■ シリアル入力 12桁LED点灯モジュールの製作 ■


 当ページで製作している周波数カウンターは、LCDモジュールに測定値を表示していますが、文字サイズが小さく数値が見づらいと言う要望があります。
 しかし、7セグメントLEDのダイナミック点灯には、かなりのAVR処理能力を要し、周波数計測との両立が困難です。
 そこで、周波数カウンター[3]に搭載したシリアル出力を受信し、LEDに表示するモジュールを製作しました。
 電源2本とシリアル入力の、計3本の結線で動作します。
 
 また、ターミナル等のキーボードからの表示や、BASCOM-AVRの「Print」文で、簡単にLEDを表示させることもできます。
 簡易表示装置からデバッグ用にと、応用範囲も広がります!


回路の解説

1.電 源
 
 ・電源は、標準で5Vです。
 ・消費電流は、全セグメント点灯で約100mA、全消灯で8mA、パワーダウンモードで約0.2μA
  (想定値)です。
 ・3.3Vでも動作しますが、LEDの電流制限抵抗を計算し、小さくして下さい。

2.シリアル入力
 
 ・マイコン等のロジック出力レベルで動作します。
 ・USARTやソフトウェアUARTの、[TXD]端子に接続して下さい。
 ・通信パラメータは、下記の値で固定です。 (プログラム内で変更可能)
   9,600ボー、パリティー無し、データ・ビット 8、ストップビット 1
 
 ・周波数カウンター[3]以外に、BASCOM-AVRの「Print」文で簡単に表示ができます。
 ・「RS-232C変換IC」や「FT232RL USBシリアル変換モジュール」で、パソコン等のターミナルから
  キー入力により表示させることもできます。 (ASCIIコード)
 
3.7セグメントLEDの選定
 
 ・基板のパターン数を減らすため、秋月電子で入手可能なOptoSupply社製のOSL40562シリーズ
  (4桁7セグメントLEDモジュール)の、カソードコモン・タイプが使用できます。
  (ピン配置が同じであれば、他製品も取り付け可能です)
 ・表示色のVF(順方向電圧)に合わせて、電流制限抵抗を選択して下さい。
 
型 番 表示色 VF(順方向電圧) 電流制限抵抗
OSL40562-LG ピュアグリーン(517nm) 3.3V 51Ω
OSL40562-LR 赤 (640nm) 2.0V 150Ω
OSL40562-LRA 赤 (625nm) 2.1V 150Ω
OSL40562-LYA 黄 (590nm) 2.1V 150Ω
OSL40562-LW 3.3V 51Ω

4.ドライブ回路
 
 ・アノード(セグメント)側は、AVRのポートから電流制限抵抗を通り、直接ドライブします。
 ・カソード(コモン)側は、電流ドライバーIC[TD62083AP]を2個使用します。
 
 ・LED基板と制御基板の接続ピン配置は、左右対称になっていますので、「部品面が同じ方向」
  または「ハンダ面どうしが向かい合わせ」のどちらでも組み立て可能です。
 ・プログラム冒頭の下記「定数指定文」で、取り付け方向が選択できます。
 
Const Assembly = 0 LED基板と制御基板が同方向
Const Assembly = 1 LED基板と制御基板がハンダ面合わせ
 
 ・左側のLED4桁分を基板ごと切り取ると、8桁でも動作します。

5.表示行(桁)切換スイッチ
 
 ・よく使用されるLCDは16文字×2行なので、送られた文字列の後半をスイッチで切換表示できます。
 ・スイッチがOFFで、文字列の先頭から12文字を表示、(13〜16文字は無視)
 ・スイッチがONで、文字列の17文字目から12文字を表示、(それ以降は無視)
 
 ・[CR・LF]コード(Enter)が送られた時点で、表示を開始します。
 ・カンマ[,]とピリオド[.]を小数点[D.P.]で表示する制御は、下記「操作方法」に記載します。



回 路 図  PDF版 SeriToLEDcir.pdf (265KB)

部品配置図  GIF版 SeriToLEDpcb.gif (84KB) 部品表
アートワーク  GIF版 SeriToLEDaw.gif (52KB)  
 
