月の誕生


わたしが生まれた頃の話はしたわね。この時は大小さまざまな隕石がぶつかってきたわ。普通の隕石は「蚊に刺される」位でたいしたことなかったんだけど、一度だけ大変な目に遭ったことがあるの。
あれは45億年くらい前、わたしが生まれて1億年くらいたった頃ね。今まで見たこともないような大きな隕石がぶつかってきたの。その大きさはなんと火星くらい。私の半分ほどの大きさなのよ。この時はさすがにびっくりしたわ。だって、わたしの体の一部が吹き飛ばされたんですもの。こんな経験はもちろん初めて。どうなるのかと思ったわ。この衝突を「ジャイアント・インパクト」と言うの。
吹き飛ばされたわたしの体は、引力で戻ってきたものもあるけど、遠くまで飛ばされて戻れなくなったものもあるのね。この戻れなかったわたしの体は、互いにくっつき合って1つにまとまったの。そしてわたしの体の周りを回り始めたの。そう、これがわたしの衛星「月」よ。月が誕生したばかりの頃は、わたしと月の距離は今の半分。月の自転も公転も今よりずっと速かったわ。地表からは大きくて真っ赤な月が見えたはずね。

こうして「月」が誕生して、いろいろ変化が起きたわ。一番大きな変化は「潮の満ち干」ね。わたしとの距離は半分だけど、干満の差は4倍以上。最大で10mを越えていたわ。干潮で地表に出たところが満潮のときは10mの海底に沈むの。この激しい環境の変化は生命の誕生にも大きく影響したのよ。

さぁ、次は生命誕生のお話よ。


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