|
2009年 2月の雑記 |
|
2009. 2/1(日) これこそ ![]() 昨年秋、一年におよんだ結婚式のコーナーを書ききった。読書感想のコーナーはまだしっかり続いている。それでも僕の裡には、この雑記帳こそ自分の本分であり、また本格的に更新を続けたい思いがずっとあった。どれだけ別のコーナーで更新をつづけても、なんだかやり残している気持ちがぶらぶら引っかかっていた。書きたいことが山ほどある。山をあまり見つめすぎると一歩も動けなくなるので、すそ野のほんのはじっこあたりを細目で見ながら、一歩を踏み出したい。 2009. 2/2(月) 50&150 ![]() 2009. 2/3(火) サード・ウォッチ ![]() 昨日書いたとおり、ここ数年来、テレビで放映される映画を片っ端から録画しては観ている。録画にはDVDレコーダを使っていた。不便に感じていたわけではないが、大容量とディスク交換の手間がない点に惹かれ、HDDレコーダがあればいいなと考え始めたのは春先頃だった。そこへ、ひとつのテレビドラマが拍車をかけた。 「サード・ウォッチ」である。 WOWOWでやっていたこのドラマは、さほど大ヒットした作品ではなく、これを読んでいる人でも知らない方は多いだろう。レンタルDVDでこれを観てから夫婦してどっぷりはまってしまい、そこへスカパーe2がドラマチャンネルで放送しているのを知ったもんだから、一気にチューナー付きレコーダ一購入に踏み切った。 20年ほど昔、日本のテレビドラマをよく観ていた時期があったが、今はもうまったく観ることはない。たまに観てみようかと思う作品があっても、一話目のほんの数分を観ただけでやめてしまう。あんまりにもばかばかしくて、時間の無駄だからだ。お決まりの筋書き、お決まりのわざとらしい演技、お決まりの配役。これはいまだ大量に放映されている韓国ドラマでも同じである。 主にアメリカ発の海外ドラマについてはまだ多少マシだとは思うものの、流行りの「24」や「ロスト」「プリズンブレイク」などには手を出していない。ところが、僕の信頼している映画サイトの中で、「サード・ウォッチ」がいたくほめられていて、いちおう観てみようかとDVDを借りてきた。 ドラマは、ニューヨークの警察、消防署、救急医療の現場を描いた群像劇だ。毎回複数の事件が発生し、複数のエピソードが平行して描かれる。互いのエピソードが微妙に絡み合い、最終的になんらかの着地点に降り立つ。主要キャストは7〜8人で、彼らが揃って不完全な人間なもんだから、すんなりと事は運ばない。人格者に思えた人物が、ある局面では極端に非常識、非道徳な行動に出たりする。観ているものはそこで、人間というものの深みを感じる。同時に、娯楽的な見せ場もたっぷりで、小難しいものを見せられているという感触はまったくない。 一話は45分足らずだが、これだけで一本の映画を観たような満腹感が得られる。人が人を裁くことの難しさ、犯罪者は更正できるのか、警察や救急医療の目的とは何か、などなど、いろんなテーマが胸に残る。かつ、どれもすぐには答えは出ない。そういう風に作ってある。優れたドラマは、答えを見せるのではなく、問いかけを見せるものだ。様々な価値観が提示されるだけで、どこにも肩入れしない。 たとえば、一人の女性警察官がいる。彼女の相棒の男性警官はふだんから素行が悪く、犯罪すれすれの取り調べをおこなったり、パトカーに女を連れ込んだりしている。彼女はこの同僚の面倒をみる人格者として描かれるが、ある時、街のどうしようもない犯罪者を、敵対するグループのいる場所に置き去りにして見殺しにする。今度は相棒がやり返す。「たとえあいつが根っからの犯罪者だとしても、お前がやったのはれっきとした殺人じゃないか」と。 こうして、いくつもの「問いかけ」がなされていく。ある登場人物が、時には矛盾する行動を見せ、しかし、行動の奥底をたどっていくとやむにやまれぬ事情が見えてくる。一筋縄ではいかない人間という罪深い存在が見えてくる。 大傑作だと思う。すくなくとも僕の知っている海外ドラマでこれに匹敵するものはない。全20話程度のシリーズが、全部で6シーズンまである。DVDで発売されているのはシーズン1のみであり、いまスカパーe2で放送されているのはシーズン5だ。このシーズン5においても、シーズン1のレベルがまったく落ちていないのがまたすごい。 ・スカパーe2「スーパードラマTV」の番組サイト 2009. 2/4(水) 快適テレビライフ ![]() もう一つ嬉しいのは、観られるチャンネルが増えたことだ。地上波デジタル、BSデジタル、CSデジタルは、このレコーダ購入で初めて観ることが可能になった。テレビはもう10年以上前に買った古いものだが、いちおうフルハイビジョン対応である。今回、デジタルハイビジョンの映像を観て、もう通常画質には戻れないと感じた。事実、それまで普通に観ていたアナログ放送の画面がもう見づらくてしかたがない。 CSについては、BSとアンテナが兼用なので、契約さえすればさらにたくさんのチャンネルが視聴できる。これは前に書いたとおり、海外ドラマチャンネル一つだけを契約してある。 購入した機種は、パナソニックの「DMR-BR500」という入門機である。SONYの「BDZ-T50」と最後まで迷った末に選んだ。HDD容量は最小クラスの250GBで、同時に一番組しか録画できないタイプだ。上級モデルでは、容量はこの4倍、さらにはチューナーが2セットずつ搭載されて同時に二番組収録可能なものが一般的であるが、値段との兼ね合いからしてまあこれで十分だろうというところで絞り込んだ。すると、考えることは皆おなじようで、この2機種を徹底比較しているサイトを見つけ、おおいに参考にした。 ・「お手ごろBDレコーダー直接対決(前編)」 ・「お手ごろBDレコーダー直接対決(後編)」 電子番組表での録画予約については、いちいち番組表画面を呼び出して、お目当ての番組を探さなければならず、最初はなんだか面倒だなあと思っていたのだが、やってみると意外に快適だった。