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Vapochill_Tune2 キャピラリ断熱

 

LastModified 02/10/14

「眠りは質量ない砂糖菓子。もろくも崩れてふたたび地獄。
懐かしやこの匂い、この痛み。我はまた生きてあり。」

(高橋 良輔監督 「装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端」-第1話「回帰」-予告より)

という訳で、久々にPC弄りにワクワクしてるVapochill TuneUp part2 です。まあ、これがPCかどうかは置くとして・・・^^;


1. キャピラリの断熱

ファーストレビューでも触れましたが、CASE閉負荷有り以外の全ての条件で、キャピラリ及びコンプレッサ戻り銅管付け根付近で結露が発生が発生します。こんな場所で結露を起こされたのではいつ回路上に水滴が落ちてくるかわかったものではありません。そこで、キャピラリチューブの断熱を行う事にしました。

しかし、断熱を行うといっても見ての通り、外径2mmの銅管が直径10cmに束ねてある形状です。こんな所どんないして断熱せいっちゅーねん!と思っていた所、ガス冷の大御所apk さんより断熱粘土という優れものを譲っていただきました。

これは、一見紙粘土でどんな所にでも密着しますが、乾燥すると非常に空隙率の高い(断熱性が高い)発泡スチロール状なるという、凹凸の激しい部位の断熱処理には理想的な代物です。まさに、「指でこねる発泡スチロール」とでも申しましょうか。また乾燥後も水で濡らせば再利用が可能となります。(CPUの断熱にも使えそうですが、その際にはショートを防ぐ為にも充分な乾燥が必要となるでしょう)

少し指に水をつけて練った上でキャピラリに巻き付けてみた所、見事にピッタリと密着してくれました。その後、1日乾燥させると本物の発泡スチロールと見紛う程です。いやー文明の利器って素晴らしいですねぇ。

この断熱粘土は apk さんのサイトで\1200で販売されています。今回断熱に使用したのは、1/20程ですので充分使いではあると思います。

はっきり云ってお勧めです。apkさん、ありがとうございました。m(__)m

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キャピラリチューブ

断熱粘土(13x15cm)

キャピラリを断熱


2. 検証条件

計測条件

冷却ユニット単体駆動にて、エバポレータ剥き出し無負荷の状態で、起動2時間後に温度計測。それ以後、傾けて(ケース正面右下に雑誌をスペーサとして5mm挟む^^;)60分経過後に温度を計測。

計測位置

Evapo       :エバポレータのCPU接触面上部(CPUの真上)
CompUp   :コンプレッサ 頂上部
CompLow :コンプレッサ 戻り銅管付け根付近


3. 実験結果

条件

Evapo

CompUp

CompLow

室温

備考

ノーマル

-21.0

26.0

5.9

25.8

 

キャピラリ断熱

-26.0

24.7

15.9

25.1

 

正面右下に5mm

-33.0

37.0

33.2

24.6

Cool!

結露がない事を確認する程度のつもりでしたが、温度を計測してビックリです。なんと、

断熱前より、エバポレータ温度が5℃も下がっています!!

傾き冷却を併用した場合に至っては、-30℃の大台を越えてしまっています。いや、正に「棚からボタ餅」とはこの事です。一体何が怒ったのでしょうか? 断熱前後で、コンプレッサ戻り銅管付け根付近の温度がかなり上昇しているので、ガスの流動状態に何か変化が起こったのは間違いなさそうですが・・・


4.考察

上記結果を受け、gamaさんにBBSにてご教授頂きました。

キャピラリが結露する原因は、2つ考えられます。

一つは、冷えた戻り配管からの熱伝導
長時間運転した後に戻り配管の近くだけ結露するのは、これです。
これなら問題はありません。

もう一つは、キャピラリ内での液の気化
キャピラリ内で液が気化するとここで吸熱してしまい結露します。
この結露は、冷却の初期段階から起きることが多いので前者と見分けることが出来ます。
この現象は、効率が悪くなったり不安定になったりするので問題です。
私は、これを防ぐため断熱したり、戻り配管で過冷却するなどの工夫をすることがあります。

起動後どの程度の時間経過後に結露が発生していたかははっきりとは記憶していません。しかし、キャピラリを断熱する事でエバポレータの温度が露骨に低下している事から、後者ではないかと考えます。つまり、キャピラリを断熱する事で冷媒がキャピラリ内で気化するのが防がれ、エバポレータで気化して温度が低下したのではないかと。

2000.08.26追記
キャピラリ内部の流れは複雑で、通常、入口は液、eva側に近づくにつれ圧力降下を起こして途中で発泡し、気体と液体の2相流となります。キャピラリ内ではエバポレータに近づくと共に減圧気化する訳ですから、結果としてキャピラリが吸熱するのは普通の事で、ここで効率が悪くなったり不安定になるというのは、循環冷媒量が不足しているではないかと思われます。つまり、Vapochillの条件下では、循環冷媒量が少な目でキャピラリの断熱によってエバポレータに流入する冷媒の乾き度が減り、エバポレータでの気化効率が上がるのではないかと思います。[ペルチェ負荷試験]における「傾ける事で冷媒循環量が不足して冷える」という結論と矛盾している様ですが、これば吸熱量の問題と思います。

エバポレータからの吸熱量が少ない場合、冷媒循環量が少なくても吸熱を賄えます。傾けて冷媒循環量が少なくなってもコンプレッサの吸引能力は変わりませんから、低圧側の圧力が下がることになり温度も下がる訳です。(吸熱量が大きい場合は、低圧側の圧力がいくら低くても、冷媒循環量自体が少ない訳ですから全く冷えない現象が発生します。これは[70W負荷で傾けた時に全く冷えなかった]結果とも一致します。) 冷媒循環量及びエバポレータへ流入する湿り蒸気の乾き度のバランスという事でしょうか、ううむ・・・

しかし、コンプレッサ戻り銅管付け根付近の温度が上昇しているのは何故でしょうか?キャピラリ断熱により、冷媒循環量は増え、戻り銅管部も冷えるはずなのに・・・・・

相変らずやればやる程、謎が謎を呼ぶといった様相ですが、とりあえず結果オーライで以下を結論とします。

キャピラリの断熱は結露防止のみならず、エバポレータの温度低下に効果がある。

ああっ、またしても考察になっちゃいねえっ。ううむ、すみませんまた追試します。


5.独り言

という訳でまたもなんだかよくわかりませんが、無負荷とはいえ-26℃まで引っ張る事ができました。断熱してCPUをつけた時の事を考えると思わず笑みがこぼれてきます。たとえへ理屈でも、自分がやった効果が目に見える形で実感できるのは嬉しい事です。これこそが、OverClockを始めた理由だった筈ですから・・・・

「炎に焼かれ、煙にむせて、鉄のきしみに身をまかせ、
ここで生きるが運命であれば、せめて望みはギラつく孤独。」

(高橋 良輔監督 「装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端」-第1話「回帰」-予告より)

これより四万十川、修羅に入る。(爆)

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