【キリマンジャロ、現れず】

野生動物であることは間違いない。ゾウほどの大きさはない。が、キツネやマングースよりは確実に大きい。となると、ライオンか、ヒョウか。ドキドキしてきた。ロッジの周りには柵があって、電流が流れてたりして、動物は入って来られなくなってたりするはずだ...。はずだ..が、そんな柵は見あたらない!何か敷居のようなものは見えるが、ひょいとまたげば素通り出来るほどのものだ。そういえば、どっかのキャンプ地で、テントがゾウに荒らされた話があったか..などと、こんな時に思い出すと、もうめちゃくちゃ怖くなってくる。ゾウが来るなら肉食動物も来るかもなあ、なんて考えたくないのにどんどん浮かんできちゃったりする。いかんいかん、落ち着け落ち着け。物体をじっと見てみる。

どうもライオンやなんかではないらしい。少しほっとする。そのまま近付いてくるのを眺めていて、ようやくわかった。バブーンだ。バブーンとはヒヒのことで、サバンナモンキーよりも一回り大きく、やはりロッジの周りでよく見かける。人に危害を加えるようなことはない。3匹ぐらいのバブーンが僕の少し離れたところを通って、ロッジの敷地内へと入って来た。動悸がやっと収まった。しばらくして、サバンナモンキーも顔を見せた。それから、猫も出てきた。時折場所を変え、彼らの姿を追いながら朝焼けを待っていると、急に周りの灯りが点く。もう朝だ。スタッフがやって来て挨拶をかわす。その後、屋内のカフェテラスに場所を移してもうしばらく待ったが、遂にキリマンジャロも朝焼けも姿を現すことはなかった。

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