番組を探し出す手間はそれほどかからず、毎週予約、録画モードの変更、予約が重複している場合の表示など、どれも満足のいくものだった。もっとも、そのあたりの機能性に優れているという点も、競合したSONY機よりパナソニック機を選んだ理由の一つであった。 2009. 2/5(木) 2008年に観た映画 ![]() 1/ 3 素晴らしき哉、人生 5.0 1/ 4 暗黒街の顔役 4.0 1/ 6 カリガリ博士 3.0 1/ 7 ゆすり 3.0 1/ 9 汚名 3.5 1/11 ハウス・オブ・ザ・デッド2 2.5 1/16 地上最大のショウ 5.0 1/18 白い恐怖 4.0 1/20 踊る大紐育 5.0 1/22 ヒッチャー 3.5 1/24 青いドレスの女 2.0 1/27 48時間 1.5 1/29 ビバリーヒルズ・コップ 3.0 1/31 キャット・バルー 3.0 2/ 4 未知との遭遇<ファイナル・カット版> 2.5 2/ 5 鴛鴦歌合戦 3.5 2/ 7 スピード 3.0 2/ 8 デッド・フライト 1.5 2/10 スティング 5.0 2/12 ヘルゾンビ 3.0 2/15 聖処女 3.5 2/19 トッツィー 3.5 2/20 麗しのサブリナ 1.5 2/22 さらば冬のかもめ 3.5 2/28 スローなブギにしてくれ 3.5 3/ 1 オーメン 4.0 3/ 4 大いなる遺産 3.0 3/ 5 クイーン 3.5 3/ 7 明日の記憶 4.0 3/10 目かくし 3.5 3/14 マーティ 3.0 3/18 イル・ポスティーノ 3.5 3/25 灯台守の恋 4.0 3/30 明日に向かって撃て 3.5 3/31 プラトーン 2.5 4/ 3 夜を楽しく 2.0 4/ 8 レイ(RAY) 4.0 4/11 細雪 3.5 4/11 アメリカの夜 3.0 4/11 ガス燈 3.0 4/18 カッコーの巣の上で 4.5 4/21 帝銀事件 死刑囚 3.5 4/23 用心棒 3.5 4/25 黒い潮 2.0 4/30 真昼の暗黒 4.0 5/ 2 松川事件 4.5 5/ 3 水の中のナイフ 4.0 5/ 7 大日本人 2.0 5/13 オーロラ 0.0 5/15 反撥 4.0 5/20 野良犬 4.0 5/22 骨まで愛して 3.0 5/23 プルミエール 3.5 5/27 虎の尾を踏む男達 3.5 5/30 小間使 3.0 6/ 3 不都合な真実 3.0 6/ 5 300 3.0 6/16 イカとクジラ 3.5 6/20 俺は待ってるぜ 2.5 6/25 アイガー・サンクション 2.0 6/27 黒い雨 3.0 6/28 屋根の上のバイオリン弾き 5.0 6/30 モンティパイソン人生狂想曲 3.0 7/ 4 袋小路 3.0 7/ 5 アウェイ・フロム・ハー 2.5 7/ 6 ロミオとジュリエット 2.0 7/ 8 椿三十郎(1962年.黒沢明監督) 4.5 7/10 我が道を往く 4.0 7/15 姿三四郎 2.0 7/19 父親たちの星条旗 3.0 7/20 硫黄島からの手紙 2.0 7/24 醜聞(スキャンダル) 4.0 7/25 稲妻 3.5 7/29 プライベート・ライアン 3.0 8/ 3 周遊する蒸気船 2.5 8/ 6 ホテル・ルワンダ 3.5 8/24 街のあかり 3.0 8/26 アポカリプト 3.0 8/28 黄金 2.5 9/ 2 リトル・チルドレン 3.5 9/ 5 砂塵 4.0 9/ 6 暗殺者のメロディー 2.0 9/10 七人の侍 4.5 9/12 オーメン2 2.0 9/14 ゴッドファーザーV 4.0 9/19 白夜 3.0 9/23 証人の椅子 3.5 9/26 隠し砦の三悪人 5.0 10/ 1 ソウ4 2.5 10/ 8 群衆 3.5 10/10 シックス・センス 3.0 10/12 デス・プルーフ in グラインドハウス 3.0 10/13 プラネット・テラー in グラインドハウス 3.5 10/14 ボラット 2.0 10/16 ワン・ツー・スリー ラブ・ハント大作戦 4.0 10/22 ベイブ都会へ行く 3.5 10/24 キングダム 見えざる敵 2.0 10/24 王様と私 5.0 10/26 生きる 5.0 10/31 ハリーポッターと不死鳥の騎士団 2.0 11/ 6 悲愁 2.0 11/ 8 ヤング@ハート 5.0 11/ 8 モディリアーニ〜真実の愛〜 2.0 11/11 シッコ 3.0 11/13 ボルサリーノ 2.0 11/14 レミーのおいしいレストラン 1.5 11/18 パリの大泥棒 2.0 11/20 ゾンビーノ 2.5 11/21 ダイヤルMを廻せ! 3.5 11/24 予期せぬ出来事 4.0 11/26 スリ(掏摸) 3.5 11/28 幸福(しあわせ) 3.5 12/ 1 バニー・レイクは行方不明 4.5 12/ 3 蘇える金狼 2.5 12/ 6 赤い風車 2.5 12/ 8 針の眼 1.0 12/10 エンゼル・ハート 3.5 12/12 レナードの朝 2.0 12/17 フィッシャー・キング 1.5 12/19 OK牧場の決斗 4.0 12/21 三十四丁目の奇跡 4.0 12/22 トイ・ストーリー2 4.5 12/25 8.5 3.0 12/27 ブリジット・ジョーンズの日記 1.0 12/27 暴行 3.5 12/28 パリところどころ 3.5 12/29 華氏451 4.0 2009. 2/6(金) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年1/3 評価:5.0 2008年しょっぱなに観た映画は、僕の自己採点で最高の5点をつけた。 アメリカのクリスマス時期に必ずテレビで流される映画が二つあり、一つが「34丁目の奇跡」、もう一つがこの「素晴らしき哉、人生」だ。本当は2007年のクリスマスに観る予定だったのが、ちょっとずれこんで正月明けになった。 話の筋は、ディケンズの「クリスマス・キャロル」にちょっと似ている。ただし主人公はスクルージとは違い、善良な金貸しである。