【キリマンジャロのふもと】

入り口で出迎えてくれたのは、サバンナモンキーだった。グレーっぽい毛並みの小さな猿で、サファリロッジ周辺には大抵いる。ゲートを抜け、中に入ってみて驚いた。さながら高級リゾート地のように綺麗なのである。ちょうど雲が晴れ、照りつける日差しの中にたたずむ姿に、しばし歩を止め、魅入ってしまった。部屋の中も同様に綺麗で、噂に聞いた蚊帳(かや)もちゃんと付いている。さっそく荷物を置いて、昼食に出向いた。バイキングランチで、味はまあこんなもんだろうな、という程度。決してまずくはない。昼食後にはプールに入ってみる。かなり冷たくて入るのに苦労したが、それでもリゾート気分を味わうことができた。他の外国人客たちの存在が、気分を一層盛り上げてくれる。


3時半からは、待望のサファリドライブ。向こうの言葉だと「ゲームドライブ」というらしいが、基本的に早朝と夕方に出かけることになる。昼間は寝ている動物が多く、ドラマティックなシーンに出会うチャンスが少ないからだ。しかしこの日、初めてのサファリに意気揚々としていたにもかかわらず、動物達はあまり姿を見せなかった。期待していたイメージからはほど遠く、ちらほら見かけるシマウマやヌー(ウシカモシカともいう)を見てしばらく過ごす。

シマウマ ダチョウ ハゲワシ

トムソンガゼル

水牛(バッファロー)

お腹の黒い帯が特徴。どこでも、よく見かける。
あんまり綺麗でない。かっこ悪い。情けない。見かけたのはこの3頭のみ。

乾燥地帯ばかりかと思っていた景色がだんだんと湿地帯に変わっていき、それにつれて動物の数も少しずつ増えてきた。なかでも、ゾウの群れには、いくつも出会った。群れの中には必ず子象がいて、大人達に囲まれるようにちょこちょこと歩いている。水場付近では体が半分埋もれるほど沈み込み、その近くにはカバも見えた。ふむふむ、いい感じになってきた。





アンボセリ国立公園は、あのキリマンジャロ山のふもとに広がる公園であるが、今日は曇っていてその姿をなかなか現さない。しかし、やがて一瞬その雲に切れ間が見えた時、クルーアさんが光の方向を指差し、「キリマンジャロ!」と叫んだ。そこには、相変わらずの雲海が広がっているばかりのように見えたが、一部分だけ色が違って見える箇所があった。それこそ、キリマンジャロ山頂に冠する万年雪の白であった。一同、声を上げて喜ぶ。が、それを尻目に、キリマンジャロはすぐまた姿を隠してしまった。

辺りが静かに夕暮れ色に変わってきた。今日のサファリはこれで終わり。約2時間のドライブを終え、ロッジへの帰路に着いた。

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