ゼロ金利解除に対する街角の声は、「預金金利を上げろ、せめて1%に」というものばかりでした。でもそんなに資産運用したいのなら、株を買えばいいじゃないですか。 1年前にインデックスファンドを買っていれば、ほぼ50%で運用できてるんですから。
それって、みんな知らないことなのかな? そういう声がさっぱり出てこないのはおかしい。 この国の貯金信仰は、もうちょっとなんとかならないものか。開発独裁国家じゃないんだから。いちおうG8なんだから。これじゃ、またバブルになって、弾けますよ。まったく原始資本主義だなー。
福井総裁への非難も同根ですよ。いまだに「株式投資は絶対悪」なんです。なんでやねん? 投資はギャンブルじゃないんですから。株価が下がって懐が痛んだ記憶だけは染みついているようだが、銀行金利は0.001%。でも株式投資は50%ですよ!?
預金信仰によって得をするのは誰か? 産業支配をする銀行と、銀行支配を通して世の中全般ににらみを利かせる政府ですよ。彼らは権力が持てるので、敢えてこの状況を変えようとは思いません。結果として銀行にたまった巨額の資金の差配に失敗して(リスク管理手法が進んだとしても)、またバブルになりますよ。そしてリストラになり、多くの人が泣く。でも銀行はどんなに痛んでも、「公共性がある」らしいので、公的資金で穴埋めされるわけです。銀行経営者は赤字でも役員賞与までもらってホクホクです。そして金融再編が行われ、上位行の産業支配力はますます高まる。金融再編が続いている間、銀行の経営ミスを金利分で穴埋めするために、預金金利はゼロに限りなく近づき、本来であればみんなが利用することができたはずの、多くの機会が失われると・・・、それってこの前終わったばかりのプロセスじゃないですか。
こんなバカな堂々巡りを避けるには、「余裕資金は、元本保証のある銀行預金に入れておけばいいや」と安直に考えずに、資本市場でリスクを取った運用を行うことしかないのです。資本市場を通した調達の可能性を広げ、ベンチャーにも資金を供給すれば、社会は活性化し、投資家もリターンを得られます。暗黒面に落ちた新興ベンチャー経営者やファンド運営者が不正をやってしまって、この流れに水を差してしまったのは、残念な限り。
つまり、悪いけどテレビのインタビューで「預金金利を上げろ、せめて1%に」と言っている人たちは、「自分は搾取されているまぬけである」と告白しているに等しいのです。でも本人たちは「だいたいまわりのみんなと同じような意見を答えているだけから、少なくとも恥ずかしくはないだろう」と考えているのです。「預金金利を上げろ!」とわめいている軽薄な評論家やキャスターも同様です(彼らは愚民政策を続けたほうが得だと思って確信犯で言ってるのかもしれませんが)。
世間の付和雷同が、この状況を永続させているのです。預金信仰という付和雷同が。