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巨大クーラ vs 中型クーラ

-巨大クーラは必要か-

 

LastModified 02/10/14

世間様は300A 20週以降フィーバーに揺れる今日この頃(1999.8.03現在)ですが、とある理由から PPGA300A -SL36A- を購入しました。購入したのは20週が話題となる前でしたが、引き出しの奥で眠らせていました。当然ながら、「引き」の弱い四万十川の事ですので、7週ものです。トホホ・・・・

しばらくは手持ちの巨大クーラ ギガコンプ SB13070 MKUで運用していましたが、CPUクーラ付きで他マシンに移設の必要が出てきたので私にしては珍しく、アルファの中型CPUクーラを購入しました。(バリューウェーブ VFS6030AA)

折角、巨大と中型の2つのCPUクーラが揃ったので、この2つの比較をしてみたいと思います。PPGA300A程度に本当に巨大クーラが必要なのでしょうか?

 


1 CPUの素性

まずは、CPU自体の素性を[今時のP3]同様に調べてみました。

CPU PPGA300A SL35A L9074590-0312 MALAY Vcore=2.0,2.1,2.2,2.3V Vio=3.74V
M/B ABIT BX6rev2 with TurboPLL01
CPUゲタ MSI MS-6905D
Cooler SB13070 MKU(後述)
OS Windows95 OSR1
グリス TSC-1

1. ケースは開けた状態とする。

2. 温度計測は以下の4点

    室温、CPUコア横、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)

    BX6rev2 のW83782D の機能によりCeleronコア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り

3. 計測条件:Superπ52万桁を実行し、終了時点での温度を計測。
    温度計測後、Turbo.PLL01により動作clockを変更。

4. 計測結果

これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。
測定した生データついてはこちらをご参照下さい。ここでは、コア内部のデータのみ表示します。(塗り潰しているのは、Windows起動限界です)

尚、測定時の気温については24.5〜25.2℃の範囲で変動していますが、変動幅が狭いので今回は測定温度のまま扱います。

SB13070コア内部

2.0V

2.1V

2.2V

2.3V

450

42

43

46

48

460

42

44

47

49

470

42

45

47

49

480

42

46

48

49

490

 

46

48

49

500

 

50

510

 

wpe2.jpg (24110 バイト)

 

はァー、2.3Vかけてもやっと 500MHzっす。相変わらず、引きの弱い奴・・・・・まあ、Vcore=2.0V 450 MHzで動いてる訳ですから、文句は言えない所ですけどね^^;

グラフを見る限りでは、発熱傾向は Vcore=2.0V ではほとんど動作clock の影響をうけていません。Vcoreが上がるにつれて、clock の上昇の影響を受けやすくなっている様です。このCPUの場合Vcore=2.0Vで、FSB103x4.5=463MHz あたりで使用するのが無難そうです。

 


2 エントリー

1.ギガコンプ SB13070 MKU

sb13070_2.jpg (25783 バイト)

sb13070_1.jpg (23750 バイト)

SB13070_PPGA_1.jpg (12802 バイト)

SB13070_PPGA_2.jpg (12395 バイト)

[巨大クーラ比較]にも登場した大阪のshop ギガコンプさんが発売している CPUクーラです。アルファ社のヒートシンク SB13070 にオリエンタルモータ製6cmファンx2を組み合わせています。装着方法はL字型の金具によるクランプ方式です。今回のPPGA300Aに適用する場合は、CPU側に金属製のバッファ板(3mm厚アルミ板)と背面側にプラスティックスペーサ(写真中白の円筒部分)を使用します。これによりMS-6905Dのコンデンサとの干渉も避ける事ができます。

SB13070_PPGA_3.jpg (11066 バイト)

アルミのバッファ板が熱伝導の観点からは不利になると思われますが、実装状態での性能を見るという事でご了承下さい。ちなみに、ファンの向きはケース内の気流の向きを考慮して反対にしています。

 

2.バリューウェーブ VFS6030AA

VFS6030AA_0.jpg (16378 バイト) VFS6030AA_1.jpg (16747 バイト) VFS6030AA_2.jpg (15634 バイト)
VFS6030AA VFS6030AA改1 VF6030AA改2

 

アルファ社のヒートシンクPHF6030に台湾製 JAW SHING ELECTRONIC製のファンをつけてバリューウェーブから発売されている製品です。(\3980でした)実は、ショップで見掛けてアルファのファン付PFH6030だと思って購入してしまいました。開けてびっくりです。インテイクシュラウドは付いてないわ、ファンは安物で吹き付けタイプだわ・・・・まあ、やられたって奴ですね。(T_T)   アルファの通販でインテイクシュラウドが付いてファンが山洋のタイプ(PHF6030MUC)が\3170であるので、送料を考えてもそちらの方がいいでしょう。(余談ですが、アルファの通販の支払方法がいつの間にか、代引になってますねえ。まあ、無理もないか・・・)