彼はそれまでの人生でことごとく運に見放され、自らを嘆きながら暮らしている。そんな彼が、街の有力者の罠にはめられ、大きな借金を抱えてしまう。返せるあてもなくなり、絶望して自殺を図ろうと橋の上に立った時、空から何かが落ちてくる。それはみすぼらしいおじさんで、自分は天使だという。彼の自殺を防ぐためにつかわされたという天使は、彼が存在しなかった世界を彼に見せてくれる。そこでは、悪徳金融会社がのさばり、彼の家族を含めた街の人々がみな不幸になっていた。つまり、彼がいることでたくさんの人間が救われていたのだ。彼はやがて少しずつ自分を取り戻していく。 1946年の映画である。もちろん白黒だ。映画は、主人公ジョージの小さい頃からの生い立ちを丁寧に描いていく。2時間10分という長丁場の中で、観る者はどんどんジョージに感情移入していく。どうにも歯がゆく感じ始めたころ、彼は自分の人生がいかに恵まれていたかを思い出す。それでも、彼が背負った巨額の借金をどう返すのか。ラストにはあっと驚くオチが用意されていて、もう涙せずにいられない。誰もが元気になれる映画だと思う。 ジェームズ・スチュアートはやっぱりいいなあと思う。善良な市民を演じさせればピカイチだ。 この映画はパブリックドメイン(映画の著作権が切れ、映像を誰でも自由に無料で使用できるもの)となっており、調べてみると、ネット上で字幕付きの本作を公開されている方がいらっしゃった。下記のリンクをたどればパソコン上で観ることができるので、ご興味のある方はどうぞ。 ・「素晴らしき哉、人生」 (画面左下にある再生ボタンをクリック) ・「The Baker Street Bakery」 (本作を翻訳・公開されている方のサイト) 2009. 2/7(土) アメリカン・リアリズム ![]() 美術展にこれほど行くようになって思うのは、本物と複製とはまったく別物だということだ。画集やテレビ画面は、本物の良さを100分の1も伝えていない。それは北斎展を見に行った時に痛感した。浮世絵などの日本画にはまったくといっていいほど興味はなかったのに、北斎の作品、とくに肉筆画を観てすっかりはまってしまい、その直後に開かれた浮世絵展にも足を運ぶことになった。やはり絵を見るなら本物を見なければ話にならない。 そして今日見に行ったのが、愛知県美術館で開かれているアンドリュー・ワイエス展である。1995年にも名古屋に来たことがあって、その時は一人ででかけ、感銘を受けてもう一度行ってしまうほど気に入った。 こうした展覧会のある時には、それに合わせて特集番組がテレビで放送されることが多く、今回もワイエスに関する番組を事前に観ていた。妻もその番組を観て、がぜん行く気が増したようで、今日は二人で期待十分にして見に行った。 ここのところ、モネやピカソなど、リアリズムとはちょっと離れた絵画に触れる機会が多く、もちろんそれら作品は素晴らしいもので大いなる感銘を受けたのだが、今日のワイエスは極端なまでのリアリズム指向の作家であり、また違った衝撃を受けて帰ってきた。 今回の展覧会の特色は、完成した絵に並べて習作が何枚も飾られていることだ。一枚の絵を仕上げるために、事前に何枚もの習作を描き、完成度を高めていく。完成品の数でさえ相当なものなのに、さらにそれぞれについて複数の習作が存在する。いったい人生のどれだけを絵に費やしてきたのか、想像もつかないほどだ。たとえば建物の窓一枚を習作として緻密に描き、完成した作品を見るとほんの小さな一部分でしかなかったりする。よほどの完璧主義者であったに違いない。髪の毛一本一本、壁の木材一枚一枚までを緻密に描く画法は、その奥底に作者の並々ならぬ情熱が秘められてこそのものだ。 完成作品の数としてはそう多くなかったのに、絵の迫力に圧倒され、なんとか自分なりにそれを吸収消化しようとエネルギーを使ったため、見終わったあとはぐったり疲れてしまった。 2009. 2/8(日) 去年の贈り物 ![]() 僕の場合、音楽を聴くのではなく、もっぱらラジオのポッドキャスティング放送(インターネット放送)を聴くために使っている。TBSラジオの「ストリーム」という番組が、ニュースあり、映画レビューあり、書評ありとかなり僕の好みにあった放送をしており、内容も充実しているので、毎日パソコンでダウンロードをし、このプレイヤーにコピーして聴いている。 気に入っているのは、週替わりでコアなネタを話してくれる「コラムの花道」というコーナーだ。月曜担当の吉田豪氏は芸能人の裏情報、火曜担当の町山智浩氏はアメリカ映画およびアメリカ情勢全般、水曜担当の勝谷誠彦氏は政治経済全般、という風にそれぞれの道のエキスパートが舌技よろしく聴き応えのある内容をしゃべってくれる。もとは火曜担当の町山氏の放送から、この番組にどっぷりはまってしまった。町山氏については、本業の映画解説がたっぷり聴ける「アメリカ映画特電」も、毎週楽しみに聴いている。 家で家事をしている時にはヘッドフォンで、車に乗っている時にはカーステレオの外部入力端子につないで、それこそ毎日聴きまくっている。これさえあれば、しんどい家事もやる気が起きるし、仕事で車に乗る時も楽しめる。何より、時間を有効に使えるのが嬉しい。 2009. 2/9(月) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年1/16 評価:5.0 タイトルの意味は、「サーカス」のことである。。1950年代頃のサーカスは人々にとって大きな娯楽だった。しかも今と比べて規模が大きく、サーカス小屋の中を数頭の象が走ったりする。この映画は、サーカスそのものだ。画面に映し出される出し物をただじっと見て、興奮すればよい。途中の恋愛模様などは付け足しに過ぎない。 今じゃなかなかこんな映画は撮れない。題材にならないし、お金をかける価値がないと見なされるだろう。 ●「踊る大紐育」(1949年) 鑑賞日:"08年1/20 評価:5.0 紐育(ニューヨーク)に来た三人の水夫が繰り広げるドタバタ劇。まだミュージカル映画に「踊り」の要素があった頃のお話。