巨大クーラ +1
バトルロイヤル
(GIGACOMP, Alpha, TAKA100)
LastModified 02/10/14
さて、今回はCPUクーラについての話です。最近はCPUはどれもCPUクーラなしでは動作できない程発熱します。てな訳で必ずCPUクーラを装備するんですが、PentiumU・V、Cleleron
用として一般に市販されているクーラは、OverClock
を考えた場合なんとも心もとない限りで、思わず無駄無駄無駄無駄ァ〜ッツ(by ジョジョ)と言われてしまいそうです。
そこで最近では、巨大なCPUクーラを装備する事が流行っています。リテールのCPUクーラからすると見るからに笑えるこれら巨大クーラですが、効果は確かで良く冷えます。そこで今回はたまたま手元にあった以下の3つのクーラについて比較を行ってみました。
1 エントリー
0.リテールCPUファン(もどき)
Celeron
リテールファンだったものです。一旦外した後、サンドイッチ冷却に使用する為に、接触面の研磨、両側の耳?の部分の切り取り、端部のカット、等様々な加工を行っています。
また、300Aとの固定については細心の注意を払いましたが、Intelの工場における管理された体制でのパッケージングとは、当然CPU-シンク間の接触状況も変わっているでしょう。(悪くなっているとは思いませんが)ここでは、[このクラスの大きさのCPUクーラー]程度にお考え下さい。
尚、カットしている端部はガムテープでふさいでいます。
1.ギガコンプ SB13070 MKU
大阪のshop ギガコンプさんが発売している
CPUクーラです。アルファ社のヒートシンク SB13070
にオリエンタルモータ製6cmファンx2を組み合わせています。ファンを上部に斜めに配置している為、Dual
CPU
に対応できるのが最大の特徴です。(その代わりケースによっては入らない場合もあります。PCIスロットの端から
45mm必要です)
装着方法はL字型の金具によるクランプ方式です。元々はPentiumUのSECC用でしたが、金属製のバッファ板(CPUコア側)とプラスティックスペーサ(背面)を使用する事で
Celeron, PentiumVにも対応可能です。
クランプ方式という事で取り付けに不安があるとお思いでしょうが、この方式は優秀でPentiumUの場合、ヒートシンクとサーマルプレートの温度差は1℃程度でした。また、クランプ式の為対応CPUの自由度が広く、Soket370アダプタに対応可能な製品としては唯一なものです。
今回の計測に際しては、マザーボードのリンテンションキットとの干渉を防ぐ為に、CPUコアとヒートシンクの間に3mm厚のアルミ板2枚をスペーサに入れてあります。熱伝導の観点からは不利になると思われますが、実装状態での性能を見るという事でご了承下さい。
ちなみに、ファンの向きはケース内の気流の向きを考慮して反対にしています。
2.アルファ P125
+オリエンタルモータ6cmファンx2
OverClock
をやる人間なら95%に人間が知っているであろうヒートシンクのアルファ社の製品です。最近は取り扱い店も増えて一般のパソコンショップでも入手が容易になりました。
アルファ社では6cmファンと組み合わせて
P125CM60
というセットで販売されていますが、敢えてこれを使用していません。実は以前使用した事がありますが、使用されている6cmファンの品質がイマイチで(固体差かもしれませんが)、妙な振動がします。その時はケースも剛性があまりないものを使っていた為、ケース側面とCPUファンが共振を起こして凄まじい騒音が発生してしまい、その後の対策が大変でした。オリエンタルモータのファンは完全に工業用でして、風量静粛性共に文句無しです。(私はケースにもオリエンタル製8cmファンを使っています)
今回の組み合わせは、ギガコンプさんでセットとして販売されています。
装着方法は、PentiumUの場合はタッピングビスで、Celeron
の場合は上の写真にある様な板バネ方式です。この板バネ方式は、誰にでも簡単に装着できる優れた方式ですが密着具合としては?
