評判の韓国映画をやっとテレビで見ました(近所にレンタル屋がないもので、ここのところはあまり映画を見ていません)。
これはよくできてる。脚本も演出も見事。なにより、38度線を隔てて同民族が対峙する、彼らのアンビバレンツが見事に描かれています。
イギリスに遊びに行ったときに、クラスメートでホヨンという、兵役を終えたばかりの奴がいて、彼が任務についていたときに北朝鮮からの特殊潜行艇が浜辺に上がってきて、工作員が上陸したという事件があったそうです。その時掃討作戦で、彼の朋輩が敵に射殺されて、彼も敵を一人射殺したそうです。その話をするときの彼の表情は憎しみにあふれていて、こまったなあと思いましたね。敵とは言え、元は同じ国だった人々な訳ですから。
南北分断は、たいへんな悲劇です。対立をエスカレートさせる戦略を採っている北朝鮮は、いまや世界の問題児となっています。日本でも連日その異常なメディア戦略が報道されています。それで、わたしは2つ思うことがあります。
1.北朝鮮の統治の本質は日本と本質的に変わらない
日本は共同体的統治システムのもっとも洗練されたかたちとして1940年体制を作り上げ、それは満州での実験を経て、台湾、韓国に輸出されたわけですが、それがさらに純化されたかたちで残っているのが現在の金正日体制であるということです(金正日親政であるという点が天皇制と大きく異なりますが)。共同体の中で民草が虐げられ、個性も自由も目的性もなくしてあえいでいる姿は、いまの日本のサラリーマンと本質的に変わりません(「自由意思がある」というのは幻想です)。
2.日本は朝鮮半島分断に一半の責任がある
日露戦争前から、半島政権が弱体なのをいいことに日本は清との間のぶんどり合戦に勝って、1910年に韓国を併合し、日帝36年の支配が始まったわけです。まあ、賠償は終わっているにしても朝鮮半島の人が日本を快く思わないのは致し方のないことです。そして日本が戦争に負けたとき、ここに権力の空白地帯ができました。そこに介入したのがアメリカとソ連、のちに中国でした。アメリカは仁川上陸と同時に38度線以南に軍政を敷きました。分断のプロセスは国内でたいへんな混乱を起こしたようですね。で、現在に至ると。
彼らがJSAを挟んで向き合う原因の一部に日本は多少なりとも関与しているという認識は必要です。だからテポドンやテロから身を守るためというのはもちろんですが、日本人自身の行為の結果として正面から北朝鮮問題に向き合う必要があると思います(お互い、自身に責任のある主権国家であることを前提にして)。
人ごとではないということですね。