MAINLOGO

British Rock or Psyche Pop etc...
- A -


選択されたCDにスクロールされるまでしばらくお待ちください。
このページから出る場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを使用してください。



POP-LORE ACCORDING TO THE ACADEMY POP-LORE ACCORDING TO THE ACADEMY / ACADEMY

 1969年に発表された、女性1人男性3人からなるグループの唯一のアルバム。レア盤ばかりで知られるMORGAN BLUE TOWNレーベルの第1作でもあるそうです。

 地味なジャケットですが音は割とカラフル。ジャズ・ボーカルぽいもの、フラワーなフォークぽいもの、夢幻的かつ叙情的な曲が混在してます。そのどれもが、思ったよりもメロディが練られており、ドラムレスかつストリングス系が無く、アコギと管楽器系のみのアレンジのためかかなり軽妙。曲としては2曲目「MUNCHING THE CANDY」がフルートが夢見心地にさせてくれる、サイケ・ポップとも言える曲でベスト。

 アンダーグランド臭さが皆無で、かといって露骨にコマーシャルな作りでもない。カテゴライズするには中途半端でスカスカしたところも多いですが、結果として洒脱とも受け取れるような不思議な一枚。(2006/06/04)



RESURRECTION RESURRECTION / THE AEROVONS

 1969年にPARLOPHONEからシングル2枚のみリリースしたグループの当時未発表だったアルバムがCD化。NORMAN SMITHプロデュース(途中メンバー自身に交替)、GEOFF EMERICKやALAN PERSONSがエンジニアということで、音の質感はまさに当時のBEATLESそのもの。同じスタッフが同じスタジオの機材を使ってるのだから当然ですが、このCDの音質も良好で生々しさを感じます。

 時期的にはABBEY ROADの直前あたりですが、「ACROSS THE UNIVERSE」風の曲でBEATLESのメロトロンを使ってたり、「OH DARLIN」風あり、ボーカルは時にJOHN LENNON風に処理されていたりと、とてもあからさまなのですが、メンバーはなんと17才で、セントルイスから渡英してご本尊を拝んだりして舞い上がっていたのでしょう。

 そういった微笑ましく恥ずかしい面はあるけど、生硬だが瑞々しいメロディーの曲もあり、良い楽曲を作る力はある。それをBEATLES絡みのスタッフが盛り立ててます。2枚目のシングルで渡英のきっかけとなったシリアスな美しさがある「WORLD OF YOU」、ギター・ソロをフューチャーしたブルージーな「QUOTES AND PHOTOS」、いきなりの転調が印象的かつ若干ボサ風味で最もソフト・ロック的な「WITH HER」、歓声のSEが「SERGENT PEPPER'S」みたいなコミカルな「BESSY GOODHEART」、後半に「DON'T LET ME DOWN」を思わせる叙情を感じさせる「SHE'S NOT DEAD」あたりは楽曲としても優れている。

 「EVERYTHING'S ALRIGHT」はコード進行やベースラインにPAUL McCARTNEYの影響大あり。日本語ライナーでも触れられてますが、EMITT RHODESをはじめ、後のBEATLES風とか、PAUL McCARTNEYに多大な影響を受けたとされるアーティストやその楽曲に似た感触があります。

 アルバム最終曲「THE CHILDREN」はNORMAN SMITHがやらせたのか、PRETTY THINGSの「DEFECTING GRAY」と同じ方法論で違う曲をモザイク状に組み合わせた構成になっている。曲としても良いけど。曲間に鳥のさえずりや波音のSEが入っていたり、あるいは曲間が無かったりとかはGEOFF EMERICKのセンスか。

 「ボーナス・トラック」では1枚目のシングル「THE TRAIN」が印象的。ストリングス厚めだけど、BEE GEES風のメロをBEATLES風サウンドプロダクションでくるんだ実にコマーシャルな曲。

 ライナーに載った、おのぼりさん気分な当時の写真も面白い。APPの頃の姿しか知らなかったので、ALAN PERSONSの若い姿にはちょっと驚きました。(2003/10/05)



ALUN ASHWORTH-JONES ALUN ASHWORTH-JONES / AL JONES

 セプテンバー・プロダクションものとしても知られる1969年発表の英フォーク作品。これは2001年にMOONCRESTから出たCDで、大量のボーナス・トラックが収録されている。

 アルバム本編はジャケット通りの英国らしい小粋な気品とちょっとしたユーモアを感じさせる音。ジェントリーでハート・ウォーミングなAL JONESの声質と、さりげなくも清楚な室内楽的アレンジとの相性も良い。アシッドぽさは少ないけど、夢見心地にさせてくれる楽曲群です。特にフルートが上品さを醸し出す「COME JOIN MY ORCHESTRA」やメリハリのある「SARAH IN THE ISLE OF WIGHT」が印象的。

