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食生活改善とアルコール依存症対策


 芝大門クリニック所長
 (労働共済連・顧問医師)
 渡辺 靖之

正しい食生活とは―――
何をどのように食べるのが良いのか

健康習慣の自己チェック

日本生活協同組合連合会医療部会が1997年に発表した「医療生協がめざす健康習慣」という文章があります。その中の柱は「健康増進の7つの生活習慣と2つの健康指標」というスローガンです。このスローガンは平凡に聞こえますが、とりあえず今誰もがスローガンにしてよい最低限必要な目標を備えていると思います。下表の9項目をチェックして5項目以上に『×』がついた人はいませんか。長生きしたかったら今からでも遅くはありません、さっそく健康習慣の改善をはかりましょう。

 1.適正な睡眠時間(7〜8時間)をとる
 2.過労を避け、十分な休養をとる
 3.喫煙をしない
 4.過度の飲酒をしない
 5.適度な運動を定期的につづける
 6.低塩分、低脂肪のバランスのよい食事をとる
 7.間食せず、朝食をとる規則正しい食生活
 8.適正体重(敵生体脂肪)
 9.正常血圧

○実行できている △時々実行している ×全く実行していない


『健康習慣』と長島監督の節制

今話題のひと、長島茂雄氏は、煙草も吸わず、アルコールも控え、食生活にも十分気をつけていた節制のひとであるというのは有名な話です。それにもかかわらず、3月に脳梗塞で倒れてしまいました。長年現役選手として身体を酷使していたことは当然ですし、その後も監督を長く務められていてひどいストレスがあったのは想像に難くありません。
脳梗塞、心筋梗塞の最大のリスクは「長時間労働・管理職」であるという研究結果があります。仮にいくら他の健康習慣に気をつけていたとしても、長時間・管理職的なストレスが続けば脳や心臓の血管が傷んでしまうのだと思います。もちろんだからと言って他の健康習慣を守ることの意義が減じるわけではありません。長島監督も健康習慣に人一倍気をつけていたからこそ、68歳まで超多忙の中でも活躍を続けてこられたのだし、今度の病気も回復が早いのだと思います。


米飯・菜食の日本食の良さの根拠

まず第1にヒトは何を食べるのが本来の姿なのかという問題、すなわちヒトの「食性」という概念が非常に重要だと患います。この点は島田彰夫氏が「食とからだのエコロジー」(農文協人間選書、1994年)の中で詳しく論じています。ヒトの歯の形と構成は穀物・野菜食を示しています。

ヒトは霊長類の中でも類人猿と最も最近別れた種であって、類人猿であるオランウータン、ゴリラ、チンパンジーは原則として植物食です。またヒトの唾液と膵液の主成分がアミラーゼであり、アミラーゼは澱粉の消化酵素です。澱粉質の消化酵素が口と腸での二段構えになってことも澱粉がヒトの食性に合っていることをしめすなど、いくつもの根拠があります。
日本の自然環境による食物資源に基礎をおいた伝統食と、仏教の習慣とあいまって形作られてきた穀菜食を基本とする日本食は、江戸時代から明治大正昭和と民族の健康増進に大きく寄与していたことは、「歴史の大規模実験」で確かめられたといっても良いと考えられます。

 何をどのように食べればよいのか

私なりの食生活のポリシーを参考までにここに紹介します。

@米のご飯を主食にして、味噌汁、お漬物、梅干が基本セット。これに野菜、海草、豆の煮物が1〜2皿。これ以上の副食(肉、魚、乳製品、おやつ)は余計なものを頂いているのだ、くらいの意識を持つことが大切だと思います。

Aご飯は精白しない玄米か胚芽米が良い。白米なら麦や雑穀を混ぜたほうが良い。

B食の安全を考えること。すなわち食材、食品について農薬使用、食品添加物をチェックする姿勢を持つ。

C太りやすい・高血圧症の遺伝、という性質・体質に対しては、食事の仕方も重要です。甘いものなどの間食を控える。早食い、大食に気をつける。特に私の場合は、玄米菜食は今でも続けてはいるのですが、早食い大食で、もったいないので残さずに食べてしまう習慣もだめなのです。