   
注意! この図面を使用した、いかなる損害にも責任を負いません。

プログラム  テキスト形式 ソースファイル  SerialToLED101.TXT (25KB)
 BASCOM-AVR用 ソースファイル  SerialToLED101.bas (25KB)
 
注意! 著作権は放棄しておりませんので、販売や配布目的での使用は絶対にしないで下さい。
       (記事の無断転載を除き、個人での使用は可能です。 改変、自作品の掲載、リンクもご自由に。)


後面  
左側面
内部
接続端子

 
プリント基板

LED基板 部品面

 制御基板 部品面

LED基板 ハンダ面

 制御基板 ハンダ面


AVRマイコンの、ヒューズ ビット書き換え
BASCOM-AVRと「AVRISPmkII」の組み合わせでプログラムを書き込む場合は、以下の操作は
不要です。 (ヒューズ ビットは自動で書き込まれます)
 
下記ページの書き換え方法 「6.」を、以下の様に変更して、ヒューズ ビットの書き換えを行います。
    ヒューズ ビット書き換え

 6.[ FusebitC ] の右欄 [ 0:Divide Clock by 8 Enabled ] をクリックすると、右側にプルダウン
   メニューが現れますから、 [ 1:Divide Clock by 8 Disabled ] を選択します。

「AVRWRT」 ライターの場合は、AWRTf_SeriToLED.gif



製作について
 
部品表は、部品の背が低い順に記載してありますので、この順番に取り付けて行きます。
 
・ジャンパー線は、すずメッキ線や、被覆電線を使用して下さい。
 (LEDとAVRの下のジャンパーも、忘れないで下さい)
・1/6W抵抗器は、2目(5.08mm)と 3目(7.62mm)ピッチで両端を折り曲げて取り付けます。
・積層セラミックコンデンサは、5.08mmピッチの物が取り付け可能です。
・IC、ピンヘッダは、配置図の通りに取り付けます。
・AVRマイコンのICソケットは、任意で取り付けて下さい。
 
・7セグメントLEDは、中央と右側のLEDが基板に乗りますが、左側のLEDが基板からはみ出ます。
 中央と右側のLEDを先に取り付けて、左側を取り付ける時にハンダで2点仮止めをして、高さを
 調整して下さい。
 左側を最後に付ければ、基板を裏返した時に他のLEDと高さが合います。
・シリアル入力とスイッチ入力は、被覆電線またはソケットで加工して下さい。
 
・LED基板と制御基板はケースに合わせて、「部品面が同じ方向」または「ハンダ面どうしが向かい
 合わせ」のどちらでも配置することができます。
 (プログラムで、制御基板の表裏取付を変更できます)
・標準では、「部品面が同じ方向」に配置し、12mmの六角スペーサーとビスで固定します。
この場合、AVRのプログラムは、両基板を接続する前に書き込んでおいて下さい。
・ISP端子をL型ピンヘッダにすれば、組み立て後の書き込みや変更も可能です。
 
・両基板は、すずメッキ線や被覆電線で接続します。(20本)
・下記に、すずメッキ線での取り付け方法例を示します。
 
・0.3〜0.6mmのすずメッキ線を、4〜5cmの長さで10本切りそろえます。
 (細いメッキ線ならば、組み立て後も多少の自由がききます)
・約2.54mmの幅でコの字型に折り曲げます。
・LED基板の部品面から2mmほどの余裕を持って差し込みます。
・差し込んだすずメッキ線の根元を、2カ所ハンダ付けします。
・部品面のコの字部分を、ニッパで根元からカットします。
・10組分、同じ作業をします。
・制御基板に六角スペーサーを取り付けた状態で、LED基板の
 すずメッキ線を、制御基板に順番に差し込んでいきます。
 (斜めに1本ずつ差し込む)
・ネジ止めした後、制御基板側のすずメッキ線もハンダ付けします。
 
