3/14(火)

【最後の望み】

4時過ぎには目が覚めていた。シャワーを浴びた後、4時半のモーニングコールを聞いた。ホテルからは早朝でもシャトルバスが出ていた。
 2日前と同じように、チェックインカウンターへ向かった。2〜3人の待ちの後進み出てみると、ここはビジネスクラス用のカウンターだと告げられた。しかし、客が少なかったからだろうか、そこで手続きをしてもらえた。
 入り慣れた手荷物検査場をくぐる。2日前はトランジットだったので空港税は要らなかったが、今回は払う必要がある。さあ、まずはここからトロントだ。

トロントの空港は、全然大したことはなかった。ここはカナダ一の大都市なのだが、バンクーバーの見事さに比べると、だいぶ見劣りがしてしまう。だだっ広い待合いベンチで、小一時間待つ。

次の空港、エドモントンではあまり時間がなく、本当に<乗り継ぐ>というだけになってしまった。ここからイエローナイフへの飛行機に乗る。もう、飛行機に乗ってばっかりの気になるが、これが最終目的地、そして最後の望みだ。
 機内で本を読んでいると、隣に座った子供がその本の文字を指さし、「これは何?」と聞いてきたので、「日本語だよ。日本語。」と教えてやった。怪訝そうな顔付きでそれ以上は聞いてこない彼に、旅行者かどうか尋ねてみると、彼は首を振り、イエローナイフに住んでいるんだよ、と答えた。彼の向こうの席には、同じ顔をした弟と、両親らしき男女の姿が見えた。
 飛行機が高度を下げると、一面雪の原野が目に入った。最初は目を奪われていたが、やがて飽きてきた頃、ぽつりぽつりと人家らしきものが目に入ってきた。もう空港が近いのだろう。やがて静かに着陸の姿勢に入っていった。

小さな空港では、飛行機から直接地面に降り、到着口のある建物まで歩いて移動することが多いが、ここもそうだった。降り立つと、ぴりぴりした感触が顔を覆ってくる。が、それなりの装備を着込んでいるので震え上がるようなことはない。後で聞いたところでは、この日の気温はマイナス25度とのことだった。

空港施設内に入ると、すぐに女性係員が名前を呼びながら近付いてきた。マドレーヌ島と違い、非常に感じのいい人だった。荷物をピックアップして車に乗り、その女性が運転する車でホテルに向かう。窓外には、雪に覆われたきれいな町が広がっている。途中、少しばかりの説明を受けた。10分ほどでホテルに着く。

ロビーで更に詳しい説明を受けた後、防寒服をレンタルするため、地下にあるツアーデスクへ行く。上下つなぎの防寒服、防寒ブーツ、手袋がセットになっている。この荷物を台車に積み込んで部屋まで上がる。

これでしばらく、一場所に落ち着ける。旅の始まりからここまでかなり厳しい日程で、ハードな旅になった。4日目となる今日の夜、オーロラを見に行く。ここからが、この旅の本当のスタートとなることを期待する。
 部屋に入り、一休みしてから、ホームページ作成にとりかかった。窓からの写真を撮ったものも含め、画像も貼り付ける。完成後、電話回線をアサヒネットにつなげようとしてみるが、駄目だった。モントリオールのホテルでやった時と同じだ。エドモントンへはつながるが、ファイルを転送するには、どうしても日本へ国際回線でつなぐ必要がある。しばらく奮闘した後、急激に眠くなり、しばらく横になった。

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