まず、「人はみんな同じで、似たような体験をしている。自分もみんなと一緒なので、経験によって変化し、状況に立ち向かえるようになった。またすべての宗教は愛を肯定しているが、今日の話は宗教的な話ではない」と前置き。
・愛情とは何か
母親の子供に対する愛情が基本であり、心のどこからか湧き起こってくるものである。そして愛には力がある。母親が愛情をそそげば、子供が良い子になるということは科学的に証明されている。
自分より劣った人に対する「気の毒」という感情は愛ではない。
人間は、人と人との愛情の上に立って生きている。生まれてから死ぬまで愛情に支えられて生きている。「この素晴らしい愛を育てよう」という熱意を持ち、そうした考えを意識すればするほど、自分の持つ愛の力は大きくなる。
恨みや、人を害する心は、他人に対して良い影響をもたらさない。それを少しずつ自分の心の中から減らしていって、反対に愛を育てるのがよい。
愛の逆は怒り。怒りを収めるのは忍耐と満足。怒りにあふれた人の言うことを聞く人はいない。
現代では、物質的に豊かでも、心の中は寂しかったり孤独であったりする人が少なくない。心の中に困難や問題がある人は幸せではない。だから人間の中に備わったよい性質である愛をもっと深める努力をしてほしい。教育では知識だけを教えるのではなく、そういうことも教えるべきだ。
ドイツの出版広告 ・動機によって結果がもたらされる
911の事件を起こしたテロリストたちは、準備と実行のため努力したのだろうが、彼らは間違った「心の力」を使ったのだ。テクノロジーを悪い動機で使ったらどうなるか、われわれはこのとき経験した。つまり、一人ひとりの動機によって、結果は違ったものとして現れるということだ。だからこそ愛情が大切なのだ。
・対話による問題解決
戦争反対について、愛が大きければ戦争は起こらない。だから一人ひとりの愛の力を高めていくべきだ。
世界の困難をなくしたいと思ったら、心の中で安らぎと平和を求める気持ちをより高めればよい。なぜなら、世界の全ては依存関係にあるので、一人ひとりがそう思えば、それはより大きなスケールに高めていくことができるからだ。自分自身が幸せになって、自分のまわりの人も幸せにして、世界平和の達成のためにひとつになればよい。
問題の解決方法は話し合いしかない。
対話によってまず理解し合い、意見を交換して、お互いが歩み寄る姿勢を持ち、それを世界の平和まで広げていく。
自分と同じように相手も「幸せになりたい」と思っている。自分の苦しみを通して、他人も苦しいのだということを知ることができる。そして他人を苦しめるのをやめようとする「心の勇気」を持たなければ、問題は解決できない。
その心の勇気こそ愛である。