牛乳とヒトの食性

今一般には、牛乳は良質のカルシウム源であるということで多量の摂取が積極的に勧められています。果たしてそれで良いのでしょうか。
牛乳はヒトの食性という観点からみていくつも問題が指摘できます。まずヒトは穀菜食であること、これは前項で述べたとおりです。次に母乳である牛乳は成人には適さないというあたりまえの原理を忘れてはならないということです。ヒトでは1歳前後に離乳期があり、母乳の消化を行うラクターゼ活性が低下し、かわって澱粉消化のアミラーゼ活性が出現します。ヒトの食性を無視して不自然に牛乳を常用することからくる問題は今後だんだん明らかになると思われます。今は常食多飲しないことをお勧めします。


アルコール依存症の問題

アルコール依存症とはどんな病気なのでしょうか?

アルコール依存には、耐性の形成、精神依存、身体依存の三面があります。

1.耐性の形成:アルコールを常用すると肝臓でのアルコールの分解する酵素の活性が増加するとともに、脳でのアルコールの感受性が鈍くなります。いつの間にか同じ量のアルコールでは、次第に酔うことができなくなり、酔うために必要なお酒の量が増えていきます。耐性が形成されたと言います。一歩アルコール依存症に近づいた事を意味します。

2.精神依存:飲酒量にブレーキがかからなくなったことを指します(コントロール喪失飲酒とも言います)。 一旦、お酒を飲み出すと適量で済ますことができず、ずるずるいつもの量まで飲んでしまう。自分でも、お酒を控えようと思うのだが、いつも失敗する。また、健診の結果肝障害、糖尿病の疑いと言われても禁酒・節酒を指示されても守れない。

3.身体依存:普通には、お酒を飲んで酔っぱらい時間がたつと身体からお酒がぬけて、元に戻ります。しかしアルコール依存症者では、体内に一定量のアルコールが存在する状態が常に続いており、逆に身体からアルコールがぬけた状態の方が異常な状態となってしまっています。頭痛、倦怠感、胃の痛み、吐き気、発汗、手のふるえ、いらいら、不眠などの離脱症状(いわいる禁断症状)が出てきます。そこで、これらの症状を軽くするために、アルコールをまた飲むのです。体内にアルコールが入ると、たちどころにこのような症状は消えてしまいます。

アルコール依存症かどうかの自己チェック

一番ポピュラーなのはCAGEです。質問4項目の名前の頭文字をとってCAGEと言われています。

 1.
あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?(Cut down)

2.
あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?(Annoyed by criticism)

3.
あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったことがありますか?(Guilty feeling)

4.
あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?(Eye-opener)
 <判定方法>

2項目以上あてはまれば、アルコール依存症の可能性が高い。
更に詳しい久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)を実施したり、アルコール依存症専門医療機関への受診を病院や保健所に相談されるのがよいと思われます。

この久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)はインターネット検索で簡単に見つけることが出来ます。

節酒できない「依存症」

あなたの家族、友人、同僚が問題飲酒(アルコール依存症)の可能性があり心配な場合には、自分自身の飲酒体験で対応しないのがよいと思われます。

たとえば自分が適量でアルコールをストップできるからと言って、アルコール依存症者にその方法を勧めても効果はありません。上述したようにアルコール依存症者は節酒が出来ない点で「依存症」なのであって、単に意志が弱いのではないからです。

かかりつけの内科医や、専門ではない精神神経科や心療内科に受診するように勧めて、もし仮に受診したとしても問題解決にはならない可能性が強いのです。本人に同伴してでも専門医療機関に受診するように勧めることが良いのです。

(労働共済連機関紙 労働共済連 春季号  2004年4月)



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