いくらなんでもあんまりなので、少し手を入れてみたのが真ん中の写真です。ファンを吹き出し方向にして、ファンとシンクの間には5mm厚のナットをスペーサとして入れてあります。(TAKA100等で使われている方式です。ファン中央は風が起きないので、整流スペースを設けるものと考えています。)ついでに、ガムテープでインテイクシュラウドを作ってみました。

右端の写真はファンを、オリエンタルモータ製 MD625B-12(4000rpm 0.5 m^3/min)に換えてみました。もとのJAW製ファンもMD625B-12も 12V-0.16A 仕様です。

(注)吹き付けよりも吹き出しの方が冷却性能が良いというのは、冷たい外気が最初にコア付近のフィン根元に当たる為とアルファ社では説明しています。


3 実験方法

CPU PPGA300A 100x4.5MHz駆動 Vcore=2.0V Vio=3.74V   SL35A L9074590-0312 MALAY
M/B ABIT BX6rev2 with TurboPLL01
OS Windows95 OSR1
グリス TSC-1
  1. ケースは閉めた状態とする。

  2. シリコングリスはセッティングを5回行って計測し、ベストのデータを使用(作業性の影響を排除)

  3. 温度計測は以下の5点

  4. 室温、ケース内温度、CPUコア近傍、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)

    BX6rev2 のW83782D の機能によりCeleronコア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り (この件については別の記事に記載します)

  5. 計測条件:FinalReality を1時間以上ループさせ、温度変動がなくなった後、一番負荷の高い City 時で温度を計測

 


4 実験結果

これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。

巨大クーラ比較

室温

ケース

シンク

コア脇

コア内部

SB130MKU

計測温度

24.7

27.0 31.5 33.8 42
室温との相対温度 2.3 6.8 9.1 17.3

VFS6030AA

計測温度

24.7

28.0 36.1 38.3 46
室温との相対温度 3.3 11.4 13.6 21.3

VFS6030AA改1

計測温度

24.7

26.0 34.0 36.1 44
室温との相対温度 1.3 9.3 11.4 19.3

VFS6030AA改2

計測温度

24.7

26.0 33.1 35.5 43
室温との相対温度 1.3 8.4 10.8 18.3

 


5 考察

(1) VFS6030 の改造について

コア内部温度を見るとVFS6030AA に対して、改1で2℃、改2で3℃低減しています。特に改1については、費用も手間もほとんどいらずに2℃も低減できるので、お勧めといえるでしょう。改2と改1の差に付いては、たったの1℃です。安っぽいファンながら、オリエンタル製と電力仕様が同じなのでそれほど差が無いという事でしょうか。費用を考えると、わざわざ換えるまでもないかもしれません。

無論最初から、アルファ製PHF6030MUCを買うべきなのは言うまでもありません。(爆)

 

(2) VFS6030改2とSB13070MKUについて

これは意外でした。両者の大きさを比較すると体積で3倍近くの差があるにもかかわず。コア内部温度の差はたったの1℃です。これはどういう事でしょうか?

[1.CPUの素性]の項を見ると、今回使用したPPGA300Aは、Vcore2.0Vではかなり発熱が少ない性質を持っています。よって、元の発熱が少ない為CPUクーラの性能が出難いのではないかと思います。(熱抵抗は ℃/W で表しますよね) [コア研磨の真実-PPGA編-]においても、これを裏付ける結果が出ています。
逆に言えば、PPGA300A Vcore=2.0V 450MHz 程度であれば、中型クーラで十分とも言えます。

根っからの巨大クーラ派の私からするとちょっと肩すかしな結果となりました。しかし、今回の結果はあくまで限定された条件における結果である事は認識する必要があるでしょう。300A で 133x4.5=600 MHz を目指す様な場合には、おのずと状況はかわってくると思います。Vcore=2.3V 程度で比較するべきだったと後悔しきりです。m(__)m

大切なのは、闇雲に冷却を強化することではなく、

目標とする冷却に対してコスト・手間の面から、ベストな冷却方法を探して行くこと

ではないかと思います。

え、私ですか? やっぱ、とりあえずでっかいのにしておきます。(爆)

 


6 独り言

いやー、今回はCPUに始まり、CPUクーラに到るまではずしまくりました。やっぱ、何も考えないで物を買うとろくな目に会いませんねー^^;

バリューウェーブという会社がどーゆー意図であの様な改悪をして販売しているか(まあ、コストでしょうが)はわかりませんが、せめてアルファの箱に入れて売るのは止めて欲しいものです。^^;

しかし、ちょっとした工夫や努力でかなりの成果が見込めるものですね。私も改めて勉強させてもらいました。

マヤコフスキーに聞くまでもなく「人間は昨日から来て明日にしかいけない」。
そしてひょうたん島大統領ドン・ガバチョ氏によると「どこまで行っても明日がある」そうだが、
必ず「明日と言えない日がいつか来る」(渡哲也[無頼])のだ。
今日をこそ努力せずして何としよう。
(矢作 俊彦著 「複雑な彼女と単純な場所」より)

と言いますが正しくその通りですね。日々是 自己研鑚に勤めねばならんなあ、と思う今日この頃です。

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