ウイーン芸術週間

(2000.05.13)

「プラハの春」と「ウイーン芸術週間」のオープニングコンサートを見てたんですよ。
「プラハの春」が「わが祖国」で始まるのは当然として、
この「ウイーン芸術週間」のコンサートに込められたメッセージ性は強烈でしたね。

ご存じの通りオーストリアの右傾化は全欧州から白眼視されています。
主催者は右傾化に絶対反対の立場のようです。
 世界の人種は平等で、ウィーンはどんな国の人でも受け容れる
 戦時中、ユダヤ人の音楽や愛国的な音楽が禁止されたが、このようなことは許されない
というメッセージが一貫していました。
それを音楽を通して市民にアピールし、世界に伝えようとしているわけです。

ウィーン・フィルを指揮するのはインド人のメータだし、独唱者も外国人。
メインはユダヤ人であるマーラーの復活。
シェーンブルン宮殿の庭には子供を1000人も集めてアフリカやフランスの民謡を歌わせる。
曲の間には、知識人の箴言が披露されて、
 「この国の首都を支配しているのは誰?」
 「それは市民さ」
 「ほとうに市民が支配しているのかね」と、こうですよ。

会場になった市役所前の広場には10万人はいるであろうかという大群衆。
演出効果は抜群です。ウィーン・フィルですから、世界中に中継されますし。

一時は世界を支配したが、その後はナチスに支配され、
そのあと4カ国統治を経験したオーストリア人には
愛国心と同時に、抜群の国際感覚があるようです。

それにしてもこのイベントの説得性には圧倒されます。
長野五輪の開閉会式のなんと恥ずかしかったことか。

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