シスター、行ってらっしゃい

修道院にて

シスター牧野は、約1年間の日本滞在を終えられて、3月20日にマダガスカルに戻られました。その数日前に、滞在先だった世田谷の修道院に伺いました。幹線道路から少し入っただけなのに驚くほど静寂で、ひっそりとたたずむ修道院は、言葉にならないほど清楚で素敵でした。伺った前日まで、シスターは黙想の家で一切の会話をしてはならない修養をされていたために、なかなかお会いできずにいました。

ご出発直前に世田谷まで車を飛ばした理由は、もちろんご挨拶もあったのですが、シスターに遅れること1週間、大学の春休みを利用してマダガスカルに出かける息子が、荷物をことづかるためでもありました。「どうしても産院で必要なの」と東急ハンズで買われた黒板、それに長い傘が2本、さらに医療器具のドップラー(これが結構重い)…。しかし若い息子の体力をしてみれば何ということはないでしょう。さらに「マダガスカルに来ている間、子供たちに算数とサッカーを教えてあげてくれる?」 との依頼があり、算数はともかくサッカーは大得意とあって、大乗り気。かくしてサッカーボール2個も荷物に入れることになりました。

シスターは相変わらず若々しく、人一倍お元気で、マダガスカルでの活動を継続されるご意志でした。私たちの支援活動も、シスターの到着を待って再開したいと思っています。              
                  (福永佳津子)


康大の「マダガスカル旅行報告会」
2006年6月

日々諸事雑事で多忙な仲間たちと、学業専念?で日程がタイトな息子のスケジュール調整は至難の技。それでもやっと5月21日の午後の時間を確保し、康大の「マダガスカル旅行報告会」を開催することができました。まずは400枚ほどの撮りに撮ったデジカメ写真のご披露から。数年前に我らが仲間でマダガスカルに行った時のカメラワークより写りがぐっといいのは、デジカメ作品だからに違いない…。空の青さに姿勢のいいバオバブの木がくっきり映えて、その美しさにあらためて惚れ惚れし、すっかりご無沙汰していた?輪尾キツネザルやシファカ、マダガスカルホシガメ、カメレオンとの再会?に歓喜の声をあげました。

次いで、小遣いを叩いて?買ったという木彫り作品のお披露目会。マダガスカルホシガメは本物に見間違えそうだし、イエスキリストの像は実に細やかな手作業が施されていて、その丁寧な仕上がりと完成品の技術の高さにしばし感動でした。

そしてそれからがいよいよ本番でした。面倒だからと持参を渋ったビデオカメラでしたが、シスターの日常生活や産院の内部潜入レポには欠かせず、たっぷり80分はあるドキュメンタリーフィルムで報告会は一気に盛り上がりました。私たちが送った荷物が収まったストックルームを見て、フムフム。康大が旅行記の中で触れていた待合室の木の椅子を見て、なるほど。産院の隣の敷地に予定されている手術棟の場所を確認してナットク。飼育中の豚や牛、鶏がその日の夜の食卓に乗る話におびえて沈黙…。仲間の松本さんがマダガスカル駐在中、産院の庭に植樹した木の驚くほど逞しく立派な成長の様に、皆で感動。さらにシスターの自転車ひょい乗り姿にも大喝采を送った上映会でした。持参したボールで宿泊先の子どもや居合わせた人たちと興じたサッカー練習風景の映像もまるでワールドカップを見るよう?で。ネットは無かったものの、ゴールポストはちゃんとあり、皆そこそこ上手だったことにもびっくりでした。夜のナイトサファリに重装備(マラリアを恐れて完璧な蚊対策を、と、目以外は全部隠した)で出向いた私と息子の軽装姿は、何がどう違ったというのでしょうか。若さ?でしょうか。それはともかく、動物たちが奇妙な姿で愉快に飛び跳ねる姿は笑いを誘い、マダガスカルに行きそびれ、様子を知らなかったメンバーにもビデオの効果は絶大でした。康大の顔半分がない映像を見て、どうしたの?と聞いたら、「シスターが撮ったから」。何でも挑戦するシスター。素敵です。

シスターの表情が、日本におられた時よりさらに血色よく、お元気そうなことに気づきました。マダガスカルに早く帰りたいと仰っていたお気持ちがよくよくわかりました。あの国のあの産院で活動されることが、シスターにとって一番心地良いことなのでは、とあらためてその思いを強くしました。それにしても、我が息子はシスターのお計らいで普段の日常からは想像だにしない世界を垣間見ることができ、ひと回りもふた回りも大きな人間になれたのでは、と感謝しています。帰国してすぐに立ち寄ったスーパーで、「日本って驚くほど物が溢れているね」と言った何気ないひとことにも、ささやかな成長を見る思いでした。詳細は息子のぼちぼち書いている報告記をお読み頂ければ、と思います。(福永佳津子)

現地で撮影した写真を手に 松本さんのご主人が植えた木の前で
  戻る