七月の章

さて、七月は何を喰ったらいいだろう。
これも畑と相談するしかないのである。
まず目に入るのは茄子である。
これはわが畑でも夏の王者だから毎日もぎとっては
秋までその日その日思いつく料理を楽しむ。
いろいろあるなかで、これまでつくったものをといえば、
茶筅茄子。じくを半分切りのこしておいて、いっしょに煮る。
頭の方に包丁でスジを入れおくと煮汁でふくらんで茶筅状になる。
ぼくは甘辛く炊くのが好きである。

畑には夏大根が肩をもたげている。
ぬいてきてよく洗い、油揚げと煮るのである。
軽井沢のはいつも小ぶりで細いから、見た目は淋しいけれども
喰ってみると、なかなかに大根なのである。
とにかく細い育ちだけれど、ぴりっとからくて、威勢がいい。
したがって油揚げと煮ても、土の味が大根にしみて微妙だ。

いつからか、人はけいべつするようになったか、不思議な気がするが、
いつどこにでもあるからかそういうのか。
いつどこにでもあるものほど、貴重なものはないのである。
大根にかわって文句をいっておく。

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