38のツボ 何でもやってみよう

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確か大学を卒業した翌年だったと思う。ある日発作的にゴミだらけの下宿を掃除した時に何年もさわっていない本を持ち上げたら一枚のメモ用紙が滑り落ちた。そこには次のようなことが書かれていた。                             

1、 いろんなクラブに入りたい(17個のサークルのリスト)。2、あるゆる分野の授業を受ける。3、彼女をつくる。4、バイクの免許を取る。その後に小さな字で日本一周。さらに小さな字でアメリカ大陸横断。5、シングルヨットによる紀淡海峡横断。6、アラスカの大ヒラメ(ハリバット)を釣る。etc。                  
最初は『ナニこれ?』って思ったけど、じっくり考えてみるとそれは大学に入学した頃に思い付くままに書いた4年間でやってみたいことのリストだった。それから7年(留年、休学を含めて僕は6年大学にいた)たったこの日、このメモは突然タイムカプセルでも開けたように目の前に現れたのだ。

 なんだか感動してもう一度見直してみると(バイクによるアメリカ大陸横断)(アラスカのハリバットを釣る)なんて人に話したら笑われそうな夢が実現出来ているのに(いろんな授業を受ける)(彼女をつくる)というささやかな夢は夢のままになっていた。それにしてもバイクの免許もない段階でアメリカ大陸横断なんて書いていたとは驚いた。ないものは出てくるはずがないから、そうやって文字になって出てきたということはその時点でそれは自分の中にあったんだろう。でも全部が夢だったのなら、なぜ実現できたものとそうでないものがあるんだろうか?これは多分実現出来ているもののほうが自分の潜在意識下では欲求ランクが高かったんだと思う。

 新入生でない人は入学当時のことを思い出して欲しい。きっといろいろやりたいことがあったと思う。同じように僕もいくら時間があっても足りないぐらいやりたいことがあった。そしてそれを実現させるためにつぎつぎとサ−クルに入っていくと最終的には8つかけもちすることになっていた。これだけやっていると学際や宴会シーズンにはスケジュールがぶつかってそれはもう大変だ。そして当然その生活を維持するためにはお金もかかる。ところが入学したての頃は案外真面目に授業に出ていたもんだからバイトする時間がなかった。

ここで賢い人なら、無理がないようにどれかサークルを止めるだろう。でもやりたいことを一つも無駄にしたくなかった僕にはそんな発想はない。どうするか?答はきわめて簡単。何の用事もない夜に働けばいい。その頃僕は『人間はなぜ寝ないといけないんだ。寝なかったらもっとやりたいことが出来るはずだ』と本気で思ってたし、現実にそれを実行していた。                               

 こうしてそのテンションのまま卒業まで走り続けた結果が、バイクによる日本一周、北米、オーストラリア、ヨーロッパ走破。ホノルルマラソン2回完走。人力車を引いての東海道53次の旅。琵琶湖鳥人間コンテスト参加。琵琶湖ー大阪湾ゴムボートの旅。etc.言い出せばきりがないからこの辺にしとくけどまだまだあったはずだ。自分でいうのもなんだけどその過剰なエネルギーがあったからきっと何でもできたんだろう。     

  この連載を始めてはや4年。僕としては毎回自分の体験談を通して読者のやる気を挑発してきたつもりだ。だからもし『こんなんだったら自分にも出来るよ』とか『これ面白そうやな、やってみよかな?』と一度でも思ってもらえたならヒジョーに幸せだ。人間てのは案外自分で思っている以上の力を持っている。だからあなたもそれが出来るか出来ないとかを考える前にまず自分は何がしたいのか書き出してみるといい。頭をからっぽにして出てくるもの。それがあなたの本当にやりたいことだ。自分に嘘をつかなかったらそれは出来るよ。頑張って!じゃあ、またどこかで会いましょう。                                              

 

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