スイス ゴールデンパス<前編>
チューリッヒ〜インターラーケン〜ツバイジンメン
2003年9月
ゴールデンパス
 スイスで車窓が美しく有名なのが氷河急行だが、チューリッヒやジュネーブから比較的近く氷河急行よりも手軽に楽しめるのが、このゴールデンパスと呼ばれるルート。区間はスイスの古都ルツェルンからレマン湖岸の町モントルーまでの254Kmの路線をさす。
 ちょうどチューリッヒ〜ジュネーブの間に位置するので、この2都市への移動にゴールデンパスを経由していくことも可能。
 ただこのルートは区間により軌間が異なるため、氷河急行のように直通列車が運転されておらず、乗換えが必要となってくる。ただ、各駅での乗り継ぎは、スムーズにできるようにダイヤが組まれているので、駅で長時間待つことは無い。

ゴールデンパス全線乗車して、チューリッヒへ日帰りするため早朝の出発。チューリッヒHbf駅に到着すると広い構内の一角には、RABDe510EMUのローカル列車が入線中。これは、乗車する列車ではありません。

こちらが乗車する1919列車ルツェルン行き。機関車はRe460-19号機、インターネット・プロバイダーの広告がラッピングされている。この列車は、推進運転でルツェルンへと向かう。
列車に乗り込むと、通勤客で程好く埋まっているが、夫婦揃って座ることができない。
別々に座ることにした。

7:01チューリッヒHbf出発。
向こうの右手の方からドイツのICEも同時発車している。
そのうち、左の車窓にチューリッヒ湖が見え、反対側から陽が昇り始めた。
程好く停車しながらルツェルンへ向かう。
山間部へと入ると、曇ってきてしまった。
せっかく一日車窓を楽しもうとやってきているのに、天気が悪ければ、楽しみが半減してしまう。
「晴れろ」と願いつつ、一路ルツェルンへ。
7:30シャムに停車。ここでどどっと通勤客が乗り込み、車内が混んできた。
シャムの駅を出ると左にツーク湖が見える。

7:51ルツェルンに到着。客車はIC2000系のダブルデッカー客車。

REBe520新型EMU。ローカル線に投入されている模様。

ルツェルン駅前に広がるフィアーバルトシュテッテル湖。いよいよここから、ゴールデンパスが始まります。(一部にはゴールデンパスはチューリッヒ〜ジュネーブまでという説もあるが、一般的にはこのルツェルン〜モントルーをさす。)
ルツェルン
 スイスのほぼ中心部、フィアーバルトシュテッテル湖に注ぐロイス川に広がる古都。
 ヨーロッパ一古い屋根つき木造橋、カペル橋が有名。この橋は、1993年に橋が全焼する火事があったが、現在は再建されている。
スイス国鉄(SBB)ブリューニック線の列車が出発予定時間を少し過ぎて入線。この列車は折り返しインターラーケン・オスト行き2452列車となる。機関車はナローゲージ用のHGe101型牽引で入線。
SBB ブリューニック線
 ルツェルン〜インターラーケン・オストを走る山岳路線。スイス国鉄SBBが運営する線ながら、軌間は1000mmのメーターゲージ。途中、ラックレールを使用する急勾配区間がある。このゴールデンパスで、ラックレール区間があるのは、このブリューニック線のみで最急勾配120パーミル(1Km進むのに120m登ること)。


8:34出発だったが5分遅れてピーっと甲高いホイッスルが鳴って2452列車は出発。
車内は、ほぼ座席が埋まっている。

左手にフィアーバルトシュテッテル湖が見える。
気になる天気も良くなってきたようだ。

我々の斜め向かいに座っている人は、軍服を来て銃を持っている。
スイスではよく見かけるのだが、スイスは永世中立国。
有事の際には、自国の力で外国からの侵略を守らなければならないので、
徴兵制度があり、一般市民男子は兵役を終えた後でも、定期的に訓練に参加する必要があるのです。
この人もそういった人なのでしょうか?

最初は山を覆っていた雲が取れ始め、美しいスイスの車窓が広がり始めた。

9:05ザルネンに到着。
斜め向かいの軍人さんも含め、他の車両からも軍服姿の男性がいっぱい降りた。
それに代わり子供達がいっぱい後部車両に乗り込む。遠足?

