小泉首相の靖国参拝について、中国韓国の当局の非難が大きく報道されています。
世論の反応の多くも、「中国韓国を刺激するようなことはやめるべきだ」というものです。
はたして、そうした態度は正しいのでしょうか。中国や韓国の態度は正当なものなのでしょうか。
むしろ、わたしはこう思うのです。なぜわれわれは、われわれの過去の歴史にそこまで後ろめたさを感じなければならないのだろうかと。高等教育を受けた者ほど、無条件にそうした後ろめたさを感じるし、隠さない傾向があるような気がします。わたしもそうでした。
自分たちに関係のない他国の要路の人物の行動に対して、正面から注文をつけるのは、明らかな内政干渉です。われわれはそんなはしたないことを公式に他国にしたりはしません。外国のことは外国のこと。大人は、無関係の他人の行儀を注意したりしないものです。他人は勝手にすればよい。
中国韓国のように、何十年たっても消えない被害者意識をもって堂々と内政干渉してくるのは、明らかに非常識でしょう。
だって 、日本と激しく闘ったアメリカやイギリス、オランダなどの政府は、首相の靖国参拝を非難していないではないですか。むしろ元首が来日したときに靖国神社に参拝してますよ。それが普通でしょう。
アメリカには首都にアーリントン墓地がある。太平洋にはハワイやコレヒドール島に戦没者の慰霊施設がある。ここに為政者が参詣して、わが身を犠牲にして社会を守ろうとした人たちに感謝の意を捧げるというのは当たり前のことですよ。イギリスにはセントポール寺院があるし、フランスにはアンバリッドがある、凱旋門の真下にも、無名戦士の墓がある。
これらの施設が提供しているのは、国家に必要な正当な機能なんです。それを非難する権利がいったい誰にあるというのでしょうか。
ところがわれわれは、日の丸や君が代に対する屈折した意識と同様に、中国や韓国の靖国神社参拝への激しい非難を当然と受け取っている。このわれわれの認識は是正する必要があります。
A級戦犯の罪のありなしは、日本人自身が検討すべき事であって、外国にどうこう言われる筋合いはない。余計なお世話というものです。
どうやらわれわれの世代は、文化的に、中国韓国に対する妙な贖罪意識を植え付けられているようです。どのようなかたちでこうした意識が文化的に醸成されていったのかは、考察すべき対象だと思います。
バブル以前は、「なんでもお上に任せていればまちがいない」という共通認識がありました。国家公務員の不正と、財政赤字の山、経済的危機を経て、多くの国民は今やこうしたマインド・コントロールから醒めました。それが小泉政権の支持に結びついているのだとわたしは思います。
それと同様に、アジアにおける対日認識についてもマインドコントロールから覚醒する時期に来ているように思うのです。
反面、なぜ他の国は怒っていないのに、中国韓国は60年前からの怒りを継続しているのでしょうか。
彼らだって元寇の時に攻めてきたけど、われわれはそれについて彼らを責めようという気はないじゃないですか。あれで鎌倉幕府が滅びちゃったんですけどね。
トルストイの『戦争と平和』を読むと、「ナポレオン戦争はナポレオンが悪い」とは一言も書いていません。むしろ「あのような大戦争を一人物が起こせるはずがない」として、ナポレオン戦争についてフランスを責めようという記述はまったくありません。わたしはこの態度に共感を覚えます。
わが国は、アジア諸国と文化的・経済的に極めて緊密な関係を築いています。なのに中国韓国の国民だけは、いまだに日本に対して激しい敵意をむき出しにしています。まったく不思議なことです。
わが国は1952年に国際社会に復帰し、中国とも72年に国交を回復しました。国交を回復するということは、それまでの貸し借りを精算し、水に流すとはいわないがお互い許し合って前向きな関係を築いて行こうという合意が為されたということでしょう。
ところが、中国韓国の国民は、激しい反日意識をいつまでたっても維持しています。むしろ国交回復後に、それ以前のことについての問題が増幅しているのはおかしなことです。
要因はいくつかあると思いますが、大きな原因として彼らは反日教育を行っていることがあげられると思います。また、日本が過去に行った謝罪や賠償についても、国民に伝えられていないとも聞きます。「戦争の大災禍に巻き込んだのに、ごめんの一言もない」と思っていたら、国民が反感を持つのは当然です。しかし、それは事実ではないでしょう。日本はこれまでに、多大な賠償と、天皇の発言を含めた公式な謝罪を繰り返しています。
反日教育は政策的に行われているものです。それについてはわたしは何も言うことはありません。相手が話をややこしくし、建設的な関係を築きたくないと考えているのであれば、それはしかたのないことです。
韓国はともかく中国は、21世紀前半の世界で大きな存在となるはずです。それがこんな自己中心的でわがままな調子では、損をするのは彼ら自身だとは思います。また、北京政府は内政的な思惑があって強硬的な外交政策を採っているのだとは思います。それは国内問題の解決には無力であり、反日デモの頻発は、むしろ政権の弱体化を図る結果になると思いますが、他の国のことに対してとやかく言おうとは思いません。
ただし、日本国内でやっていることについての無用の干渉はやめていただきたい。これが「右傾化である」と、大軍拡をやっている国に言われる筋合いはありません。
「靖国神社にかわる祭祀施設をつくれば」と言う声もあります。しかしそれはただの税金の無駄遣いに終わるでしょう。なぜならどのような対策を持ってしても中国韓国の不満は収まらない。次のネタを見つけて文句を言ってくる無限ループが続くであろうからです。
つまるところ、彼らがやっているのは「言いがかり」です。内政干渉とは、言いがかりに他ならない。
これまでは、大きな声を出せば日本人は謝罪すると彼らは思っていたかもしれません。でも、もうそれはありませんね。わたしは過去の日本人が起こした戦争について自分が謝罪するつもりはないですよ。たとえ過去の日本が強烈な極悪国家で、まったく利己的な理由で侵略して悪逆非道の限りを尽くしたと仮定しても、国交を結んだ時点でそれは一応清算したわけですから。
だからわたしも中国 韓国に出かけて行けるようになっているわけで、60年経っても謝罪を求められ続けるんならさっさと帰国しますよ。前向きな関係をつくるのか、断交を宣言するのか、どちらかはっきりしてもらいたい。こんなに付き合いにくい隣人は珍しいですよね。
わたしが言いたいのは、中国韓国の政府はもう少し大人の態度を身につけるべし。もって国民を感化せよということです。あなたたちの態度はまったく正当ではないし、多くの日本人はそれに気づき始めているのです。