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コア研磨の果てに -石斬り-

LastModified 02/10/14

「ほっとけよ! 僕はもう狂っちまってるんだから!」

というのは三原順の永遠の名作「はみだしっ子」シリーズの台詞ですが、私もそれに近い所までいってしまったのかしれません。^^;

ことの起こりは PPGA のコア研磨を終えて一息ついていた時です。ふと思ってしまったのですよ。

「コア研磨って言ってるけど、これって実はコアカバーの研磨だよなー」

思っただけで済ませれば良かったのですがね。(笑) 見れば、PPGAのコアカバーはハンダづけで取り付けられている様子。これって外せるんちゃうかと考えてしまったのですよ。考えてしまったら、もうどうにも止まらない。

まあ、どうせ500MHzでも廻らないハズレ石という事で、壊すの覚悟でやってみました。本邦初公開かどうかはわかりませんが、謎に満ちたCPU内部に文字どおりメス(鋸ですが^^;)を入れてみました。はてさて、どうなりますやら。

念のため言っておきますが、本記事の内容は「CPUを壊すかもしれない」等のレベルではなく破壊行為そのものです。よもや真似しよう等という方はいらっしゃらないとは思いますが、「確実にCPUを壊す」ので、ご了承下さい。


1 石斬り

コアカバーですが、前述の通り外から見た限りではハンダ付けされている様に見えます。そこで60Wのハンダ鏝を借りてきてあててみました。しかし、面積のあるコアカバーがついている為熱容量が大きいせいかビクともしません。ううむ、どうすべえか?しばらく頭を捻った結果がこれです。

 

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頭を捻った結果がこれかい!と思わず自分で突っ込んでしまいますな。^^; 四方から切れ目を入れてみましたが、なかなか取れる気配がありません。内部の状況がわからないのでどうしようかとも思いましたが、「まあ、いっか」と全部切り取る覚悟でガシガシ斬っていくと、ガリッという嫌な音が・・・・

嫌な予感がして、切れ目にドライバを突っ込んでこじってみると、あっさり取れてしまいました。

カバーを開けたのが左の写真です。いやー、見事にコアまで鋸が到達していますね。(爆)

どうやら四方のハンダ付けと中央部の接着剤?でついている様ですので、四方から5mm程切れ目を入れてこじってやれば奇麗に取れていたと思います。

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カバーは大体1mm程度の厚みです。中央の長方形の金色の部分が本当のCPUコアでしょう。多分^^;

CPUコアとコアカバーは白い接着剤の様なもので接合されています。コア上部のブツブツは接着剤が一部剥離して残ったものです。接着剤の層自体は非常に薄いものです。

驚くべき事に、この状態でも動作します。

いやあ、凄いですねー。CPUってのは意外と丈夫なもんですねー。ただ、中央部に凹凸が多い為、この状態では伝熱状況の評価はできません。

仕方がないの馬鹿のひとつ覚えで研磨してみました。中央部の凹凸が取れるまで紙ヤスリで軽くやすってみました。本当は完全にツライチになるまで削るべきなのでしょうが、コアの周りの金箔?が全部落ちてしまいそうなので程々にしておきました。

ピンのショートが心配でしたが、右の写真を見ればわかりますが、ピンは一本一本絶縁されていました。(当たり前ですね^^;)

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研磨後、Socket370のハンドル部との干渉を避ける為、中央部に3mm厚のアルミ板をスペーサとして設置したのが、下の写真です。コア上部にはサーミスタを設置しています。コアの周りにはグリスの付着によるショート防止の為テープで絶縁しています。

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さて、ちっとは伝熱状況は改善されたのでしょうか?


2 実験方法

CPU PPGA300A 100x4.5MHz駆動 Vcore=2.0V Vio=3.74V   SL35A L9074590-0312 MALAY
M/B ABIT BX6rev2 with TurboPLL01
Cooler ギガコンプ SB13070 MKUVFS6030AA改2
OS Windows95 OSR1
グリス TSC-1
  1. ケースは閉めた状態とする。

  2. シリコングリスはセッティングを5回行って計測し、ベストのデータを使用(作業性の影響を排除)

  3. 温度計測は以下の5点

  4. 室温、ケース内温度、CPUコア近傍、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)

    BX6rev2 のW83782D の機能によりCeleronコア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り

  5. 計測条件:FinalReality を1時間以上ループさせ、温度変動がなくなった後、一番負荷の高い City 時で温度を計測


3 実験結果

これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。

石斬り

室温

ケース

シンク

コア脇

コア内部

研磨後SB130MKU

計測温度

24.7

27.0

32.0

33.1

39
室温との相対温度

2.3

7.3

8.4

14.3

石斬り後SB130MKU

計測温度

24.5

27.0 31.3 32.1 40
室温との相対温度 2.5 6.8 7.6 15.5

研磨後VFS6030AA改2

計測温度

24.7

26.0 33.6 36.1 42
室温との相対温度 1.3 8.9 11.4 17.3

石斬り後VFS6030AA改2

計測温度

24.4

27.0 33.5 35.0 42
室温との相対温度 2.6 9.1 10.6 17.6

4 考察

考察・・・・するまでもないですね。ほとんど変わりません。それどころかどちらかというと悪化しています。まあ、誤差範囲内ですが。研磨による平滑度に問題があるのかとも思い、SB13070MKUとグラファイトシート併用でも試してみましたが、結果は同じでした。

まあ、Intel が完全に管理された工場内でやっている事ですからね、何でもかんでも疑ってかかってはいけませんね^^;

結論です。

「また詰まらぬものを斬ってしまった」
(宮崎 駿監督 「ルパン三世 カリオストロの城」より)

じゃなくて、

不毛です。やめましょう(爆)

 


5 独り言

SEPPの研磨に始まった研磨シリーズ(シリーズだったのか!?)も今回で終了です。まあ、どこまでも研磨すればいいという事ではなく、何事も程々にという事でしょうねえ。コアカバーを1000番程度迄の研磨するのが効果的ではないかというのが私の感想です。

「正しいものも間違った使い方をすりゃあ間違ったもんになる。
間違ったもんも・・・正しい使い方をすりゃあ正しいもんになっちまう!」
島本和彦著「男の一枚 レッドカード」より)

どうやら、今回はただ単に間違っただけだったみたいです。

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