 11曲目、12曲目はRCAから出たコンピ盤「49 GREEK STREET」に収録されていたもの。これはブルースな曲だ。アルバム本編での最終曲でもJIMMY REEDの「BRIGHT LIGHT BIG CITY」を織り交ぜており、意外とブルース寄りの人なのかもしれません。

 13曲目〜17曲目は1973年のセカンド「JONESVILLE」より前、1971年にアルバム用に録音された未発表音源。すべて本人のみの弾き語りで、15曲目「ALL MY FRIENDS ARE BACK AGAIN」がベスト。

 18曲目からは小会場でのライブ音源ですが、これは賛否両論かもしれません。本盤を深淵な「英国の森」から一気に俗世間に引きずり出すような内容。「A MESS OF BLUES」「THAT'LL BE A DAY」「LA BAMBA」「BOYS」等有名曲をオリジナルに似せて歌いまくってますが、その立ち振る舞いはまるで演芸場での芸人のようにも思えます。(2005/04/24)



BEDSITTER IMAGES BEDSITTER IMAGES / AL STEWART

 70年代にALAN PARSONSのプロデュースで商業的に成功したシンガー・ソングライターの1ST。フォークサークルにいた彼ですが、この作品は1967年発表らしく彼の弾き語りに管弦楽器などの美麗な装飾が施されてます。これもBEATLESの「SGT. PEPPER'S」の影を引きずった作品。BEE GEESの1STにも近い。次作ではJIMMY PAGEが参加してるのは有名。

 彼自身は本作を気に入っていないようですが、ともかく本作での彼の人なつっこい声とメロディーとアレンジの相性は悪くないと思います。少々青臭いが甘酸っぱい彼の小宇宙が広がってます。彼の場合、当時のDONOVANと違ってアシッド臭があまり感じられない。また、彼の声質は好き嫌いが分かれそうです。2枚目な顔で夢見るような屈託ない声で歌ってますが、けして脳天気ではなく叙情を感じます。

 この作品はCD化されていないようですが、1993年に出た2枚組編集盤「TO WHOM IT MAY CONCERN」のなかで聴くことができます。実は私が持っているのもそちらの方です。「BEDSITTER IMAGES」のジャケット画像はその編集盤のライナーに掲載されていたものです。(2000/09/30)



OUTWARD BOWN...PLUS OUTWARD BOWN...PLUS / THE ALAN BOWN!

 JOHN BARRY楽団出身のペット奏者を中心としたがグループ。1967年までのTHE ALAN BOWN SET時代はR&B〜モッズなグループだったが、サイケ・ポップ寄りにシフト。その後グループ名から「!」は取れたみたいですね。これは1968年発表のアルバムにシングル曲4曲を加えたもの。JESS RODENやらROBERT PALMERやらその後の有名ボーカリストが在籍していた事でも知られる。このアルバムではJESS RODENが殆ど歌っている模様。

 ふにゃっとして脳天気でコマーシャルな曲と、JESS RODENの渋いシャウトが冴え渡るハード・ロック風であり時にはジャズ・ロック風の曲展開を見せる曲との2つのタイプがあり、この両極端が何の疑問も持たずに混在している。後者のタイプの曲は演奏力もすこぶるあり、熱い演奏で、1968年にしては先進的だったかも知れません。

 前者の代表はシングルにもなったアルバム先頭の「TOYLAND」。「MAGIC HANDKERCHIEF」はR&Bをひきづった演奏。「TECHNICOLOUR DREAM」はSTATUS QUOのとは同名異曲。タイトルにTECHNICOLOURから入る曲にハズレなし。「WE CAN HELP YOU」はNIRVANA(UK)のカバーでシングル曲、個人的にはお目当てだった曲。その他「VIOLIN SHOP」「YOU'RE NOT IN MY CLASS」など、ペットやらリコーダーやらオーボエが入るアレンジは面白い。ニッチな例えですが、SIMON DUPREE AND THE BIG SOUNDがポップな曲をやっているのと同じような佇まいで、MANFRED MANNあたりに比べるとなんとなくよそよそしさも感じます。

 ボーナストラックのうち、2曲はアルバム本編に挿入していますが流れとしては悪くない。ジャケットはオリジナルを尊重して欲しかった。(2003/10/19)



LOVE AND POETRY LOVE AND POETRY / ANDWELLAS DREAM

 後にUKスワンプの名作「PEOPLE&'S PEOPLE」を残すANDWELLAの前身。1968年に発表した唯一のアルバム。約2年ほど前CD化が予定されながら、アーティスト側からの申し入れにより中止になりましたが、今回は無事CD化されました。カラフルなジャケットの再現もお見事。

