オーストリア・リヒテンシュタイン・スイス
ECでインスブルックからチューリッヒへ

2003年9月

ホームで列車を待つ、一人旅の女性バックパッカー。
インスブルックHbf駅に入線してきたイタリアからのEC。
インスブルックで昼食を取るつもりだったが、店が開いておらず、駅構内のパン屋で昼食を買い込み、今日の目的地スイス・チューリッヒ行きのECに乗り込むことにした。

入線してきたのは1116型機関車に牽かれたEC160列車マリア・テレジア号。列車は定刻より9分遅れて12:50出発。

のどかなチロルの谷間を列車は西へと向かう。

北側は急峻な山脈が延々と続く。
 

 アルプスを行く列車に乗るときに共通するアドバイスをひとつ。乗るときは必ず北側の席に座りなさいということ。
 その理由のひとつは、アルプスの場合山の北側斜面より、南側斜面のほうが日当たりが良く、家屋が建ってているのは圧倒的に南側斜面。よって、アルプスの可愛らしい家をちりばめた、美しい景色を眺められる。
 ふたつめは、何処でもいえることだが南側座席は、常に陽が差し込み、車窓を眺めるのが辛いことがあるため。
 そんなことから海外、日本に限らず晴れた日に、私が列車に乗るときは、いつも陽が差す方向とは反対側に座るように心がけている。これは、車窓を楽しむときの原則?。もし初めて乗る区間や時間的にどちらから陽が差すか判らないときは、窓のブラインドが降ろされてない側の席にすわるなど工夫をしている。この場合、100%うまくいくとは限らないが、まず無難な選択でしょう。当然、海や山などその路線のお目当ての景色がある場合は、無理しても座っるべき。また、席が埋まっていて選択の余地の無い場合は、素直に諦めるしかないけど…。
 ヨーロッパで列車に乗って気づいた事は、ブラインドやカーテンを降ろしている人が殆どいないこと。日差しが日本に比べて弱いのもあるのでしょうが、みんな日差しを浴びて車窓を見るのを楽しんでいるように見える(気のせいかも)。日本の場合、座るなりブラインドを全部降ろしてしまう人を時々見るが、個人的には内心、怒りを感じるのです^_^;。特に、通路側に座っていて外を眺めているときに、窓際に座っている人がさっとブラインドを閉めてしまうと最悪。このようなことの少ないヨーロッパは、うらやましい限りです。


 おっと、話がだいぶ脱線したので、元に戻りましょう。

列車はこまめに停車しながらさらに西へ西へ。

不覚にも、今日はなんとなく南側の座席を確保してしまった。気づいた時には、北側の座席は全て埋まっていた。

ザンクトアントン・アム・アールベルグを出るとトンネルに入る。(後で調べると、このトンネルはアールベルクトンネルというらしい。全長約10kmで、ここが分水嶺になっているのだろう、今まで見てきた川の水はドナウ川水系で黒海へと注ぎ、こらから先はライン川水系で北海へ注ぐ。なんともダイナミックな話。)

トンネルを抜けると、14:04ランゲン アム アールベルク駅に停車。この駅を出るとまたトンネルに入る。

トンネルを抜けるとぐんぐんと山を下り始める。

谷間の急峻な壁面にへばり付くように山を下っていく。急峻な斜面ながら、木々がくまなく生え、その森の切れ間から麓がちらちらと見える。これがまた、かなりの高度差がある。(画像はかなり、下ってきて視界が広がり始めた時のもの。)

14:45遅れを取り戻してフェルトキルヒに到着。この駅は、オーストリア最後の駅。画像は乗用車を積み込み中の車運車。オーストリアでは、車を預けて、運転手と同乗者は同じ列車に併結された客車に乗車する。いってみれば、丘を走るフェリーといったところ。

14:51予定通りフェルトキルヒを出発する。

列車はダイレクトにスイスに入るのでなくひとつ小国を通過する。それはリヒテンシュタイン公国。画像中央近くではためく旗は、リヒテンシュタインの国旗。

そして川を渡るとリヒテンシュタインは終わり、いよいよスイスへと入国となる。15:06到着した駅はブックスSG。ここで機関車をオーストリア機からスイス機へと付け替えがおこなわれる。北側の座席が空いたので席を移る。画像の小さな機関車は、構内入れ替え専用。

15:15動き出しびっくり。列車はスイッチバックして出発。列車の進行方向が逆になった。最初はよかったのだが、列車はぐるりと向きを変え、座っていた席はまたまた南側へ(ーー;)
画像は、ブックスを出てすぐの景色。見える山と町はリヒテンシュタイン領。この時点で列車は、南へ向かって走っていたが、この後西向きへ。

15:26ザルガンスに停車。その後しばらくすると、右手車窓に美しい湖が、車窓を彩る。湖の名前は、バーレン湖。

バーレン湖を過ぎしばらくすると再び湖が見え出す。こちらの湖は、チューリッヒ湖。そうもうここまでくればチューリッヒはもうすぐ。

地下区間を抜け列車は16:27チューリッヒ中央(HB)駅に到着。

EC160をスイス国内で牽いてきたのは、Re4/4型機関車。

駅前を出るとトラムが行き交う。

チュリッヒの中心を流れるリトマ川。川岸に植えられた木々が少し黄色がっかっているのが、早秋を知らせている。

トラムはチューリッヒ中を走り回り、中央駅付近には次から次へとトラムがやって来る。

宿代が予算オーバーしてしまい妥協してホテルを決め、再び中央駅へやってくると、構内には夕陽が差し込んでいた。このあと、駅地下で夕食を取るが、これまた高い。スイスの物価の高さに驚かされる。
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