です。今回はあえて標準の方式を使用しています。尚、PentiumVには未対応です。
3.田川アルミ TAKA100-P2U
Nifty
で優れた製品を配布されているたかちん氏考案によるCPUクーラを田川アルミさんが製造販売されているものです。写真を見ればお分かりの通り、凄まじいばかりの巨大さです。自作パワーユーザ御用達のアルファのFS100
と同等品と見受けられる規模のヒートシンクに90mmファンを組み合わせてあります。
普通のマザーでは。必ず DIMM
スロットが何本か潰れる事でしょう(写真は ABIT BH6 です)
装着方法は、PentiumUの場合はタッピングビスで、Celeron,
PentiumVの場合はネジ止めです。ネジ止めの場合はオプションのアダプタを使いますが、このCeleron
用のアダプタ(スペーサ)がイマイチでCPUコアとヒートシンクがうまく密着してくれず現物合わせがいります。(これは使用説明書にも明記されています。)今回は、CPU背面の中心部に絶縁用プラ板を張り、Celeron
用リテールシンクと TAKA100
をネジで結合させます。(サンドイッチする)
プラ板を使用しているのは背面リテールシンクからの放熱の影響を排除する為でもあります。
その他では、ブリザードという銅製のCPUクーラが流行っていますが、私はこれに懐疑的です。確かに熱伝導率はいいでしょうが、フィンの形状からくる全体の面積を考えると(要は周囲の空気との熱交換ですから)どうだかなーって感じです。ま、値段もお高いですしね。上記の3つは全て1万円前後ですが、ブリザードは2万円程しますし。(そんな事ないよ、効くよ。という方お便りください)
2 実験方法
CPU |
Celeron300A 100x4.5MHz駆動
Vcore=2.05V Vio=3.66V SL2WM 09060444 COSTARICA |
M/B |
ABIT BX6rev2 with
TurboPLL01 |
OS |
Windows95 OSR1 |
グリス |
サンハヤト SCH-30 |
ケースは閉めた状態とする。
シリコングリスはセッティングを5回行って計測し、ベストのデータを使用(作業性の影響を排除)
温度計測は以下の5点
室温、ケース内温度、CPUコア近傍、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)
BX6rev2 のW83782D の機能によりCeleronコア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り
計測条件:FinalReality を1時間以上ループさせ、温度変動がなくなった後、一番負荷の高い
City 時で温度を計測
3 実験結果
これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。
巨大クーラ比較 |
室温 |
ケース |
シンク |
コア脇 |
コア内部 |
リテール |
計測温度 |
25.1 |
27.0 |
36.5 |
43.7 |
53.0 |
室温との相対温度 |
|
1.9 |
11.4 |
18.6 |
27.9 |
GIGACOMP |
計測温度 |
24.2 |
28.0 |
31.1 |
34.1 |
45 |
室温との相対温度 |
|
3.8 |
6.8 |
9.9 |
20.8 |
P125 |
計測温度 |
23.9 |
29.0 |
29.5 |
34.0 |
44 |
室温との相対温度 |
|
5.1 |
5.6 |
10.1 |
20.1 |
TAKA100 |
計測温度 |
24.2 |
25.0 |
27.7 |
31.1 |
40 |
室温との相対温度 |
|
0.8 |
3.5 |
6.9 |
15.8 |
4 考察
さて、結果ですが一目瞭然ですね。TAKA100-P2U
の貫禄勝ちといった感じでしょうか?次いで、アルファ
P125, GIGACOMP SB13070MKU
がほぼ同等くらいといった所です。リテール(もどき)はまあ、論外ですね。
TAKA100-P2U
の一位については文句なしといった感じです。実際シンクの大きさからくる表面積から考えても順当といった所でしょうか。しかし、このクラス同士の比較で4〜5℃もの差があるというのはやはり驚きです。物理的な装着の制限さえなければ文句なしに市販最強でしょう。(私もP2-450
の空冷ペリチェには TAKA100 を使用しています。)
P125 と SB13070MKU
が同等なのは意外でした。実際、基となるヒートシンクはアルファ製ですが、アルファ社の資料では
SB13070
の方が熱抵抗が小さいとされているからです。おまけに今回はこの2機種に関しては使用しているファンも同じですし・・・
今回に関していえば、SB13070 SB MKUに使用したアルミのバッファ板6mm
による悪影響が出ているのではないかと思います。
さて、巨大クーラ3種の性能を見てみましたが、如何でしょうか?ずばりお勧めは、
性能だけに拘れば、田川アルミ
TAKA100-P2U
Slot1-Celeron
に使用するという限定条件では アルファ P125
色々な CPU
への対応と、マザー上の物理的な制約(特に Dual
構成)を考慮すれば GIGACOMP
といった所でしょうか。どれも一長一短ありますし、難しい所です。あとは、自分の環境とお財布(これが一番でかい)とのご相談ですね。
貴方はどれを選びますか? え?
定格駆動でリテールでいい?
それが一番賢いかもしれませんねぇ・・・
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