 よくサイケの影響が強い、との評を目にしますが、最初の2曲「THE DAYS GREW LONGER FOR LOVE」「SUNDAY」は緩急つけたドラマチックな構成、というかやや大風呂敷な曲。プレ・ハードロック的というか、エッジが立ったギター・オリエンティッドで、キーボードがたなびく。3曲目「LOST A NUMBER FOUND A KING」はややダウナーでねちっこい曲。

 しかしその後は色んなタイプの曲があります。ややサイケ・ポップ的な「CLOCKWORK MAN」「HIGH ON A MOUNTAIN」、荒削りにジャジーな「COCAINE」、最初の2曲と同路線のハードでドラマチックな「SHADE OF GREY」「ANDWELLA」「FELIX」、フォーキーな「MIDDAY SUN」、「MAN WITHOUT A NAME」「TAKE MY ROAD」あたりは後のANDWELLAを思わす曲調。最終曲弾き語りの「GOODBYE」は意図的なのか、1曲目のイントロと繋がっている様にも聞こえます。

 そして、どの曲でも輪郭がくっきりしたメロディーかつ、1968年にしては先進的な完成度で、中心メンバーDAVID LEWISが当時弱冠17歳だったとはとても信じられません。実に早熟な才能です。(2004/10/31)



CORNFLAKE ZOO CORNFLAKE ZOO / ANDY ELLISON

 MARC BOLANもいたJOHN'S CHILDRENのフロントマンであり、その後JET、RADIO STARSなど英ロックの裏路地を渡り歩いた彼のアンソロジー。リリース情報が出てから半年ほど待たされましたが、やっと発売されました。「SOLO SINGLES, DEMO'S AND UNRELEASED RARITIES: 1967-2005(vol1)」と銘打ってますが、全16曲中前半8曲は1967-1968年にかけての、後半は1982年以降の音源で構成されてます。vol2ではここに無い70年代が中心なのでしょうか。



9曲目以降は省略しますが、最後の2曲は2005年録音。ライナーによると新曲によるソロアルバムを準備中とのことで、常に現役であろうとする前向きな姿勢も感じられます。(2006/09/24)



MAYBE TOMORROW MAYBE TOMORROW / ANGEL PAVEMENT

 1969年と1970年にシングル2枚のみ発表したのみながら、評価が非常に高いグループ。最近まで(2002年にLPが出るぐらいまで?)メンバーのパーソナル等詳細が知られていない、謎の多いグループだったようです。2002年にTENTH PLANETから同名のLPが限定1000枚で出ていましたが、2005年にWOODEN HILLから出たこのCDは、LP収録曲の後ろに8曲をプラスした形になってます。ライナーもLPと同じ人物が書いてますが、CD化にあたって加筆しています。

 また、MORGAN BLUE TOWNスタジオのスタッフが深く関わった作品としても有名。斯界以外では通用しない固有名詞ですが、DANNY BECKERMANが主要曲を書き、SMOKEのGEOFF GILLがプロデュース、CLIFF WADEの曲もあります。

 まずLPと同内容の本編ですが、音質が良好なことに驚きます。内容も60年代サイケ・ポップと70年代ポップ/ロックの両端がうまく重なり合って融合したような作品群です。まさにMORGAN BLUE TOWNスタジオ謹製ポップ/ロック作品。

 中性的な声質で、なめらかに歌うボーカル。晴天を思わせる穏やかなメロディー、ホーンやハープシコードを施した歯切れ良いアレンジ、たまにMORGAN BLUE TOWNらしい音響や仕掛けもあったりしますが、アンダーグラウンド色は皆無。

 「BABY YOU'VE GOTTA STAY」「GREEN MELLO HILL」など、DANNY BECKERMAN作の曲が特に出来が良いですが、メンバーのALFIE SHEPHERDによるやや長尺な「WHEN WILL I SEE JANE AGAIN」も良い。その他の彼の作品はもとはフォークぽいのをポップにアレンジした曲が多い。

 このアルバム・タイトルとなった「MAYBE TOMORROW」はIVEYSの曲ですが、イントロだけはまるでCHICAGOの「長い夜」のようです。「WATER WOMAN」はPACIFIC DRIFT、AMAZING FRIENDLY APPLEといった当時のグループも取り上げてますが、アメリカのSPIRITというグループがオリジナルのようです。

 CD化によるボーナストラックでは、まずLPには入ってなかった2NDシングル「TELL ME WHAT I'VE GOT TO DO」、マスターが無かったのか、いきなり音質が落ちますがよく収録してくれました。その後はしばらく「MORGAN BLUE TOWN時代」以前に録られたデモ音源。純朴なオリジナル曲の一方、BUFFALO SPRINGFIELDの「FLYING ON THE GROUND」を取り上げているのが目に付きます。最後の2曲は再びMORGAN BLUE TOWNで録られたもの。(2005/02/27)