・ケースに余裕がある場合は、L型ピンヘッダを使い取り付けることも
 できます。



操作方法
 
1.電源投入
 
 ・電源が投入されると、LEDは全て消灯されてシリアル入力を待ちます。
 
 ・初期状態では、動作モードが「通常」となります。
  (文字列の先頭から12文字を表示)
 ・文字列の最後に、[CR・LF]コード(Enter)が送られた時点で表示を開始します。
 
 ・周波数カウンター[3]では、専用のモードに変更するコマンドを送ります。
 
1st 2nd 3rd 4th 動作モードの設定
&H12 [DC2] &H30 ["0"] &H0D [CR] &H0A [LF] 通常動作 (初期値)
&H12 [DC2] &H31 ["1"] &H0D [CR] &H0A [LF] 周波数カウンター[3] 動作
 
 ・BASCOM-AVRでの書式。 Print Chr(&H12) ; "1"

 
2.カンマ[,]の表示制御
 
 ・カンマ[,]を小数点[D.P.]で表示する動作を選択します。
  (初期状態では、[D.P.]のみ表示となります)
 
1st 2nd 3rd 4th カンマ[,]の表示動作
&H12 [DC2] &H32 ["2"] &H0D [CR] &H0A [LF] 無視する。
&H12 [DC2] &H33 ["3"] &H0D [CR] &H0A [LF] [D.P.]のみで表示する。(初期値)
&H12 [DC2] &H34 ["4"] &H0D [CR] &H0A [LF] 前文字の[D.P.]で表示する。
 
 ・BASCOM-AVRでの書式。 Print Chr(&H12) ; "2"

 
3.ピリオド[.]の表示制御
 
 ・ピリオド[.]を小数点[D.P.]で表示する動作を選択します。
  (初期状態では、前文字の[D.P.]で表示となります)
 
1st 2nd 3rd 4th ピリオド[.]の表示動作
&H12 [DC2] &H35 ["5"] &H0D [CR] &H0A [LF] 無視する。
&H12 [DC2] &H36 ["6"] &H0D [CR] &H0A [LF] [D.P.]のみで表示する。
&H12 [DC2] &H37 ["7"] &H0D [CR] &H0A [LF] 前文字の[D.P.]で表示する。(初期値)
 
 ・BASCOM-AVRでの書式。 Print Chr(&H12) ; "5"

 
4.輝度制御
 
 ・LEDの表示輝度を、30段階に変えることができます。
  (初期状態では、最高輝度 (明るい)となります)
 
1st 2nd 3rd 4th LEDの表示輝度
&H12 [DC2] &H41 ["A"] &H0D [CR] &H0A [LF] 最低輝度 (暗い)
       
&H12 [DC2] &H5E ["^"] &H0D [CR] &H0A [LF] 最高輝度 (明るい)(初期値)
 
 ・BASCOM-AVRでの書式。 Print Chr(&H12) ; Chr(&H41)

 
5.パワーダウン・モード
 
 ・LEDをすべて消灯し、AVRもスリープすることで、消費電力を抑えることができます。
  (想定値で約0.2μA)
 ・再起動させた後、100mSの起動時間を待ってから、新しい表示値を送信して下さい。
  (パワーダウン以前の表示値は、保持されます)
 
1st 2nd 3rd 4th パワーダウン・モード
&H12 [DC2] &H40 ["@"] &H0D [CR] &H0A [LF] パワーダウンする。
&H00 [NUL] &H0D [CR] &H0A [LF]   再起動する。
 
 ・BASCOM-AVRでの書式。 Print Chr(&H12) ; "@"  Print Chr(&H00)

 
6.表示行(桁)切換スイッチ
 
 ・送られた1行の文字列の、前半16文字と後半16文字をスイッチで切換表示できます。
  (32文字以降は、すべて無視されます)
 
 ・スイッチがOFFで、文字列の先頭から12文字を表示します。(13〜16文字は無視)
 ・スイッチがONで、文字列の17文字目から12文字を表示します。(それ以降は無視)
 ・カンマやピリオドは、上記表示制御の設定により[D.P.]で表示され、その分の文字数は
  12文字に含まれません。


 
◎ このプリント基板と、書き込み済みAVRを、実費頒布しております。
 
  基板・部品の頒布室



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