運営者 そこが日本人の情けないところですよね。「おっしゃるとおりです」と、なびいてしまうわけです。
いや、「おしん」は意外とイタリアでも大ヒットしたらしいんですよ。だからリップサービスではなくて、「あのドラマは本当に面白いし、主人公であるおしんの気持ちはよくわかるぞ」という調子だったですね。
そんなに文化的にユニバーサルな内容なんですかね?
飯坂 貧乏人が大スーパーを作るというのが、ディベロッピングな人びとの心の琴線に触れるんですよ、きっと。
運営者 あの黒人青年も、とっくの昔にニューススタンドを抜け出して、今じゃ立派な青年実業家になっているかもしれませんね。
日本にもそういうシュンペーターが喜びそうな話があったんですね(笑)。
飯坂 橋田寿賀子はシュンペーターくらい読んでるでしょう。
運営者 そうかなあ。よく知りませんが、夕方にやっている「渡る世間は鬼ばかり」に間違ってチャンネルを合わせてしまうと、到底そうは思えませんね(笑)。
あの時間帯は他の局は全部ニュースをやっているので見ることもあるのですが、TBSだけは「渡る世間」の再放送をやっているので、間違ってつけちゃうこともあるんですよ。
それからトリムに乗って大聖堂の前に行くと、「カリメロ」の絵を描いた風船を売っていて、「さすがに日本のアニメはヨーロッパでもはやっているなあ」と感心していたら、よく考えたらカリメロってイタリアの漫画なんですよね。どうでもいい話だけど。
飯坂 そういう、「おしん」の世界に感動できる世代が、まだ生き残っているということですよ。戦争とか、戦後の焼け跡を知っている世代ですよね。
運営者 「そういう世代こそ、健全だ」と僕は思うのですが。
飯坂 だから近い将来、また日本が焼け跡になって、みんな食いつめるようになりますよ。
運営者 そういう時代が来ますよね。どうせなら、われわれが体力のある時期に、一刻も早く来てほしいものだと思いますよ。できたら来年くらいに来てほしいんですけどね。
だけど、日本は全然豊かだから、そうはならないですよ。
飯坂 韓国は98年にそうなったでしょ。
でも、日本企業は金あるからなぁ。先に中国の方がやられるでしょう。恐慌と呼ばれるような状況は、少なくとも1回や2回は来るだろうから。
この話は2003年の話で古くなっているかも知れないし、そもそも酒飲み話だし・・・