原書房版(右側、デ
   ザイン:スタジオギブ)では、オリジナル作品の銅版画「三天使」が、津原
  さんの御希望によリ使用されましたが、今回は物語に登場する主人公達のイ
  メージと、「三天使」のイメージを併せ持った絵に仕上げました。技法的に
  は文庫版「黄昏の百合の骨」と同じ、スクラッチ画に色を付けたものです。
   ちょっと古風な女学生物の絵は、描いていて楽しいジャンルです。 
 
  生きることのレッスン
 
 竹内敏晴/著 トランスビュー/刊 D:北見隆
  僕が立体作品で表紙を飾る場合、多くはその本のために作った作品ではなく、
  展 示会で発表するために作った作品を使うようにしています。説明的に作る
  より、内容と微妙な距離を保った方が、本のイメージが膨らむ気がします。
  「威風」と題したこの作品は誇りを持って前に進むイメージで創った作品で
  すが、良く見ると食事の際に使う道具が、何種類か使われているのですが、
   お判りでしょうか。
  キマイラの新しい城
  殊能将之/著 講談社刊 D:北見隆
  この本の表紙も、上の作品同様、2007年に開催された、東逸子さんとの
  2人展の時に制作した作品です。物語は中世ヨーロッパの王の魂が、現代の
  東京に現れる奇想天外な内容ですが、作中オートバイを馬に見立てて 活躍
  する場面があり、僕の作品も馬の足元に車輪が付いているので、イメージが
  重なると思いこの作品を使用しました。逆にイメージが近すぎて、説明的に
  なってしまったかもしれません。因に作品タイトルは「聖ジョルジュ」です。
  魔術王事件(上)(下)
  二階堂黎人/著 講談社刊 D:北見隆
  2004年に発行されたノベルズ版の時は、松野光洋氏の制作した仮面の
  オブジェを使用して、僕はデザインだけを担当したのですが、今回の文庫化に
  あたっては、イメージを変えて絵で行く事にいたしました。その方が、また新
  しい読者層にアピール出来るのではと思ったからです。少しおどろおどろしく
  て、レトロな探偵小説をイメージして絵を描きました。.ほぼ同時進行で、また
  松野氏制作による迫力ある塑像を使用した、ノベルズ版「双面獣事件」の装丁
  も担当いたしました。

2008

夢は枯れ野をかけめぐる

西澤保彦/著
中央公論新社/刊 
D:中央公論新社デザイン室
  

ストーリーの迷宮

阿刀田高/著
文芸春秋社/刊
D:関口聖治

密室の鎮魂歌(レクイエム)

岸田るり子/著
東京創元社/刊
D:北見隆
  

セレクション歌人33
吉野裕之集

邑書林/刊 
D:間村俊一

ザビエルの首

柳広司/著
講談社/刊 
D:北見隆

殺人現場はその手の中に

柄刀一/著 
祥伝社/刊 
D:北見隆

サイモン・アークの事件簿

エドワード・D・ホック/著
東京創元社/刊
D:北見隆
  

暗黒天使メストラ−ル

クリフ・マクニッシュ/著
理論社/刊
D:坂川栄治+田中久子(坂川事務所)


今邑彩/著
集英社/刊 

D:北見隆
    

冥府神(アヌビス)の産声

北森鴻/著
光文社/刊
D:北見隆

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