「じゃあ一杯だけ……」
「そうこなくっちゃ」あなたは少女が差し出した盃を受け取りました。
「この森にはね、あたし専用に魔法が掛けられているんだ」少女は盃を片手に話しはじめました。内容を要約すると、少女は伝説の魔法使いたちの王国の姫君で、その中でも一番の魔法使いなのだそうでした。ですが魔法の国の厳格で規則づくめの生活が性にあわず、国を出て森を抜け、外の世界へ出ることを望んでいたのだそうです。しかし国のものたちはみな少女が外の世界へ出ることで自分達の生活が脅かされるのを怖れて少女が森から出られぬように魔法をかけ、そしてその報復を怖れ、少女をこの森に幽閉してしまったのだそうです。
「この森に掛けられた魔法を解くにはね、どうしても外の世界の人間の協力が必要なんだ。誰かと共に森を出るか、もしくは外の世界からあたしをよんでくれる人が居たなら、その魔法は力を失うんだ。だけど誰も森の中に入っちゃこないし、あたしの住んでるこの屋敷までたどり着く者もいない。だから毎日やけ酒呑んで過ごしてたんだ」
そういうと瞳を輝かせながらあなたの方を覗き込みました。
「昔ね、外の世界の人間があたしの国に紛れ込んで来たことがあったんだ。その男がね、言ってたんだ。酒ってさ、作られてる場所によってその材料や作り方が違うだろ?それに同じ作り方でも作る人によって味がぜんぜん違ったりしてさ。いい酒を作る人やその酒が出来るところにはいい人生があるんだって。精一杯生きることを楽しんでいる、そんな人生が」
「国に居た頃の自分はまるで偽者だった。生きてることなんてめんどくさいだけのことだと思ってた。でもその話を聞いてからそんな風に暮らしてる人に会ってみたい、そしてその酒を呑んでみたい、そう思うようになったんだ」
少女は夢見心地に言いました。
しかしでも何か思い悩んでいるのか、伺うような視線であなたのことを見つめてきました。
「だけどね、あたしは国の世継ぎでもあるんだ。ねえちゃんはあたしより魔力が劣るモンだから内乱になることをさける為にさっさと結婚して王族の籍から離れちまったんだ。そのねえちゃんの想いを裏切らないようにするためには国に戻って真面目に世継ぎをやるべきなんだろうけどさ、あたしは自由になりたい、この森を出ていろんな人に会って、いろんな話を聞いて、いろんな酒を呑んでみたいんだ」
そう言うと少女は深いため息をつきました。
さて、それからあなたはどういう言葉をかけてあげますか?
A 「無責任じゃないのか?」と諭す B 「やりたいことをやりとおせ」と言う