いやあ楽しい楽しい。その楽しさは、卓越した技術の土台の上に成り立っているという格好良さ。フランク・シナトラ、ジーン・ケリー、アン・ミラー、ヴェラ・エレン、みんな踊りも歌も超一流だ。 ●「鴛鴦(おしどり)歌合戦」(1939年) 鑑賞日:"08年2/5 評価:3.5 これは珍しい「時代劇ミュージカル」で、とても新鮮に観ることができた。踊りの要素は少ないが、歌は変化に富んでいて楽しい。黒澤明映画でおなじみの志村喬さんが出演されていて、吹き替えなしでものすごくうまい歌を披露されていたので、感心してしまった。 2009. 2/10(火) 還暦の声 ![]() 「おじいちゃん」と呼んでもおかしくない年齢なのに、あいかわらずのハイトーンボイスで恋の歌を歌う。いろんなことを年齢のせいにして、無理だ、できない、と決めつけていないだろうか。我が身を振り返る。 2009. 2/11(水) 四大陸選手権 ![]() 以前はぜんぜん好きではなかった浅田選手を、今ではすこし応援するようになった。理由は、ただ強いからではなく、観る者に感動を与える滑りを披露してくれるようになったからだ。 2007年10/11の雑記に書いたとおり、先シーズン開始時での変貌ぶりには驚かされた。このシーズンでは、ショートプログラムの出来は素晴らしかったが、フリーのほうはまだまだという印象を受けた。それが今シーズン、フリーはあの「仮面舞踏会」だ。つくづく凄いプログラムだと思う。全体を通じての表現力はキム・ヨナ選手のほうが上だと思うが、十分に“魅せる”プログラムに仕上がっている。 四大陸選手権には、浅田選手のほか、村主章枝選手、鈴木明子選手が出場した。村主選手は今シーズン、ジャンプの質が著しく向上した。28歳だから、フィギュア選手としては盛りを超えているはずなのに、まだ成長しつづけている。全日本選手権のフリーでは浅田選手を上回る最高得点を出し、総合で2位に輝いた。世界選手権への出場権も3年ぶりに獲得した。本人としてはこのままオリンピック出場まで持っていきたいところだろう。 いっぽうの鈴木選手も、ベテラン復活組である。かつて将来を嘱望されながら病気に苦しみ、数シーズンを棒に振った上での今シーズン、見事な復活を遂げた。全日本選手権でのフリー演技は鳥肌がたつほど素晴らしかった。今シーズンを締めくくる今大会ではもうひと踏ん張りしたかっただろうが、また来年、オリンピックに向けて力をつけていってくれると思う。 2009. 2/12(木) いまさら全日本選手権 ![]() 日本の男子も、女子ほどではないにせよ、かなりレベルが上がってきた。今シーズン復活成った織田信成選手、そして大きな大会で結果を残せるまでに成長した小塚崇彦選手の二枚看板が、十分に世界のトップを狙える力をつけてきた。ジュニアから上がってきた無良崇人選手も、彼らのすぐそばまで来ている。日本選手権では、織田選手と小塚選手が予想どおり1位2位となり、無良選手が3位につけた。これで大エースの高橋大輔選手が怪我から復帰すれば、日本男子も盤石の布陣となる。というか高橋選手もうかうかしていられない。なにしろオリンピックはもう1年後に迫ってきているのだから。 2009. 2/13(金) オヤジと青年 ![]() 若い青年と、中年のオヤジさん風の男が向き合って話している。 中年:「それで、勤務形態とかはどうなの?」 青年:「それはですね――。」 中年:「あ、そう。そいじゃあ、――」 青年:「はい、そうです」 などというやりとり。中年オヤジがぞんざいな口調で質問し、青年が丁寧に答える。つまり中年オヤジが就職希望者で、青年が係員である。 僕が人事部員なら、こんな口の利き方をする奴は絶対に採用しない。自分が就職を希望する会社の説明会で、係の人間に敬語でしゃべれないような人間に、いったいどんな仕事ができるのだろう。人を見かけで判断してはいけないと言うが、顔つきと話し方、この二つにその人の人間性が強く表れているのも事実だと思う。悪いけど僕は人を見かけで、ある程度までは判断する。 なんにせよ、今がどんな酷い世の中だろうが、会社の都合でリストラされた身の上だろうが、そちらの会社に就職させてください、という態度はあってしかるべきだ。逆に会社の側からしても、自分の会社で働いてもらうかもしれない応募者に対し、同様な礼儀をもってむかえるべきであり、その意味ではテレビに映っていた青年は誠に正しい接し方だった。 思うに、会社に勤めながら文句ばかり言っている人、さらにはリストラされてしまった人や再就職がなかなか決まらない人など、会社や社会のせいでうまくいかないと嘆く人はたくさんいるが、実は多くの場合、彼ら自身の側に理由があるのだ。 同様な理由で、僕は人から聞かされる愚痴や陰口を、すぐには信用しない。「あの人がこういう嫌な態度を取る、許せない」などと話す人の顔を見ながら、ああそれはあなたが先にまずいことをやったせいなんじゃないの、と心の中で問いかけている。 2009. 2/14(土) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"09年2/13 評価:4.5 しばらくこちらで紹介していたのは昨年(2008年)に観た映画だった。今年は目標として年間150本鑑賞をあげ、1月は15本、2月は昨日までで8本、全部で既に23本を観たから、順調な滑り出しである。ただしその割にはまだあまりいい作品に巡り会っていない。自己評価4点以上の作品は、「さすらいの航海」「東京ゾンビ」「ドレッサー」の3本のみである。いっぽう、1点台の作品はというと、「俺たちフィギュアスケーター」「新幹線大爆破」「フォレスト・ガンプ」「伯爵夫人」「魍魎の匣」「卒業」など、ずらずらと並んでしまう。 そんななかで、昨日観た本作には大いなる衝撃を受けた。ドイツ映画で、主人公は男二人。病院のベッドで出会った二人は、かたや脳腫瘍、かたや骨髄腫で共に余命わずかと宣告されていた。死ぬ前に一度海を見たい、と一人が告げ、彼らは車を盗んで海を目指す。金のない二人は銀行強盗で金を奪い、警察に追われる身となる。