【初めてのオーロラ】

起きたのは夜8時前。オーロラ・ツアーは9時からだ。急いで用意をする。着替えやカメラ機材の準備に意外と時間を取られた。 ロビーに行くと人は少なく、ほっとしていたが、時間が迫るにつれてぞろぞろとエレベーターから吐き出されてきた。日本人ばかりでうんざりする。専用バスには、2グループに分かれて乗り込んだ。観測所となる郊外のオーロラキャビンまで、約40分の道のりだ。

観測所に着くと、テントのような建物に入る。これがオーロラキャビンだ。中には机が4脚と、真ん中に大きなストーブが置かれていた。25名ほどのグループが入ると、ほぼ椅子は満席の状態となった。さっそくカメラの準備をする。フォーカスは無限遠、絞りは開放にして、動かないようにビニールテープで固定。三脚とレリーズ(リモートシャッター)を取り付けた後、更に防寒のため、キルティングのカメラケースをかぶせてこれもテープでぐるぐる巻きにする。これでOK、とりあえずカメラはキャビンに残し、外に出てみる。

バスを降りた時、白い雲のように見えたのを、あれがオーロラですよと日本語の達者なカナダ人ガイドが教えてくれた。が、それももう薄れてよく見えない。見事な星空だった。確かに寒くはあるが、想像していたほど厳しいものでは全くない。15分ぐらい出ていたが、オーロラの姿は見えないため、いったんキャビンに戻る。

中にいてもいたたまれないので、暖まったところでまた出てゆく。どうもこの大人数は息苦しく、気が滅入る。昨日から来ている人達はもうあきらめムードで、外に出ようともしないが、僕を含め今日初めての人達は、それでも粘り強く外に出て待ち続ける。頭上には変わらず星空が広がるばかりだ。オーロラが出てくる気配はない。しばらくしてまた中に入る。スープの用意ができていた。

夜食のあと、もう一度外に出、またあきらめて中に入った。大方の人達は、あまり席から動こうとしない。もう要領を得ているのか、出てきたら動こうといった感じだ。聞こえてきた会話によると、昨日はかなり大きいのが出たようだ。今日も同じように出てくれと、心の中で祈るが、もう既に12時近い。帰るのは12時半だ。今日はだめか。あきらめかけた時、入り口のドアが開いて、人が入ってきた。
 「出たよー」

一斉に全員が席を立つ。僕もカメラを手に、外に出た。白いもやのような、しかしよく見ると薄く緑に色付く光の帯が出ていた。思っていたよりずっと小さなもので、感動はそれほどでもなかったが、嬉しさと安堵はあった。三脚を立て、夢中でシャッターを切った。練習した通りシャッター速度は3パターン、落ち着いて数を数える。途中、大きく形が変わるたび、人々から歓声が上がった。ただ、僕には、それほどの気持ちの揺れはなかった。

すぐに帰りの時間となる。一日目にしてはいい出来かなとも思えた。まだまだ先は長い。これからあと4日間のうちに、更なる素晴らしいオーロラの出ることを期待し、ホテルへの帰路についた。帰りのバスでは、ほとんどの時間、眠っていた。ホテルに帰り着くと、やはりすぐに寝入った。

■■■ この日見えたオーロラ ■■■
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