続・小泉決断2


 三権分立がちゃんと機能していれば、この国はこんな惨めな状況には陥らなかったはずよ。でも行政府が突出することで、この国には歪みが発生し、そのエネルギーはどんどん蓄えられてきたの。それがいまや爆発寸前よね。小泉改革で多少のガス抜きにはなるだろうけど、本質的解決までは前途遼遠よ。

 なぜこうなのか。あたしは、「権威に対する盲信」は、アジア的価値だと思ってるの。
 「王様と私」を見ていると、サイアムの王様はなんでも知っていることになってるでしょ。それで雪を見たことがない長男が「いつ自分が何でも知ったとわかるの?」と無邪気に聞くのに対して、王様は「王様になったらわかるんだよ」と応えて引き下がらせます。しかし、その直後に「なんで自分は知ったかぶりをしないといけないんだろ、ほんとはわからないことだらけなのに」と悩みます。
 おもしろい。
 この傾向は現在でも変わっていなくて、タイの王様は万民の尊崇を集めていますが、万能じゃないといけないことになってるんです。少なくともみんなそれを否定しようとはしません。そりゃ無理あるよね。
 アジアで王制が存続した二つの国に、この傾向が根強く残っているのよ。
 その他「王様と私」には、契約条件の履行を迫るアンナと、専制君主ラマ4世の契約概念に対する徹底的な不理解も描き込まれていて、非常に良くできてる。これらは同根の文化です。

 何が言いたいのかというと、なぜかこの国では社長になった瞬間に何でもわかっているので全ての意見を押し通すことができるようになる。公務員試験を通った瞬間に偉くなってしまい全ての判断を押しつけられてしまう、しかも仕事を抱え込んで守ろうとし始めてしまうということ。官僚は無謬を演じなければならないということ。制度的な通過儀礼を経た後は、なぜか神に等しくなってしまうということ。その制度を支えているのは民の無知蒙昧と無関心であるということ。民は考えるのが面倒だから、自ら神を作っているわけ。そういうシステムの方が便利だから、三権分立によるチェック機構なんか機能させるつもりが元々ないの。
 そんな超越論が罷り通っているのがこの国の現状なのよ。これは近代国家ではない!
 議論を尽くし多くの意見を集約した民意(それは無知な民の声ではなくて)のほうが、神を演じる個人の判断よりまちがった選択をする可能性が低いはずよね、市場性が信頼できるのもまったく同じ理由 。

 で民主主義国家では、本来は、民意の集約と発揮のために政治家が存在するの。



 それでもまだ政治家より官僚を信じている人がいるんなら言うけれど、
 憲法には「公務員は全体の奉仕者」と書いてあるわよね。でも、
 官僚の人事考課を決定する要素というのは

1 新しい法律を作ること
2 去年より予算を取ってくること
3 去年より人員を増やすこと
4 OBを受け入れてくれる天下り先となる財団法人、特殊法人を作ること

 この4つしかないの。ウソだと思ったら、知り合いの官僚に聞いてみるといいわよ。「公務員は公務員への奉仕者」なのよね。国民の利益は、以上の4つの目的を追求する上での飾りに過ぎないし、こんなインセンティブ・システムじゃあ財政赤字がふくれて当然だわよ。
 高度成長期以後、官僚がやってきたのは、政治家をマスコミの餌食にしつつ(官僚に都合の悪い振る舞いをした政治家は、脱税や外為法違反、スキャンダルなどをマスコミにリークされ失脚してきたの。大蔵OBの相沢英之ですら脱税で摘発されていることを見れば、官僚が政治家をどのような存在と見なしているかわかるわよね)、ひたすら自分たちの利権を拡大することだけだったわけ。
 上級国家公務員試験に合格したら、"Welcome to our club!"ってなもんよ。裁判所は自分たちの管轄下にあるんだから、あとは如何に政治家や審議会委員に名を連ねているマスコミに甘い蜜を与えつつ、自分たちの権益を確保するか……。カンペキよね。
 2万人に及ぶ霞ヶ関の高級官僚、それに隷属する500万人の公務員は、ずっとそうやって自分たちの利権の拡大のことを「仕事」と呼んできたの。

 違うでしょ、あんたたちがやってきたのは「業務上横領」「公文書偽造」「収賄」などの不法行為の数々よ。
 総理が利権にまみれぬ変人であり、国民の90%に達する支持があってこそ、はじめて突きつけることができた官僚主権への絶縁状、それが今回の小泉決断の意味なのよ。



【追記】

 因みに、映画版の「王様と私」では、ラストシーンでラマ4世は西欧の科学に触れた知恵熱で死んでしまいます。長男は最初のお触れとして、前近代的な五体投身の礼を止めるよう、弟たちに演説するのですが、それを聞きながら王はひっそりと死んでいきます。それに気がついた首相だけが、王に投身礼をして時代の変化を嘆きます。ここに原作者のこの国に対する愛情と未来への期待(ラマ5世チュラロンコーンは近代化を進め名君となります)を読み取らなければならないんですね。
 しかし、現実的にはこの国と、もう一つアジアで王統が残っている国は(別にその事実に反対しているわけではありません)、英語も普及していないし、専制支配のままなんですよ。支配の実体が変わっただけで。

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