さらに、盗んだ車はギャングのもので、車には大金が積んであった。警察とギャングの両方に追われながら、二人の間に強い友情が芽生えていく。 海をめざす旅というロードムービー的要素と、男二人の友情劇というバディ(相棒)ムービー的要素を兼ね備え、演出も素晴らしい。基本的にはコメディなので、激しい銃撃戦が何度もあるのに、一人として死人が出ない。折りはさまれるユーモアはどれもセンスに満ちており、しっかり笑わせてくれる。それでも作品の底に流れているのは「死」という重いテーマだ。いつも思うが、いい作品には必ずいい笑いの要素がある。厳格な宗教者のような作品ほどピントがずれていたりするものである。どうしようもなく下品で自堕落な部分と崇高な部分とが同居するのが人間の本質だ。そこを見事にすくい取っている本作は、途中の道のりで二人がいかに無軌道な行動を見せようと、だからこそラストシーンが胸を打つのである。 ちなみにこれを基にして日本で同内容の作品が公開されるらしいが、主人公が男女のカップルにされていたりなど、どうせあんな感じだろうというのが目に見えているので、興味はない。 2009. 2/15(日) 町のちいさな図書館 ![]() それでこの本屋さん、今もまだある。最近久しぶりに入ってみる機会があったのだが、なんだか店内の様子が変貌していた。全体のスペースに変化はない。本当に小さな、町の本屋さんというイメージぴったりの店だ。そのさらに半分ほどが仕切られて、他の棚とは様相が異なっている。見ると、「こちらのコーナーの本は非売品です」との文字がある。なんと、店長さんご自身の蔵書がそこに並べてあって、売り物でないかわりに誰でも自由に好きなように読めるようになっているのだ。小さな図書館である。貸し出しはしていないようだけれど。 蔵書のジャンルは多岐にわたり、誰もが知っているベストセラーからディープな専門書までが雑多に並んでいる。売り物の本のほうも似たような感じで、けっして売れる本ばかりが置いてあるわけではなく、こだわりが感じられる。 公式サイトをネットで探してみたがどうやらないようで、かわりに、店長さんがラジオ番組に出演された時の模様が番組ブログに紹介されていた。やはり僕と同じように思う人はたくさんいるらしい。ただでさえ狭い店のスペースのさらに半分を使い、一銭にもならない本を置いている。そんな本屋さんがもう20年以上もつぶれずにまだそこにある。 2009. 2/16(月) 世界をひろげる ![]() ほかにも、きっちり目標をたてているわけではないが、ぼんやりと考えていることが二つある。ひとつは、英語力の上達だ。一人で海外に行ったりすることもあったので、英語はまったくできないわけではないが、自在に操るというのにはほど遠い。最近なんだか、英語ができたら世界が広がるなあ、とつくづく思うのだ。日常会話が無理なくできるようになれば、海外へ行った時のコミュニケーションで困ることも少なくなるし、現地の人との交流も深くなる。ネットや文献で英文を読んだり、映画を言語で理解できるようになれば、いろんな世界が見えてくる、そんな気がする。ただしそのためにどうすればいいかにまでは考えが及んでいなくて、日々少しずつ何かをやっていくというのが一番なのだろうけど、この雑記を毎日書くのでも手一杯なので、なかなか手をつけられない。 もう一つは、歴史の勉強だ。高校時代は世界史を専攻していたのに、当時はまったく興味がなくて成績も悪かった。結果、いま頭に残っている知識はわずかだ。日本史については言うに及ばず、有名な人物や事件についても詳しくは知らないことだらけである。これはなんとかしなければいけない、と前々から思っていた。そしてこちらについても、歴史を深く知れば知るほど、いろんな物事についての世界が広がっていく、ということ。なにか数冊程度本を買って、すこしずつ読んでいくようなことができればと思っている。 2009. 2/17(火) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年2/10 評価:5.0 ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード共演による、痛快娯楽映画。もう何も言うことはない。これこそ映画だ。これこそが娯楽だ。観客を楽しませるアイデアに満ち、画面の緊張感は緩むことなくラストシーンまで突っ走る。セットから演技から脚本から、すべてが完璧。僕はとくに、列車の中でポーカーをやる場面が大好きだ。 ●「麗しのサブリナ」(1954年) 鑑賞日:"08年2/20 評価:1.5 オードリー・ヘップバーン、ハンフリー・ボガートというこちらも大スター二人の共演作。申し訳ないけれど、僕はオードリー・ヘップバーンはあんまり好きではないのだ。どの映画を観ても、ちょっと頭の足りないわがまま娘というワンパターンで、容姿もあまり好みではない。ボギーもぜんぜんかっこいいとは思えない。二人の魅力を感じられないとなると脚本に見せ場はなく、映像美を感じさせるシーンもないとすれば、これ以上にどう評価せよというのだろう。 ●「さらば冬のかもめ」(1973年) 鑑賞日:"08年2/22 評価:3.5 若かりし頃のジャック・ニコルソンが出ている。ふとした小さな犯罪で監獄に捕らわれた若い青年を護送する任務を、ニコルソン演じるバダスキーともう一人の将校とが命ぜられる。青年の純粋さとニコルソンら将校の無軌道さとが不思議に交錯しあい、一風変わったロードムービーに仕上がっている。それほど有名な作品ではないが、これは意外に佳作だった。 2009. 2/18(水) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年3/25 評価:4.0 なんだかここでは古い映画ばかり紹介しているようだが、古い映画ばかり観ているのだ。テレビ雑誌を見ながらめぼしい作品をチェックする際も、1990〜2000年代の作品よりは1980年代以下のものに惹かれる。 本作は、そんな中でも比較的新しい作品。