タイ ナムトク線旧泰緬鉄道の旅
1997年2月
ナムトク(旧泰緬)鉄道
 映画「戦場に架ける橋」のモデルとなった鉄道。この鉄道は、第二次世界大戦中に、日本軍がタイとビルマ(現ミャンマー)との物資輸送を目的として、建設したもの。この鉄道は、何千万もの捕虜や現地の人々が、突貫工事に従事させられ、多くの犠牲を払って敷かれた悲しい歴史を持つ。
 現在は、ミャンマーまで線路は延びておらず、ナムトクというところで、途切れている。しかし、日本が建設した鉄道は、現役で使われており、突貫工事を物語る遺構がいくつも見ることができる。
 定期列車は、一日2.5往復しかなく、乗車する場合は、時刻を調べていかないといけない。
昼は、静かだが朝はにぎやかな、バンコク・トンブリ駅。日本の感覚だと驚いてしまう光景だが、タイではごく普通。
オーディナリー(以後O)171列車
7:50発。トンブリ駅から出発するナムトク行き列車。日本では、ほとんど見られなくなった客車。しかも、座席は木製のオール3等車。
この、列車で日本人の女の子2人組と出会い、楽しい旅の始まり。
この列車には、カンチャナブリーなどへ向う白人観光客の姿が目立つ。それを目当てか、物売りのおばちゃんも車内に。
出発して南本線の幹線を行く。やたらと列車と交換。どの列車も優等列車で、南からバンコクへ向う夜行列車。こっちは、普通列車なので待ちばかり。
トムサムロン駅。ここでまた、交換待ち。
バンコクからそんなに離れていないのに、ローカルムードが漂う。
ナムトク線に入ると、それまでの、田園風景から、畑へと景色が変わり始めた。
カンチャナブリーで、日本人2人組みは降りた。そして、この駅から白人観光客の大集団が乗り込んできた。
カンチャナブリー駅から少し行くと、クウェー川鉄橋駅があり、その先がクウェー川鉄橋。
岩盤をくり抜いた間を列車が通り抜けていく。
車窓はのどかな風景が続くが、車内は白人の観光客でいっぱい。
ゆったりと流れるクウェー川。
ナムトク線のハイライト、ティンバートレッスル橋(アルヒル桟道橋)が見えてくる。
 そろりそろりと列車が、橋を渡り始める。デッキにも白人がいっぱい。というのもこの橋は、木でできている木橋なのだ!当然、鉄橋のように丈夫でないので、時速5キロという遅さでゆっくりと通過する。白人観光客が乗り出しているのは、その様子を見ようとしているため。
 この橋が、この鉄道建設で最も難工事で、多くの犠牲者を出したところらしいが、今はそんな様子はこれっぽちも感じない。
橋を渡りきったところで、列車が停車。大半の白人観光客を降ろして、列車は再び走り始めた。
12:55。O171列車は、定刻より5分早く終点、ナムトクに到着。
ナムトク駅は、小さな駅舎で、駅前には小さな売店が1件あるだけの寂しい終着駅。
側線には、客車列車が留置してあった。
左が今、乗ってきた列車。機関車は、折り返しのため、反対側に。
 ナムトク駅の外れで、線路は終わっている。かつては、スリー・パゴダ峠を越えて、ビルマへと繋がっていた。
 実際のところ、日本の建設した当時は、現在のナムトク駅から、はずれた所に、線路が敷かれていたそうだ。
 上の画像で、山全体の木が枯れているのは、乾季のため。
今乗ってきた列車は、折り返しO172列車バンコク・トンブリ行き列車に。
終点ナムトクまで、乗ってきた観光客もほとんど、ツアーバスに乗り換えていった。そのため車内は、ガラガラ。
再び列車は、元来た線路を折り返し、走り始めた。
車窓は、人の気配を感じさせない風景が続く。
岩を避けた、微妙なカーブ。さっき見えなかった景色を最後尾から楽しむ。
 再び、ティンバートレッスル橋を渡る。今度は、ガラガラなのでゆっくりと橋を渡るのを観察。
 木橋は、ギシギシと不気味に音を立てている。
 そして、列車は再び、クウェー川鉄橋へ。この橋は、先のティンバートレッスル橋と同じように、元は木橋だったが、連合軍により爆破。2度目から鉄橋に変えている。現在の橋は、戦後修復されており、中央の台形の部分は、新たに造ったところ。それを除いた丸い部分は、オリジナル。(列車からは、わかりにくいかもしれないけど…) 
 鉄橋は、列車の通らないときは、人が自由に行き来している。だから、左みたいな光景も、とがめられることは無い。
 けど、50年前は悲惨な戦争の現場だったとは思えない、平和な風景。
カンチャナブリー駅で、朝この駅で降りた日本人女の子2人組に再び再会。
タイの話題で盛り上がりながら、バンコクへと戻っていった。

1日走り続けたこの客車は、非冷房。当然窓は開けっぱなし。
ディーゼル機関車の出す、排気ガスと外の埃が、車内に入り込み、
手で叩くと排気ガスの黒いすすが伸びる。
しかも、1日木のベンチに座っていたもんで、お尻が痛い。
ん〜厳しい!
バンコク〜ドムアン空港へ
メークロン線の旅
タイ国鉄公式ホームページhttp://www.srt.motc.go.th/httpEng/