本質的転換とポピュリズムの境界


(2001.05.24・25)

 そこで今回エポックな2つ目のポイントは、「政治的判断」で控訴を断念することにより、全く正統性のない役所による法廷闘争の連続にストップをかけたということです。
 ここで私が「こうあれかし」と思うのは、この「政治的判断」という言葉の意味が、「本来は控訴すべきものを今回に限ってストップさせた」という官僚向けのリップサービスではなく、「民意を反映した政治家の意思として、このような明らかな役所の論理の暴走に、この時点でピリオドを打ったのだ」という意味であってほしいということです。マスコミ的表現であり、とてもまともな日本語とは言えないところの「極めて異例」とはして欲しくない。

 これは役所のカルチュアに対しては核爆弾級の影響力を持つ判断となるはずです。彼らはこれまで、日本の秩序を支える神の役割を演じるために、自分たちの無謬を保証するおためごかしの司法システムをつくり、その上にあぐらをかいて私腹を肥やし国を誤ってきたのです。そうした彼らの行動規範や組織風土は、まったく変化することがありませんでした。今回の決定でもくやしがっている役人がいるようですが、彼らが守るべきものなんか何もないはずです。誰も官僚の責任なんか問わないんですから。なのに未だに国家総動員法による授権意識から抜け切れていないわけです。
 それは最終的には「どう転んでも、司法制度が彼らの後ろ盾である」という価値観に支えられている部分が大きかったと思いますね。

 ところがもし今後、行政のコントロール塔である内閣が、民意を背景にして行政訴訟の下級審の判断について支持、不支持を決定するということになると、行政府の絶大な裁量は、事実上裁判所と政治家によって二重に大きな制約を受けるということになってしまうからです。これは政治家の行政に対する発言権の強化につながります。おそらくものすごい反発が予想されますね。だけど議院内閣制においては、当然ありうべき方向であり、これに官僚が異を唱えることの方が本質的にはおかしいと言えるでしょう。
 私は、行政府に多少なりとも民主主義の理念を理解していただくために、陪審員制度が取り入れられるまでは、このような前例を制度的に固定していただくのが大変好ましいことだと思うのです。



 官僚側のロジックを先回りして考えますと、彼らはおそらくポピュリズムの暴走の危険性を指摘することと思います。私も、小泉首相の答弁を見ていてポピュリズム的要素を見いださないわけにはいきません。特に首相選挙の時はそうだったと思います。
 しかし人間というのは面白いもので、最初は「自分は演技してるだけだ」と思っていても、繰り返して自分自身に改革の必要性を言い聞かせているうちに、本当に改革者になってしまう、周囲の期待が本人をそのような立場に追い込んでしまうということもありえるわけです。そうすると「ウソから出た実」で、ポピュリズムからスタートして、本質論を考える優れた政治家になるという可能性もあるでしょう。
 それは夢のような話かもしれませんが、現在の逼塞した状況から脱出するためには、そのようなばかばかしい僥倖すら期待しなければならないところに我々は追い詰められていると自覚するべきでしょう。少なくとも、「組織のロジックにがんじがらめになり、自ら本質を問う改革をすることもできなければまたその意思もない官僚支配をだらだらとを続けるよりは、市民の意思を反映してくれる可能性がある政治家が力を握ってくれた方が幾分かマシだ」という選択をせざるを得ないというのが正しい現状認識だと思います。

  実際、地方交付税制度や道路特定財源という従来であれば侵すことができなかった聖域に手をつけようとする小泉首相の姿勢は、単なる人気取りの域を超えた本気の改革をするという国民に対する十分なメッセージを発していると受け取ることも可能です。
 今や、我々が信じることができるのは我々自身の「民の知恵」のみであろうと思います。そうした状況において、今回の小泉総理の判断は歓迎すべきであり、願わくば今回の方針を他の行政訴訟全般に拡げて適用するというレールを敷いていただきたいものだと切望します。

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