孤島に住み、交代で灯台守をする人々の暮らし、そして恋。当時の灯台守は一歩間違えば命さえ落としかねない危険な仕事であり、そこが非情に丁寧に描かれていて好感が持てる。大絶賛はしないが、良い映画だと思う。 ●「レイ/RAY」(2004年) 鑑賞日:"08年4/8 評価:4.0 レイ・チャールズの生涯をジェイミー・フォックスが完璧に演じている。映画の中でピアノを弾くシーンも、長期間ピアノの練習をしたジェイミー・フォックスが実際に弾いている。 スーパースターの良い面と悪い面のうち、どちらかといえば悪い面を多めに見せているのがすごい。レイ・チャールズの有名な曲の裏に秘められた事情を知るのも楽しいし、単純に歌を聴くだけでもわくわくする。 幼少期を振り返る場面で、目の見えなくなったレイ少年が、手探りで家の中を歩く練習をする。なかなかうまくいかないが、母親は決して助けようとしない。ようやく初めてちゃんと歩けたとき、母親は彼を抱きしめながら涙を流す。「なぜ泣いているの」とレイが尋ねると、母親は、「とても幸せだからよ」と答える。ここは胸にぐっときた。 ●「カッコーの巣の上で」(1975年) 鑑賞日:"08年4/18 評価:4.5 ずっと見たかった作品。「ロボトミー(精神障害者の攻撃的行動をおさえるため、脳の一部を破壊する手術)を描いた作品」と紹介されることがあるが、ロボトミーについては最後の最後で出てくるに過ぎない。主人公は、刑務所での労役を逃れるため精神障害者のふりをし、精神病棟に入れられる。彼は管理主義的な病院の方針に立ち向かいながら、患者達とのふれあいを深めていく。 精神病棟という特殊な環境を描きながら、同じような管理的な社会すべてを批判し、そこからの脱却をうながす作品だ。患者を抑圧し、自由を奪う病院側の体制にことごとく反発し、規則を破っていく主人公。その行く末には、哀しみとわずかな希望が見える。 2009. 2/19(木) 果物と野菜がなければ ![]() ひきつづきヘルシーな食生活を送っている。加工食品をなるべく使わず、作れるものは全部自分で作る。ケチャップやマヨネーズ、ドレッシング、ジャムなど、作ってみれば意外に簡単で、しかも売っているものより格段においしい。植物性食品を多くとるようにし、肉と魚は一週間に一、二度くらい。卵と牛乳はもうまったく使わなくなり、牛乳以外の乳製品も、ごくたまにチーズを使う程度だ。 毎食、果物とサラダは欠かさない。果物や生野菜は体を冷やすからと避ける人もいる。食べ物を陰と陽に分ける陰陽道に基づく考え方だが、僕はこれをあまり信用していない。それよりも、食べ物の酵素は火を加えることでどんどん失われていくため、生で食べるのが最も効果的、という考え方のほうを支持する。なにせ、食べ物に火を入れて食するのは人間だけなのだから。 果物は食後ではなく、食前の、できれば30分ほど前に食べる。果物は消化のしやすさ、酵素の量ともに理想的な食べ物だが、胃に食べ物が詰まっている時に食べるのは良くないらしい。だから、食前にとるのが効果的なのだそうだ。そして大量のサラダ。大きなボウル半分くらい一人で食べることもある。ピーマンも春菊ももやしもホウレンソウも、すべて生で食べる。これが本当においしいのだ。旅行などで外食が続くと、果物と生野菜が恋しくなる。 2009. 2/20(金) 水をかぶれば ![]() 湯は41度、水は15度になるよう温度計で計る。まず湯にしっかりつかって温まったのち、洗い場で水を体にかけ、バスタブに戻って1分湯につかる。また水をかけ、湯につかり、最後に水をかけて風呂からあがる。こうして体を拭いて服を着ると、体全体がぽかぽかと温まってきて、寝るまで暖房は要らなくなる。体が活性化されるのが実感できて、非常に気持ちがいいのだ。 15度という水はなかなかに冷たいが、もう慣れた。もちろん最初からこの温度で始めたわけではなく、17〜8度の設定にし、足首にかけることから始める。そこから、膝下、太股、腰、と毎日すこしずつかける範囲を増やしていく。同時に温度も少しずつ下げていき、最終的に15度の水を肩からかけるようにする。 これを毎日つづけているせいか、最近は寒さにずいぶん強くなった。部屋でも車に乗っていても、暖房をつけないことは多い。ここ2年ほどは風邪ひとつひかない。 この素晴らしい健康法を一年中つづけたいのだが、それは叶わない。春になり、水の温度が上がってくると、15度を超してしまうからだ。氷を使って冷やすことも試してみたが、どんなに大量の氷を使ってもせいぜい5度くらいしか冷やせないことがわかり、物理的に無理なのであきらめた。だからおそらく、4月くらいまでしか続けられない。疲れているときなどはおっくうになることもあるが、今日も温度計二つにバケツ、手桶を持って風呂場に入る。 2009. 2/21(土) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年4/30 評価:4.0 実際に起きた「八海事件」という冤罪事件を基に作られた作品。原作は、この事件の担当弁護士が書いている。 老夫婦が殺害され、一人の男が逮捕された。彼は罪を認め自供をしたが、警察は複数犯だと信じて疑わない。厳しい追及に男は耐えられず、しかも共犯がいることにすれば自分の罪が軽くなるとの思いから、遊び仲間四人の名を告げる。 四人は犯行を否認するが、警察での酷い拷問により、遂に罪を認めてしまう。裁判になり、四人は拷問による自白を主張し、無実を訴えるが、地裁高裁ともに有罪の判決が下され、四人のうち主犯とされた青年には死刑が宣告される。 映画は、本事件の最高裁での審理中に作られ、封切られた。様々な圧力がかかり、自主興行のような形で公開されたようだが、結果的には全国的な大ヒットとなった。 映画のラストシーン、死刑宣告を受けた青年が叫ぶ、「お母さん、まだ最高裁があるんだ!」という言葉は一大センセーションを巻き起こした。そして遂にこの映画が司法を動かした。その後おこなわれた最高裁では高裁での有罪判決が破棄され、高裁への差し戻しとなった。そして高裁での再審理の結果、四人に無実が判決が下りた。 