○● 読書感想記 ●○
2002年 【2】

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11月26日  うわーうわー!
 ハマッター!!(≧▽≦)

『嘘つきは妹にしておく』 清水マリコ 著

「私が、この物語が大好きな理由はね。死んじゃう役も、生き残る役も、みんな、物語の中で精一杯生きて、物語に登場した意味がある人物ばかりだからなんだ……舞台を見ると、私、いつもとっても、幸せだった」
 でも、とみどの声が震えた。
「終わりが近づくと、悲しくなるの。また、幸せな夢が終わってしまう。幕がおりたら、また私は、ひとりぼっちのどこでもない世界へ帰らなきゃいけない。舞台が終わると、夜か夕暮れで、劇場を出ると、涙が出るの。どうして、終わっちゃうんだろう。終わるくらいなら、このまま消えて、永遠になるほうがいいかも、って」

 すごく雰囲気の良いお伽話ですねー。
 読み始めたところで抱いた感想は、「文章版CAROL」。
 あの、ほら、TMネットワークの名作の「CAROL」ですよ。
 あの作品で失ったのは「音」でしたけれど、この作品で失われているものは「物語」なわけで。
 正確には、失われたわけではないんですけれども。

 んでも、バラバラになってしまった物語を、再び元の形に戻さないと、本の妖精が消えてしまう……というくだりに、クラクラ。
 なんてー、メルヘン!

 主人公、ヨシユキに託された、本。
 配役しか載っていなかったソレに、少しずつ物語(脚本)が明らかになっていく様は、なかなかにドラマティックであります。
 現実世界で物語上の配役に当てられた人物と心を通わせて、散り散りになった物語を集めていくってのはー、なー、もーっ!

 深読みすると、思春期の少年少女の行動様式について、いろいろと語ることもできますけれど、まあ、それ抜きでもストレートに面白いと思います。
 登場人物が、ねー。印象深いですよ。
 著者の清水マリコさんって、パラダイムでPCゲームのKanonのとか君望とかのノベライズをされているかたなんですけれど、正直、オリジナル作品の方が面白い文章を描けていると思います。
 ……あ。君望は、それなりに面白かったです(苦笑)。

 あと、toi8さんのイラストが、ぜっつみょー!
 やっぱり現役アニメーターのかたは、構図がひと味違う気がします。
 はやりのアニメ塗りではありませんけれど、とても趣があって好きです。


 それにしても、MF文庫、ハマリ気味ですか、自分?
 結構コンスタントにワタシ好みの作品が刊行されますねー。
 これからもチェックしていこうかなっ。

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