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頸肩腕症候群

こり,疲労,脱力感,頭痛・・・

ノートパソコンが原因!?

肩こり,頭痛,疲労感・・・・・単純作業を反復する仕事でこうした症状が出る「頸肩腕症候群」が最近になって急増している。背景にパソコンの普及があるというが,実はノートパソコンが原因,という見方も出てきている。

幅130ほどの事務机にノートパソコン。その前で1日じゅうパソコンに向かっていることもある。大柄なため猫背になり,しかも体をひねった体勢に慣れてしまった。

都内の会社具(44)は,最近,首のこりに悩まされている。「夜ひどくなるんです。トクホンを塗っても効かない。考えると,パソコンのせいだとしか思えないんです」

写真を見ていただきたい。だれにも身に覚えがあると思うが,同じパソコンでもノートパソコンの場合は,どうしても前かがみの猫背になり,無理な姿勢になってしまう。首や肩のこりなどは,どうやらこの姿勢を長く続けることに原因があるらしいのだ。

労災の相談や改善を指導している東京労働安全衛生センターの飯田勝春事務局長は,こう語る。

「うちに来る相談者のなかで,パソコンを使った作業をする人が圧倒的に増えました。最近は,机で常時ノートパソコンを使う職場が増えていますが,デスクトップに比べてノートはディスプレーが小さいので,目に負担がかかります。

しかもキーボードとティスプレーが一体になつているため,画面との距離や手の配置が固定され,自分に合った姿勢が取りづらい。それがこりや疲労などの原因になるんです。頸肩腕症候群は無理な姿勢を強いられ,負担がかかることによって起こりますが,ノートパソコンが主流のいま,患者はさらに増えると思います」

日本産業衛生学会によると,頸肩腕症侯群とは,「上肢を同一肢位に保持また反復運動する作業により,神経・筋疲労を生じる結果起こる横能的あるいは器質的障害である。ただし,病像形成に精神的因子および環境因子の関与も無視しえない」

つまり,上半身を固定し同じ作業を練り返す仕事が原因で,体の各所に起こるさまざまな症状を総称してこう呼んでいる。症状は局所のこりや痛み,疲れ,だるさなど。重度になると不眠や頭痛,食欲不振などの自律神経失調症にも似た症状を起こす怖い障害なのだ。

実はこの障害,もともと1960年代からあった。高度成長時代,キーパンチャー,スーパーのレジ係など,女子の単純事務労働者に多く見られたという。その後下火になったが,最近,再び急増。業務上疾病として労災認定を受けるけるケースも,95年には全国で149件だったが,2000年には507件に達した。

その背景にはパソコンの普及があるのだが,前出の飯田氏が指摘するように,ノートパソコンによる姿勢が原因になっているかもしれないのだ。

で,専門医に聞いてみた。頸肩腕症候群に詳しい東京都港区にある芝病院の神経内科医,渡辺靖之医師によると,最近はやはり,継続したパソコン作業が原因でなる場合が多いという。

「一定の姿勢を保ち,モニターに向かって打鍵するパソコンの入力作業は,頸肩腕症候群を起こしやすい。注意や集中が必要な作業を長時間反復して行うと,慢性的に疲労感を感じるようになるんです。しかも,重労働ではないため,まじめで几帳面な人ほどズルズルと引きずって仕事をこなしてしまうのです」

熊本大学医学部整形外科学の高木克公教授は,頸肩腕の原因は姿勢にあるとみている。「頸肩腕症候群は猫背やなで肩の人の症例が多いのも特徴。肩には腕神経叢という神経の集まりがあるんです,猫背やなで肩になるとその神経が引っ張られるのです。筋力不足も原因の一つで,女性に多いのも特徴です。上肢を支える筋力が足りないため,負担がかかり,痛みになります」

渡辺医師も高木教授も,パソコン作業が原因とみているものの,デスクトップとノートの臨床的な比較はしておらず,ノートとの因果関係ははっきりしていないという。

ただ,高木教授は,「ノートだと覗き込むように操作するため,猫背に似た姿勢になりやすい」と,影響を認めており,動機づけなど清神的要因を重視する渡辺医師も,こう言う。「ノートはディスプレーがデスクトップと比べ小さく,眼性疲労をおこしやすいなど,悪影響を及ぼす要因は多い」

悪い姿勢,小さなディスプレーと,どうやらノートパソコンも頸肩腕の原因になっている可能性は高いようだが,この障害がやっかいなのは過小評価してしまい,医師も見落としがちなことだ。高木教授が98年11月から5ヵ月で,肩こりと訴えた患者釣840人を診察すると,約44%が頸肩腕症侯群だったという。

横浜市在住のAさん(32)のケースは悲惨だった。

大学卒業後の92年,運輪会社に入社したAさんの主な仕事は,国内外から届くテレックスやEメールのチェックにパソコンのデータ入力,伝票整理,電話応対など。体に異変が起こつたのは3年目だった。会社が大幅なリストラを断行して作業量がどっと増え,2台のパソコンモニターを机の前と斜め前に置き,体をよじるようにして仕事をこなすようになったのだ。「週末は寝て過ごすことが多くなりました。しかも疲れが取れない。背中や腰に鉛が入っているように重かった」

入社当時から体重が13キロも減った。内科や婦人科に行ってみたが,検査の結果は「異常なし」。知人の紹介で頸肩腕症候群の専門医を訪れると,「重度の頸肩腕症侯群」と診断された。それから2年間は寝たきり生活で,7年たったいまも全快していないという。

では,頸肩腕にならないためには,どうすればいいのか。まずは職場の改善というのは前出の飯田氏。「会社でノートを使い,それを家に持ち帰って使っている人がよくいますが,ノートパソコンだけでなく,作業によってデスクトップと使い分ければ,眼性疲労などが軽減されます。そして,ディスプレーの位置を目線より高めにしたり,適切な姿勢をとれるいすを使ったり,仕事をするうえで精神的,肉体的に負担のない空間をつくることです」

また,高木教授は,一般的に言って,姿勢を矯正するとともに同一姿勢に耐えられる筋力を増強することだという。

頸肩腕症候群チェックリスト

10項目のうち3つ以上当てはまれば要注意!

1 髪をとくのがつらい

2 電話の受話器を持ち続けるとつらい

3 ハンドバッグを持つのもつらい

4 風呂でタオルをかたくしぼれない

5 夜中に腕がしびれて目がさめる

6 長く続けて字をかくとつらい

7 ものをよく手からおとす

8 自由な時間はできるだけ横になりたい

9 いままでより冷房がつらい

10 ねつきがわるい,眠りがあさい

芝病院 渡辺靖之医師作成

上の表は,渡辺医師につくってもらったチェックリストである。10項目のうち3個以上に該当したら要注意だ。パソコンを毎日長時間使っているあなた,とくにノートパソコンを使っている方は,こうした自覚症状には気をつけたほうがよさそうだ。そして症状が悪化したら,「思いきった仕事量の軽減,休養です」(渡辺医師)

白石義行



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