しかし裁判はこれで終わりではなかった。その後、検察側が上告をおこない、最高裁ではふたたび無実の判決が破棄され、高裁での再々審理となる。高裁での判決は有罪と出た。主犯とされた青年には死刑が告げられた。この頃、最初につかまった男は良心の呵責に耐えかね、自分の単独犯である旨を刑務所から最高裁に17通も出したが、刑務所によって握りつぶされたという。それでも、担当弁護士による書籍、それからこの映画の力が通じたのか、最後の最高裁審理により、四人の無罪が確定した。じつに、事件発覚から17年9か月を経ていた。 映画では、警察や司法の横暴ぶりが詳細に描かれる。本作は、日本人ならば一度は見ておくべき作品だと思う。 以下のサイトに、事件のあらましが紹介されている。 ・「八海事件」 2009. 2/22(日) デパオクなんて言葉もなかった ![]() 田舎に住んでいたので、月に一度ほど、汽車(電車ではなく、ディーゼル機関車)で町中にでかけるのがすごく楽しみだった。一番近い都会は姫路だった。 デパートに行くとまずは5階あたりのおもちゃ売り場に行き、そのあと屋上で遊ぶというのがお決まりだった。屋上には必ずゲームコーナーと小さな遊園地があった。遊園地とはいってもミニチュア電車やメリーゴーランドなど乳幼児むけのものが多く、小学生頃にはおもにゲームセンターで遊んでいた。一回10円20円で遊べるものがほとんどだったから、親から200円とか300円をもらい、一人で気ままに遊ぶのが好きだった。親は僕が遊んでいるあいだベンチに座って休んでいた。子供ながらに、大人はどうしてこんな楽しいところに来て遊ばずにいられるんだろうと不思議に思っていた。遊んだ記憶と同時に、エレベーターやエスカレーターで最上階まで登り、そこから一階分を階段で上がる時に味わったわくわく感まで鮮明に覚えている。 Yahooニュースに載っていた写真は昭和33年のものらしく、僕が遊んでいたのは昭和50年頃なのでだいぶ開きはある。ともあれ、現代のデパート屋上から遊園地はなくなり、大人の憩いの場としての庭園などに様変わりしているとのことだ。 気になって、姫路駅前通りではいちばん有名なデパートだった「ヤマトヤシキ」を調べてみた。Webサイトに入り、フロアガイドを見る。屋上にはただ「屋上ガーデン」とだけ書いてあって、なんだかがらんとしている。隣にはカルチャーセンターなんかがある。おそらく遊園地はもうないのだろう。それになんということだ、5階はおもちゃ売り場だったはずなのに、紳士服売り場に変わっているではないか! 2009. 2/23(月) 賢者の意志 ![]() (リンク先の「〜をダウンロード」をクリックすれば、内容を聴くことができる) ・2/17(火) 脚本家・山田太一 名脚本家の、老いてなおクリエイター魂あふれる言葉の数々。 ・2/18(水) 脳科学者・茂木健一郎 意外にやんちゃでお茶目な茂木さんだが、脳に関する話はやはり聞きごたえたっぷり。 ・2/19(木) 外交官兼文筆家・佐藤優 政治の話はあまりにもレベルが高くてついていくのに精一杯だが、独特のしゃべり方についつい引き込まれる。「戦後最強の外交官」という異名は伊達ではない。 ・2/20(金) 編集者・見城徹 幻冬舎社長。ご本人いわく、自分はあまたの作家達のような個性や才能はない、だから徹底的に努力をする、とのこと。その徹底ぶりが見事。見習える要素は多い。 また、日頃のパーソナリティによる、自分が影響された人物を紹介してもらうコーナーも良かった。とくに、水曜日の勝谷誠彦氏の回が素晴らしい。昔はこの人のこと、大嫌いだったんだけれど。 ・2/18(水) コラムの花道・延長戦(勝谷誠彦) 2009. 2/24(火) プラネットアース、ふたたび ![]() この番組はそんじょそこらのネイチャーものとは、映像の質がまったく違う。金と時間が存分にかかっているから、通常のロケでは撮影できない映像が撮れるのだ。たとえば、ある瞬間を撮るためだけに何ヶ月も同じ場所にカメラを据えおいたりしたらしい。ライオンが象を襲うシーンなどはそうして撮られたのだ。一本一本をゆっくりと見ながら、見終わった分はブルーレイディスクに移している。 ちなみに、映像の素晴らしさに対し、早送りやスローモーションを多用する演出はあまりいただけない。それらは“加工された”映像であり、現実にはあり得ない光景だ。たとえテレビ画面を通してとはいえ、それが現実に起こった光景だからこそ感動が得られるのだ。時速100kmで走る動物は現実にその速度で走っているからすごいのであって、早回しにして時速100kmにしても仕方がないのと同じことだ。また、CGで映像を作り出すのと同じことだ。この番組は、そこがものすごく惜しい。 2009. 2/25(水) エコツアー ![]() NHKの2人のアナウンサーが北半球と南半球に分かれ、世界各地のエコツアーを巡る。独自に撮影した貴重な映像は、プラネットアースにも迫るほどのレベルである。去年の3月から継続的に旅は続き、それに合わせて毎週放送されていたようだが、僕が観たのはそのうち三分の一ほどをまとめたものらしい。カナダのチャーチル、アマゾン、コスタリカ、パタゴニア、ハワイ島、ガラパゴス、パプアニューギニアなど、いわゆる秘境と呼ばれる地域が多い。つまりは自然がたっぷり残っていて、観光が大きなビジネスになる場所だ。 僕もアフリカやパタゴニア、フォークランドなど、似たようなところにいくつか出かけ、手つかずで残された自然の素晴らしさを体験してきた。都会も嫌いではないが、やはり大自然と動物というのは僕の旅の大きなテーマである。なのに僕は、エコツアーについてはそれほど興味がなかった。 エコツアーには必ずコンダクターがいて、彼らに従わなくてはならない。確かに、いろんなことを教えてくれたり貴重な情報を知らせてくれたりなど、一人で歩いていたのでは得られない経験ができる。同じ志を持つ人たちと知り合い、感動を共有し、盛り上がることができる。 ただしそれはエコツアーの一つの側面でしかない。