AN APPLE A DAY AN APPLE A DAY/APPLE

 KINKSのマネージャーだったラリー・ペイジのPAGE ONEレコードから発表された、彼ら唯一のアルバム。

 バンド名から、ついBEATLESを連想してしまいますが、音を聞くとYARDBIRDSを思い浮かべます。2曲もカバーしてるし、ギター中心で金髪の蓮っ葉なボーカリストという共通点があります。

 ピアノのCHARLIE BARBERの曲と、ギターのROBBO INGRAM、ドラムのDAVE BRASSINGTONが共作した曲が好対照。CHARLIE BARBERの曲は陰影に富んだポップな曲。こちらはBEATLES的かもしれませんが、彼の声も含めてPINK FLOYDのRICHARD WRIGHTの曲に似ていると思います。ROBBO INGRAMとDAVE BRASSINGTON組の曲は前述のようにYARDBIRDS的。

 曲はそんなに悪くないのですが、1968/1969年というと、彼らのような音は少し時代遅れになっていたのではないでしょうか。売れなかったのも必然かもしれません。(1999/05/29)



THRO' THE RECENT YEARS THRO' THE RECENT YEARS / ARCHIE FISHER & BARBARA DICKSON

 スコットランドのトラッド/フォーク界隈では名盤のひとつとされているらしい、1970年発表のアルバム。男性の方は、兄弟姉妹もスコッティッシュ・トラッド界では著名らしいが、このアルバムはトラッドの匂いがなく、かつ派手にコマーシャルなところもない、程よく落ち着いたボーカル・アルバム。バックも控えめながら的確。

 ジェントルな男声に、表情豊かに歌い上げる女声。デュオ・アルバムというよりは、曲ごとに交互にソロで歌ってます。演奏は、オルガン、フルート、チェロや弦楽器が入りますが、あくまでも曲とボーカルを引き立てるため、低めにミックス。とはいえ、THE BANDで有名な「TEARS OF RAGE」はハモンドオルガンが実にいい味出してますし、「SOMEBODY COUNT ON ME」での切り込むようなチェロがサイケ・ポップな興奮をもたらします。

 1970年という、1曲がどんどん長くなっていたころに、14曲も収録されているし、全曲ほぼ間奏なし。ジャケットの字体も2-3年前ぐらいに流行ったスタイル。スコットランドだから、時の流れが違うのでしょうか。また、歌詞カードが全曲は無いのが不思議でしたが、BARBARA DICKSONが歌唱に絡んでいない曲は除外されているようです。(2008/11/09)



SUPERNATURAL FAIRY TALES SUPERNATURAL FAIRY TALES / ART

 SPOOKY TOOTHの前身にあたるグループの、1967年に発表された唯一のアルバム。ジャケはカラフルで、内容もサイケな仕掛けが少々ありますが、モッズの発展型でハードロックの前段階という印象。MIKE HARRISONによるやや蓮っ葉でブルージーなボーカル、ねちっこいギター、もったり重いリズム・セクションと、全体的にヤニと埃の匂いが漂ってくるような音です。

 2曲目の「WHAT'S THE SOUND (FOR WHAT IT'S WORTH)」はシングル曲でもありますが、BUFFALO SPRINGFIELDのカバーがデビュー曲とは意外。アフロな3曲目「AFRICAN THING」から、イントロでキーボード逆回転ありの「ROOM WITH THE VIEW」への場面シフトも印象的。6曲目でタイトル曲「SUPERNATURAL FAIRY TALES」でのハードな曲調から一転してフランジャーかかったブリッジへの展開部分は、メロトロンも絡んできてカッコ良い。8曲目RASCALSのカバー「COME ON UP」はこれだけギターのLUTHER GROSVENORが歌っているように思えます。他の曲で聴けるSTEVE WINWOODに似た声のバックコーラスは彼のよるものなのでしょう。また10曲目「TALKIN' TO MYSELF」はこれだけやたらポップな曲調で異色。(2002/03/31)



MAGIC IN THE AIR MAGIC IN THE AIR / THE ATTACK

 英フリークビート系の中でも評価の高い彼ら。何種類か編集盤CDが出てますが、これはAFTERMATHというレーベルから出たもので、一番サイケ・ポップぽいジャケットなので購入。

 1967〜1968年初頭に発表されたシングル曲中心の構成ですが、なぜか(THE SYNとの競作と思われる)「CREATED BY CLIVE」が未収録なのが残念。サイケ風のコーティングがされたフリークビート以降ハードロック未満な楽曲が並んでいます。表題曲は無理にオルゴールのイントロや管楽器を組み合わせたような強引さが、また良い。フリークビートの活気と気迫が感じられ、ハードロックのような重さ暗さが少なく、サイケな仕掛け、意外と愛嬌あるメロディーなど、この特定の時期にしかありえない音が感じられます。(2008/03/30)