ザルネンを出ると、ザーネン湖が見え始める。今日は風も無く対岸の景色が、湖面に映り、綺麗\(~o~)/。

ギスビルを出るといよいよ山岳鉄道らしくラックレール区間へと入る。床の下から、カタカタと小刻みな振動が伝わってくる。座っていても感じられるほどの急勾配。

そして、ラックレール区間が終わると、やがて美しくこじんまりとしたルンゲルン湖を見下ろす。

先頭を見ると機関車が重連。この後9:23カイザーシュトゥールに停車し、さらにもう1駅ルンゲルンに停車。その後再びラックレール区間を登り始める。

9:40ブリューニック峠の駅、ブリューニック・ハスリベル駅に到着。ここはブリューニック線の最高所。そして画像の自転車のグループは、なんとおじいちゃん、おばーちゃんの3人組。なんとこれからサイクリングに出かけるのだ。といってもここは峠の駅。ここから、美しい景色を見ながら、山を下るのだろう。スイスでこそ楽しめる贅沢なサイクリング。下るだけならお年寄りでもできますよね。くれぐれも車に気を付けて下さいね。
 一方駅舎の脇には、鉄道と連携してスイスの交通網を担うポストバスが待機中。

このブリューニック・ハスリベル駅では、少し長めに停車。というのも、峠を登るのに馬力が必要なことから、ここまで重連でやってきたが、ここからは下りで不要なので、1両機関車を切り離す。

ブリューニック・ハスリベルを出発。ここから山を下る。

途中時々雪を被った山が見え隠れする。やがて、右手に谷底を見ながら、山を下り、右手からやって来る線路と合流してマイリンゲンに到着。
この駅で、進行方向を変えて、インターラーケンを目指す。先ほど、右手から合流したレールがこの後進む路線。

先ほど見下ろしていた谷を抜けると、青いブリエンツ湖が広がり始める。この後、ずーとブリエンツ湖に沿って走り、湖の端の町インターラーケンに到着。

10:33インターラーケン・オスト(インターラーケン東)に到着。マイリンゲンから先頭を務めたのは、Deh120型機関車。

到着後、早速機回し作業にかかる。

到着した向かい側には、チューリッヒ空港行きのSBBIC921が停車。乗客の乗り換えが終わると出発していった。ここから先は、BLS(レッチュベルク鉄道)の路線だが、スイス有数の観光基地だけあって、SBBからも直通列車が乗り入れる。

また、同じくインターラーケン・オストでは、ユングフラウ方面へと向かうベルナー・オーバーラント鉄道(BOB)との接続駅でもある。列車は、ICを撮影している間に、乗り換え客を乗せて出発してしまった。画像はEMUの動力車。

SBB、BLS、BOBの始発駅のわりには、閑散としているインターラーケン・オスト駅。こから、隣駅インターラーケン・ヴェスト(インターラーケン西)駅まで、散歩がてら歩くことに。

インターラーケン
ユングフラウ方面への起点となる観光の町。トゥーン湖とブリエンツ湖の間に挟まれ町からは、アイガーとユングフラウの姿も眺めることができる。


一番高い峰がアイガーかな?

こちらがユングフラウでしょう。タイミングよくハンググライダーが。

インターラーケンは世界でも指折りの観光地。ブランドショップ、お土産物屋、レストランが軒を連ねる。

BLS レッチュベルク鉄道
スイスの首都ベルン〜イタリアとの国境にまたがるシンプロン峠の幹線を有する私鉄。軌間がSBBと同じ1435mmなので、SBBのIC、ECなども乗り入れる。ゴールデンパスの区間は、支線というべきインターラーケン・オスト〜シュピーツ間、シュピーツ〜ツバイジンメン間が該当区間となる。

昼食を済ましインターラーケン・ヴェスト駅から再びゴールデン・パスの旅を始めましょう。やって来たのは、BLSの列車がやって来た。

インターラーケンを出ると車窓にトゥーン湖が広がる。

もう一枚。このトゥーン湖南岸真ん中あたりにあるのが、シュピーツ。ここで列車の乗り換え。12:58シュピーツに到着した。

シュピーツからこの列車に乗り換え。車両は先ほどと同じRBDe565。この列車は13:07発。

列車はトゥーン湖から離れ、山へと向かう。しばらくは遠くに山を見ながら走る。

やがて列車は谷間に入り、ご覧のような綺麗な景色が展開し始める。

後ろの山は野球のグローブのような。

13:54ツバイジンメンに到着。ゴールデンパスの地名は日本語表記すると難しいところが多い。BLSはここまで、ここから先は、MOB(モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道)に乗り換え。
インスブルックからチューリッヒへ ゴールデンパス後編