団体行動で息の詰まることはあるだろうし、好きなように時間を使うことができないもどかしさもある。同行者が気にくわない奴だったりすると、せっかくの感動する場面さえしらけてしまう。 これが自分達だけの旅なら、好きなところを好きなように巡り、同じ場所で何時間過ごしてもかまわない。静かにじっくり景色を楽しむこともできる。これはエコツアーにない側面だ。どちらを選ぶかは自分の好みであり、僕は圧倒的に後者のほうが好きだ。やはりエコツアーもパックツアーの一つであり、知識を持った人に導かれることで効率的な旅はできるかもしれないが、感動もそれなりのものとなる。多少の危険があったり、冗長だったりしても、自分で考え、自分の足で歩いた末の感動とは、比べものにならない。 ただ今回、この番組を観ていて感心したことがあった。 単に「自然を大切にする」というテーマでエコツアーを広めようとしても、なかなかうまくいかない。それは、現地の人たちの生活があるからだ。自然を残すことが大切だとわかっていても、森林を伐採して畑にする以外食べていく方法がなければ絶対にそうするだろう。僕らだってもしその日の暮らしに不自由するほど貧しくて、自然を壊す以外に方法がなければそうするだろうし、そのことに罪悪感も感じないはずだ。「自然を大事に」と外部の人からいくら強制されたところで、知ったことではない、勝手に仕切らないでくれ、そう思うだろう。 エコツアーを本当に根付かせるためには、現地の人の生活がそれで成り立つようにしなければならない。資本主義的な言い方で恐縮だが、ビジネスにならなければ続かない。そこがこの番組ではある程度描かれていた。あくまでもある程度、というのがNHKの限界ではあるだろうけれど。 エコツアーを催行することで観光客が集まり、お金が得られる。他では見られない動物や植物、景色があればあるほど、お金の量は増える。すると、そうした自然を残そうとする意識が現地に根付く。畑は森に返し、現地固有の生活様式も残される。こうしたサイクルができて初めてエコツアーは成功すると思う。 ただ、果たして本当に現地が潤うだけの収入が得られるのかということは僕は知らない。観光客が増えれば増えたで、その管理も大変になってくる。観光客が自然を荒らすこと以外に、大きなホテルが建つなど、現地側の問題も出てくる。そのあたりをしっかりコントロールしなければならない。 もう一度、もし私たちの住んでいる場所でエコツアーが行われたらどうなるか、考えてみる。あなたの家の周り一帯が、エコツアー指定地域になった。あなたは自分達の住む土地を自由に使うことはできず、産業は観光を中心としたものしか許されない。会社も工場も田も畑も作れない。常にたくさんの人が行き来し、必ずその人たちの相手をしなければならない。 ――どうだろう。エコツアーとは、今書いたようなことを強いることだ。どこか遠い土地のお話ならいくらでもきれいごとは言えるが、いざ現地の人々の立場になって考えてみたら、それだけでは済まされないことがたくさんある。エコツアーとはつまり、我々人類の発展の経過と相対する概念なのだ。もともと地球が持っていた自然を壊し、そこに自分達の都合に合わせた物を作り上げてきたのが人類の歴史だ。そこに現在の快適な生活環境がある。その快適な環境を不快な環境に変えていこうというのがエコツアーの主旨である。これは相当難しいことだ。そんなことはできない、やる必要がない、と言っているのではない。ただ、こうしたことをきちんと認識してかからないといけないとは、強く思う。 ・番組公式サイト 「世界一周!地球に触れるエコ大紀行」 2009. 2/26(木) 映画感想 ![]() 鑑賞日:"08年5/2 評価:4.5 前に紹介した「真昼の暗黒」(2/21の雑記)同様、実際にあった事件を基にした作品。列車脱線事故において、ある青年が犯人にでっちあげられる。ろくな捜査もせず証拠もなく、ただ拷問により自白をさせられるが、裁判では一貫して無実を主張しつづける。 単なる法廷劇として観てもじつによく出来ていて、感情移入させられる。事実が映画の通りならば、警察も検事も裁判官も、あまりにお粗末である。本作が上映されたあと、被告人の無罪が確定したという社会的意義も大きい。 ●「水の中のナイフ」(1962年) 鑑賞日:"08年5/3 評価:4.0 ロマン・ポランスキー監督作。以前に同監督の「ローズマリーの赤ちゃん」を観て、ぞくぞくするようなサスペンスの演出にしびれたものだった。本作は監督がまだ20代だった頃の、初期の作品。一組の中年夫婦の乗る船に、一人の青年が乗り込んでくる。登場人物はこの三人きりで、彼らの微妙な心理の変化を追いながら、淡々とドラマは進む。それでも飽きさせないすごさ。一級の心理劇。 ●「オーロラ」(2006年) 鑑賞日:"08年5/13 評価:0.0 踊りを禁じられた国の王女の、切なくも美しい恋の物語、らしい。全面協力したパリ・オペラ座には申し訳ないが、初めて評価0点をつけてしまった。物語としても映画としても成立していない。 2009. 2/27(金) 腹の中 ![]() 新谷先生は1935年生まれの74歳だが、見た目は50歳前後くらいにしか見えない。70代が気力体力ともに最高だとおっしゃっていた。おしゃべり好きで、なかなかきわどいジョークなんかも飛ばされていて、お堅い感じの人間像を描いていた僕にはちょっと意外だった。 2009. 2/28(土) 大きくて年とったもん勝ち ![]() 経営者がどうして海に返したのかというと、他の人が同じように海に返したことに触発された、とのこと。どこに触発されたのだろう。特別に大きいロブスターだったから? 特別に高年齢のロブスターだったから? それで、特別に大きくもなく特別に高年齢でもないロブスターは殺して食べてしまうんだよね。 僕は、ロブスターを殺せと言ってるわけでも、救えと言ってるわけでもない。しょせん人間の自己満足で他の生物の生き死にを勝手に操作しているのだということを客観的に認識し、そんなものに過剰な価値をつけるなと言いたいだけだ。そしてこれは、すべての動物愛護活動に通じることである。 |