【ピンクの湖】

アンボセリ.朝の風景

朝のサファリは夕方のとまたひと味違って、新鮮な気持ちになる。しかしやはり、動物は少ない。展望台まで車で一気に登ると、そこからは車を降り、歩いて更に上まで登った。朝靄の草原を見渡す。限りなく広い。草の茂っている地帯と土の見えている地帯とがあって、1頭のゾウがそこを横切っているのが見えた。恐ろしいほどゆっくりと、しかし確実に進んでゆく。しばらく辺りを散策した後、帰り際にもう一度目を向けてみると、さっきよりはずっと遠くの方を歩いているのが見えた。ここが今朝のメインだった。

朝食の後、再びナイロビへと引き返す。昼食をナイロビ郊外のレストランで食べるためである。その店では、ケニアに生息する様々な動物の肉を食べさせてくれるのだが、我々も、ワニ、シマウマ、インパラ、ラム、などいろいろ試してみた。大きな切り身とナイフを手にした料理人が近くまでやってきて、肉をナイフで削ぎ落としてくれる。しかし、ワニが何とか食べられるかなという程度で、他はどれもそんなにおいしいものではない。それでも何とか一通りは食べた後、次の目的地であるナクル湖へと向かった。この間にも、体調がどんどん悪くなっていくのがわかった。日程がハード過ぎる。

途中、ナイバシャ湖とエレメンテイタ湖の景色を楽しみながら、ナクル湖のゲートにたどり着く。ここの土産物屋が安いとクルーアさんは言っていたが、見てみるとそれほど安くもない。動物の人形としゃもじみたいなのを40US$で買う。

ゲートを抜けると、そこは森の中だった。アンボセリとは全く雰囲気が違う。インパラやウォーターバックなど、草食動物が時折顔を出す。そのうち、森の向こうに光り輝く湖が見えてきた。さらに走ると、その湖面にピンク色の帯が延びているのに気が付く。そして、森を抜けたところで、そのピンク色が全てフラミンゴだとわかった時、僕らは一斉に歓声をあげた。あの感激は忘れられない。

ナクル湖.中央のピンクの帯が全てフラミンゴ!

フラミンゴに近付く前に、湖周辺の草原地帯をしばらく走った。ここには、2頭のサイがいた。シロサイだ。これは珍しい。サイを見たのは、後にも先にもこれっきりだった。大回りをして湖岸にたどり着く。車を降り、カメラを持って、そのおびただしい数のフラミンゴの近くまで寄ってみる。近付くと足下は土ではなく、全部、糞(ふん)の固まったものだった。どうも臭いと思っていた。この日のために購入した一脚を取り出す。一脚は三脚と違って完全固定はできないが、カメラの手ぶれを防ぐには有効で、三脚よりも手軽で使いやすい...はずだった。揺れるバスの中では使うことが出来ず、やっと活躍できる場面が訪れたかと思われたのだが、糞でできた地面はゆるく、一脚は地面にめり込んで糞がつくばかり。全く意味がなかった。後でバスの中で確認すると、糞の臭いがしっかりとこびり付いていた。

それでも夢中で写真を撮り続けた。本当に素晴らしい景色だ。数えた訳ではないが、話では約100万羽、ピーク時には200万羽にも及ぶといわれている、その群れのすごさ。もうこんな景色は見られないかもしれない。さだまさしの歌にあった景色が、今現実にここにある。

100万羽のフラミンゴが、いっせいに飛び立つと暗くなる空...

その後、高台に車で上り、再び湖を見下ろす。思ったよりも大きい。岩肌に珍しい小動物、イワハイラックスがいた。リスぐらいの大きさで、教えられて初めて気が付いた。サバンナモンキーやバブーンもいる。しかし、景色は最高なのに、体調はこの頃が一番悪かったかもしれない。はっきり言って、早く宿にたどり着きたかった。

湖のそばにあるロッジへ向かう途中、突然前田さん夫妻が叫んだ。「ライオン!」 その声に急いで引き返して見てみると、確かにライオン、いやいや違う、それはヒョウだった。チーターとは明らかに異なるがっしりした体格で、道路を横切り、静かに森の中へ消えていった。クルーアさんが言った。「You are lucky!」


ウォーターバック(オス)

サバンナモンキー

湖の周りには緑豊かな草原地帯が広がり、多くの草食動物が見られる。
ロッジ周辺でも多く見かけられる。

イワハイラックス

ヒョウ

シロサイ
小さくてかわいいが、強力な歯で噛むため、近寄れない。
見かけたのはこれっきり
これも、見かけたのはこれっきり


サロバライオンヒル・ロッジ

湖面に夕焼けが映える頃、今夜の宿であるサロバライオンヒルロッジに着く。部屋に入り、しばらくベッドで横になる。でも食事はしっかり取ろうと、体を引きずって夕食に向かった。みんなとしゃべりながら食べていると、少し元気になったような気がしてきた。みんな、いい仲間だ。心からそう思った。旅の間中、本当に楽しく過ごすことができた。食事の後、両替をして、みやげ物と、飴を30個ほど買った。ここは今までで一番安い。ただし、両替のレートは悪いので、買い過ぎに注意する必要がある。それと、レセプションにいた黒人の女の人がきれいだった。関係はないが。

この夜は、飴をなめながら、速攻で寝る。

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