世田谷区子ども条例案(2001年11月15日常任委員会で事前説明)

目次
 前文
 第1章 総則(第1条一第8条)
 第2章 基本となる政策(第9条一第15条)
 第3章 推進計画と評価(第16条・第17条)
 第4章 推進体制など(第18条一第22条)
 第5章 雑則(第23条)
 附則

 子どもは、未来への「希望」です。将来へ向けて社会を築いていく役割を持っています。
 子どもは、それぞれ一人の人間として、いかなる差別もなくその尊厳と権利が尊重されます。そして、心も身体も健康で過ごし、個性と豊かな人間牲がはぐくまれる中で、社会の一員として成長に応じた責任を果たしていくことが求められています。
 平成6年、国は、「児童の権利に関する条約」を結びました。そして、世田谷区も平成11年に「子どもを取り巻く環境整備プラン」を定め、子どもがすこやかに育つことのできる環境をつくるよう努めてきました。
 子どもは、自分の考えで判断し、行動していくことができるよう、社会における役割や責任を自覚し、自ら学んでいく姿勢を持つことが大切です。大人は、子どもが能カを発揮することができるよう、学ぶ機会を確保し、理解を示すとともに、愛情と厳しさをもって接することが必要です。
 このことは、私たち世田谷区民が果たさなければならない役割であると考え、子どもが育つことに喜びを感じることができる社会を実現するため、世田谷区は、すべての世田谷区民とカを合わせ、子どもがすこやかに育っことのできるまちをつくることを宣言して、この条例を定めます。

   第1章 総則

(条例制定の理由)
第1条 この条例は、子どもがすこやかに育つことができるよう基本となることがらを定めるものです。

(言葉の意味)
第2条 この条例で「子ども」とは、まだ18歳になっていないすべての人のことをいいます。

(条例の目棲)
第3条 この条例が目指す目標は、次のとおりとします。
(1) 子ども一人ひとりが持っている力を思い切り輝かせるようにする。
(2)子どもがすこやかに育つことを手助けし、子どものすばらしさを発見し、理解して、子育ての喜びや育つ喜びを分かち合う。
(3)子どもが育っていく中で、子どもと一緒に地域の社会をつくる。

(保護者の務め)
第4条 保護者は、子どもの養育と成長について責任があることを自覚し、ふれあいの機会を大切にして、子どもがすこやかに育つよう全力で努めなければなりません。

(学校の務め)
第5条 学校は、子どもが人間牲を豊かにし、将来への可能性を開いていくため、地域の社会と一体となって、活動をしていくよう努めなければなりません。

(区民の務め)
第6条 区民は、地域の中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、積極的に役割を果たすよう努めなければなりません。
 (事業者の務め)
 
第7条 事業者は、その活動を行う中で、子どもがすこやかに育つことができ、また、子育てをしやすい環境をつくっていくため、配慮するよう努めなければなりません。
(区の務め)

第8条 区は、子どもについての政策を総合的に実施します。
 2 区は、子どもについての政策を実施するときは、保護者、学校、区民、事業者などと連絡をとり、協力しながら行います。

    第2章 基本となる政策

 (健康と環境づくり)
第9条 区は、子どもの健康を保持し、増進していくとともに、子どもがすこやかに育っための安全で良好な環境をつくっていくよう努めていきます。

 (場の確保など)
第10条 区は、子どもが遊び、自分を表現し、安らぐための場を自分で見つけることができるよう必要な支援に努めていきます。

2 区は、子どもが個性をのばし、人間牲を豊かにするための体験や活動について必要な支援に努めていきます。

(子どもの参加)
第11条 区は、子どもが参加する会議をつくるなどしていろいろな意見をきき、子どもが自主的に地域の社会に参加することができる仕組みをつくるよう努めていきます。

(虐待の禁止など) 第12条 だれであっても、子どもを虐待してはなりません。
2 区は、虐待を防止するため、地域の人たちと連絡をとり、協力しながら、子育てをしている家庭に対し、必要なことを行うよう努めていきます。
3 区は、虐待を早期に発見し、子どもを保護するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、児童相談所や自主活動をしている団体と連絡をとり、協力しながら、虐待の防止のための仕組みをつくるよう努めていきます.

(いじめへの対応)
第13条 だれであっても、いじめをしてはなりません。
2 区は、いじめを防止するため、すべての区民に必要な理解が広まるよう努めていくとともに、いじめがあったときに、すみやかに解決するため、保護者や地域の人たちと連絡をとり、協力するなど必要な仕組みをっくるよう努めていきます。

(子育てへの支援)
第14条 区は、地域の中での助け合いや連絡を強め、子育てをしている人たちのために必要なことを行うよう努めていきます。

(相談と擁護)
第15条 区は、子ども自身からの相談や子どもについての相談に対し、すみやかに対応するとともに、必要なときは、擁護するよう努めていきます。

   第3章 推進計画と評価

(推進計画)
第16条 区長は、子どもについての政策を進めていくための基本となる計画(以下「推進計画」といいます。)をっくります。
2 区長は、推進計画をつくるときは、区民の意見が生かされるよう努めなければな  りません。
3 区長は、推進計画をつくったときは、すみやかに公表します。

(評価)
第17条 区長は、子どもについての政策を有効に進めていくため、推進計画に沿って行った結果について評価をします。
2 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をするときは、区民の意見が生かされるよう努めなければなりません。
3 区長は、推進計画に沿って行った結果について評価をしたときは、すみやかにその評価の内容を公表します。

   第4章 推進体制など
(推進体制)
第18条 区長は、子どもについての政策を計画的に進めていくため、推進体制を整備します。

(国、東京都などとの協力)
第19条 区は、子どもがすこやかに育つための環境をつくっていくため、国、東京都などに協力を求めていきます。

(雇い主の協力)
第20条 雇い主は、職場が従業員の子育てに配慮したものであるよう努めていくものとします。
 2 雇い主は、子どもがすこやかに育つことに関わる活動や子育てを支える活動へ従業員が参加することについて配慮するよう努めていくものとします。

(地域の中での助け合い)
第21条 区は、子どもがすこやかに育っことのできるまちをつくっていくため、地域の中での助け合いに必要なことを行うとともに、自発的な活動がなされるよう必要な取組を行います。

 (啓発)
 第22条 区は、この条例の意味や内容について、すべての区民に理解してもらうよう努めなければなりません。

   第5章 雑則

(委任)
第23条 この条例を施行するために必要なことは、区長が定めます。

   附 則
 この条例は、平成14年4月1日から施行します。

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木下泰之 TEL 5355−1283 Email kinoshita@a.email.ne.jp