リレーエッセイ

まじめな私 (金澤哲也)

 先月の栗原君とは高校の水泳部の同期で、高校時代は好対照な二人でした。彼は真面目で、授業などは一切サボらず、練習に打ち込む姿は下級生の見本でしたが私は正反対。練習は嫌いで、スキあらば手を抜き、悪しき見本でありました。

 「高校時代は」というとブーイングの声が聞こえてきそうですが、その通り。基本的なラインは今も変わらず、真面目な彼と好対照な私…。
 しかしそんな私もこと水泳に関してはそこそこ真面目になりました。愛媛では市営のプールで泳いでいましたが、浜松に転勤になり、自由に泳げるフリー会員として近所のスイミングで泳いでいます。
そんなある日「一緒に泳がない」と妙に体のよい、30代前半くらいの人に声をかけられ、昔とった杵柄とホイホイと一緒に練習を始めましたがこれが大変なことでした。
 その日の練習は「まずはアップ、50mスイム、100mキック、200mプル、100mキック、50mスイムね。」と言われ、引きつりながらもやせ我慢。最後に200mも続けて泳いだのはいつだったかも思い出せないまま、また今更やめますとも言えず、泳ぎます。
 「アップ」が終わると「次はインターバル100m×3と50m×4キックを」、どれだけ練習が続くのか不安になりながら泳ぎます。ようやく長い5本が終わると「じゃあもう1セット」と信じられない言葉が。
「この人、よくがんばるな」と感心しつつ、気持ちは完全に練習終了モードで最後の5本を泳ぎきった後に更なる一言「じゃあラストもう1セット。」
プールを出たときは高校時代の強化練習期間の、学校からの帰り道と同じように、体中に疲労を感じながら家へと帰りました。

 その後はその人の同級生や後輩という人が加わり、日増しに練習がきつくなり、気がつくと100m×10を1分40秒サークルでやっていたり、200m×3を3分サークルで回されています。現役時代でもやったことのないきついインターバルを、体がダブついた今できるはずもなく。、高校入学以来間に合わないインターバル練習をしています。正直言って非常にきついのですが高校生に戻ったようで妙に楽しく泳いでいます。
30代前半と思っていた人も年齢を聞くと実は39才。40才で1分を切るとがんばっています。こんな「先輩」に時折圧倒されながらも泳いでいます。
去年のことがあるので大口は叩きませんが、市民大会では全力を尽くします。

次回は私が10年後には逆転しようと思っている、吉川渉君にバトンタッチ!

 ◆編集者からひとこと
  金澤くんはペンネーム「たけし」の名で『たけしの水泳教室を連載しています。
  そちらの方も是非お楽しみください

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